間違いやすい漢字・単語・人名集


このページは、当司法書士事務所グループに、新しく就職した新人向けの説明を公開したものです。

皆様のご参考になれば幸いです。

 

「Ctrl」+「F」で[検索]できます。

  1. 漢数字・多角文字(大字・だいじ)
  2. 単漢字
  3. 正字と俗字
    1. 氏名変更登記、氏名更正登記の要否
    2. 俗字でもそのまま登記すべきか?正字で登記すべきか?(特に会社法人登記の役員氏名)
  4. 変体かな(戸籍が読めないときに)
  5. 人名
  6. 同音異義語
  7. それ以外

1.漢数字・多角文字(大字・だいじ)


  • (根)抵当権設定契約書を受領するときに、設定金額を漢数字で記載してあるときには「正しい漢数字又は多角文字を使っているか」に気をつけなければなりません。
  • 設定契約書の設定金額欄の修正に捨印を使うことはできません(登記は通っても銀行に怒られる)。設定契約書の写しを登記原因証明情報として法務局へ提出させる金融機関だったときに多角文字が間違えており補正指示を受けた場合、法務局に設定者を連れて行く必要があります。
  • 「旧字体」を使った設定契約書を添付した場合に登記が通るものか実験したことはありませんが、設定者に修正させた方が無難と考えます。
算用数字 漢数字 多角文字(大字) 旧字体・俗字 誤記例
〇・零 (なし)    
壹、弌  
 
參、弎  
(なし)  
(なし)  
(なし)  
(なし) 漆・柒・質  
(なし)  
(なし)  
10 (壱)拾  
20 二十 弐拾 廿・卄  
30 三十 参拾 丗・卅  
40 四十 四拾  
100 (なし) 佰・陌  
1,000 (なし) 仟・阡  
10,000 (なし)  

不動産登記法を探したのが、見つけられませんでした。

商業登記規則第48条(記載の文字)

  1. 申請書その他の登記に関する書面に記載する文字は、字画を明確にしなければならない。
  2. 金銭その他の物の数量、年月日及び番号を記載するには、アラビア数字を用いなければならない。ただし、縦書きをするときは、「壱、弐、参、拾」の文字を用いなければならない。

2.単漢字(見た目がよく似て間違いやすいもの)


見慣れないうちは、同じ文字に見えてしまいます。

これらの文字が出てきたときには、よく似た漢字があることを思い出してご注意ください。

(山が一つ)/(山が二つ) 

「あがめる」「たたる」

(下が「米」)/(下が「木」)

「あわ」「くり」

「あみ」「つな」

「数字のいち」「アルファベット小文字のエル」

(ごんべんに東)/(ごんべんに束にチョンチョンがある)

「いさめる」「いさめる」

「いそ」

「おのれ」「み」「すでに」

己(おのれ)、巳(み)、已(すでに)は、すべて正字で別の文字。

ただし、更正登記を不要とする登記研究が何点かある模様【1】

(金へんに暇)/(金へんに段)

「カ、ゲ」「タン、きたえる」

「カイ・あう」「ソウ」

会社の「会」の旧字体/曽祖父の「曽」の旧字体

る/(中国歴史上の人物「董卓」)

「かおる」「ただす・トウ」 

(かき)/(こけら)

「柿」は、右側が鍋蓋に巾

「杮」は、右側が鍋蓋でなく巾が一を突き抜ける。

「かん」「かん」

館(食ヘン)/舘ひろしの「舘」

かん/貴族の「貴」

(正字)/𠮷(口の上が士ではなく土であるもの。俗字)

「きち」

「き(け)」

中が「メ」と「米」

「くちる」「とち」

(下が「木」)/(下が「米」)

「くり」「あわ」

「栗」は、下が「木」

「粟」は、下が「米」

「きびしい/ゲン」「いわお」

工場の(漢字)/(カタカナ)

「コウ」

浩の「牛」が「口」方向へ突き抜けた漢字

「コウ/いさお」「コウ/たくみ」

(さとる)/(あおぎり)

「ご」

「さい」

「さかえ」

【2】/

「さき」

「シン」

「シン・すすむの『晋』」と「普通の『普』」

上に「〃」がないものと、あるもの

「ま・シン」

「たかし・シュウ」

(さんずい)/(にすい)

