差押命令を受け取ったときの対応


全く身に覚えがないのに、裁判所から会社に差押命令が届いて驚いた。

そんなときは、

貴社の債務が焦げ付いて銀行から差押を受けたとは限りません。

従業員が借金の返済を滞って、貴社へ差押命令が届いたのかもしれません。

どういうことか?詳しくご説明します。

 

1.用語の確認

2.見分け方

3.差押命令の手続の流れ

4.従業員給与が差押えられたときの対応

5.第三債務者のリスク・デメリット

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用語の確認


用語 意味

     

債権者

 

債務者に対して、金銭の請求をすることができる人。

差押命令においては、債務者に対して、金銭の請求をできることが裁判所によって判断されたり、公正証書によって認められている人。

裁判所の判決や、公証人の公正証書によって、請求できる。


     

債務者

 

債権者に対して、金銭の支払い義務を負っている人。

差押命令においては、債権者に対して、金銭の支払義務があることが裁判所によって判断されたり、公正証書によって認められている人。

何等かの金銭を請求できる?と、債権者が考えている。請求できるとは限らない。


     

第三債務者

     

債権者が「この人は、債務者に対して、何等かの支払い義務があるのではないか」と考えた人。

見分け方


貴社の財産が差押えられたのか、従業員の給与が差押えられたのか、見分ける方法は、次のとおり簡単です。

債権差押命令2頁「当事者目録」 同封物 意味

「債務者」として貴社名

「第三債務者」として銀行名

債権差押命令のみ 貴社財産が差押えられた

「第三債務者」として貴社名 

債権差押命令

陳述書

事情届

返信用封筒

従業員などの給与が差押えられた
陳述書(給与債権用)債権差押命令
陳述書(給与債権用)債権差押命令
事情届・債権差押命令
事情届・債権差押命令

3.差押命令の流れ


債権者が差押命令申立

第三債務者に差押命令が送達される(=差押の効力発生)

第三債務者は、債務者に対して「差押された給与部分」を弁済してはいけません。

債権者に対しても、まだ支払ってはいけません。

債務者に差押命令が送達される

債務者への送達が、第三債務者への送達よりも後であるのは、債務者が先に差押えの事実を知ると、債務者は債権者よりも先に支払いを受けようとするからです。

債務者に送達後1週間経過(=取立権の発生)

債権者は、第三債務者に対して、直接支払いを求める権利が発生します(民事執行法155Ⅰ)。

具体的な支払い方法

債権者から第三債務者に対して、連絡があります。

第三債務者は、送達証明書の提出を受けて、債務者が受け取ってから1週間経過したこと(=債権者に取立権が発生していること)を確認してください。

第三債務者は、債権者への支払方法(貴社に取りに来るのか、債権者口座に振り込むのか)を調整してください。振込の場合には、振込手数料は債権者負担です。

4.従業員給与が差押えられたときの対応


場合 対応
債務者をそもそも雇っていない 陳述書を提出すれば終了 
従業員がとっくに退職している 陳述書を提出すれば終了
従業員は既に退職しているがこれから払う給与や退職金がある

陳述書を裁判所・債権者に提出。

差押命令に従い支払う。

債務者と契約はあるものの雇用契約ではない。 陳述書を提出すれば終了
債務者は従業員でなく当社の役員である 陳述書を提出すれば終了【1】
債務者から「支払ったから差押えをやめて欲しい」と言われた

陳述書を裁判所・債権者に提出。

差押命令に従い支払う【2】。

同じ従業員に対して別の債権者から差押命令が2通きた。

陳述書を裁判所・債権者に提出

供託する

事情届を提出

裁判所から取下書が来た 給料全額を債務者へ支払う

【1】債権差押命令の差押債権目録をよくご覧ください。単に「給料債権」とだけある場合には、「役員報酬」は含まれませんので、差押の効力は及んでおらず、支払う必要はありません。

【2】債務者に対して「差押命令を取り下げるよう債権者に連絡をとるよう。裁判所から取下書が来るまではずっと債権者に支払う義務がある」とお伝えください。

5.第三債務者のリスク・デメリット


場合 リスク・デメリット
差押命令に従わないで従業員に支払った場合 二重払いのリスクが生じる。
貴社が記載した陳述書の記載内容に、債権者が納得しないとき 債権者は、貴社を被告にして取立訴訟を起こすことがある。

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