明治の「治」と、陶冶の「冶」

「すばる」と「コウ」

「すばる」の左にヒゲがないのが「コウ」

「セン」「ギ・よろ(しく)」

「宣伝の宣」と「宜しくの『宜』」

(一番右が「頁」)/(一番右が「刀」「貝」)

「せ」

(うかんむりの下が「王」「缶」)/(うかんむりの下が「王」「尓」)

「たから・ホウ」 

「タイ・おおきい・はなはだ・やすい」「シン・はた」

(正字)/

「たかい・リュウ」

「たか」といわゆる「はしごだか」

「たかし・シュウ」

(山が二つ)/(山が一つ)

「たたる」「あがめる」

「たん・わたる」

「タク・みがく」

「豕」の真ん中に点が無いものと、有るもの。別の文字である。

涿

「タク」

「豕」の真ん中に点が無い漢字は、無い。

「ついばむ」

「豕」の真ん中に点が無いものと、有るもの。

「啄(点が無い)」が正字であり、同じ文字である。

(くさ冠)/(たけ冠)

「とう」

「とお・る」と「う・ける/キョウ」

「とく」

「とま」

「とみ」

 

(漢数字)/(カタカナ)

「二」「ニ」は「一」の間隔が異なる。

西(正字)/(俗字)

「にし」

「はま」

う冠の下が「少」のような字/う冠の下が「四」のような字

か/

「はるか」

「ばん」

「ばん」

船に「皿」と「石」

「ひろ」

「普通の『普』」と「シン・すすむの『晋』」

上に「〃」があるものと、ないもの

(右側が「公」)

「ふね」

(ひらがな)/(カタカナ)

「へん」

「ます」

「めぐみ」

心の上が「つきぬけない」「つきぬけて虫みたいな」

「おおきい・タイ」と「はた・シン」

「ゆたか」

しめすへんに「谷」/しめすへんに「右」/にんべんに「右」

「よろしい」と「のべる・のたまう」

 

「りん」

「ろう」

【1】似て非なる漢字「己」「已」「巳」について/海老名あすはれ司法書士事務所/https://ebina-asuhare.com/blog-20210222-jpncharacters-mi/最終アクセス220520

【2】とよく似た文字にがある。左の文字は「立の下が可」であるが、右の文字は「可」のように五画ではなく「」の部分を一筆で書き四画である。

左は俗字であるものの正字等として人名に使われる。

右は誤字であるが登記で利用できる「登記統一文字」に搭載されているため誤って登記で利用しないよう注意が必要である。

【文字に関する便利サイト】

3.正字と俗字


氏名変更登記、氏名更正登記の要否

特殊な文字は、戸籍統一文字情報で検索してください。

検索結果で「親字・正字」欄に文字が入っていない場合には、「正字」です。

「正字」か「俗字」かの判定方法について「戸籍統一文字情報」を使って具体的に説明します。

戸籍統一文字情報「巳(み)」
戸籍統一文字情報「巳(み)」

上記写真で「親字・正字」欄に文字が表示されていないので「巳(み)」が正字であることが分かります。

戸籍統一文字情報「杮(こけら)」
戸籍統一文字情報「杮(こけら)」

上記写真で「親字・正字」欄に文字「𣏕」が表示されているので「杮(こけら)」が「𣏕(ハイ)」の俗字であることが分かります。


【参考】登記研究461号117頁
登記名義人の氏名が昭和58年3月22日民二第1501号民事局長通達による「誤字・俗字一覧表」中の誤字又は俗字で記載されている場合には、登記名義人の表示を正字に更正(登記)する必要はない。 

名変・更正登記漏れをしたときは・・・

閉鎖登記簿を閲覧し、手書き登記簿からコンピューターへの移記の際に文字が変わっていないかも確認する。

フォントを変えると・・・

別の字体になることがあるので、要注意です。

俗字でもそのまま登記すべきか?正字で登記すべきか?(特に、会社法人登記の役員氏名)

「俗字」で登記することも可能ですが、この時代「俗字」にこだわると、確実に損をします。

「俗字」で登記した場合、次のようなデメリットがあります。

  • 珍しい俗字だと、メールをしたりする際、取引相手に苦労させる可能性がある。
  • 文字化けする可能性がある。
  • 空白表示になる可能性がある。
  • 検索エンジンに掛からない可能性がある。

4.変体かな


古い戸籍を読めないとき、それは「変体かな」かもしれません。

こちらのサイトをスクロールし「収録グリフ一覧」をご参照ください。

5.人名(見た目、読み方が似て間違いやすい)


電話で氏名の文字を音読してもらい書き取る際に、ご注意ください。

あらい

「荒井」/「新井」

いとう

「伊東」/「伊藤」

おぎの/はぎの

「荻野」おぎの/「萩野」はぎの

荻(おぎ)は左下がカタカナの「オ」。

 

おぎわら/はぎわら

「荻原」おぎわら/「萩原」はぎわら

 

おおた

「太田」おおた/「大田」おおた

 

おおむら/だいつい

「大村」/「大対」

きくち/きくいけ

「菊地」きくち/「菊池」きくち・きくいけ

 

かんの/すがの

「菅野」かんの/「管野」すがの

草冠と竹冠

 

かわもと

「川本」「河本」「川元」「河元」

こしば/こむらさき

「小柴」こしば/「小紫」こむらさき

 

こうさか

「勾坂」/「匂坂」

ク?の中が「ム」と「ヒ」

ともに(こうさか)と読む

 

ごんどう

「権東」「権藤」「権堂」

 

しばた/そめだ

「柴田」しばた/「染田」そめだ

 

しば/むらさき

「柴」しば/「紫」むらさき

そめだ/しばた

「染田」そめだ/「柴田」しばた

たけうち/たけなか

「竹内」たけうち/「竹中」たけなか

 

たまき/たまき

玉置/玉木

 

はぎの/おぎの

「萩野」はぎの/「荻野」おぎの

荻(おぎ)は左下がカタカナの「オ」。

 

はぎわら/おぎわら

「萩原」はぎわら/「荻原」おぎわら

 

はまだ

「濱田」「濵田」

  「早田」はやだ/「旱田」ひでりだ

ほりい

「堀井」「掘井」

土編と手編

 

「紫」むらさき/「柴」しば

 
「吉田」よしだ/「古田」ふるた

 
「良基」りょうき/「良墓」

わたなべ

「渡邉」「渡邊」

6.同音異義語


いう

いう(ひらがな)/言う

「という」を参照。

おすすめ

お奨め/お薦め/お勧め

「お奨め」頑張ってやりましょうと促す。奨励

「お薦め」複数から選んでその選択を促す。推薦

「お勧め」自分と一緒にやろうと促す。勧誘

かいてい/かいせい

改定/改訂/改正

「改訂」は、間違いを正す。文章や文字を訂正する。例)改訂版

「改正」は、間違いを正す。制度そのものを訂正する。例)法改正

「改定」は、単に変更する。例)料金改定

かわり

代わり/変わり/替わり/換わり

 

かんり

管理/監理

「管理」(たけかん)は、業務や組織を取りまとめること。

「監理」(さらかん)は、建築士が建設の工程や設計通りかを監督すること。

きてい

規定/規程

「規定」は、規則を設けて定めること。また、その定め。

例)法律の規定、規定に従う、前条で規定する

「規程」は、事務手続きに関するルール。

例)旅費規程、職務規程

こうぎょう

工業/興業/鉱業

会社の商号・目的で間違いやすいので注意です。

こうこく

公告/広告

 

こえる

超える/越える

「超える」は、数量などが基準以上になること。

「越える」は、上を通り過ぎる、向こう側へ行くこと。

さくせい

作成/作製

「作成」は、書類や計画をつくること。

「作製」は、品物や図面をつくること。

じゅうぶん

十分/充分

「十分」は、量的、数的に満たされること。

「充分」は、感覚的、精神的に満たされること。

通常使用するのは「十分」で良い。

しょうしゅう

招集/召集

「招集」株主総会などへの参加を呼び掛けること。

「召集」国会議員に集会を命じる行為

すすめる

薦める/勧める

「薦める」は、良い点を上げて、採用を促すこと。

「勧める」は、相手を誘い促すこと。

せいさく

製作/制作

「製作」は、実用的な商品を道具や機械でつくること。

「制作」は、創作活動。芸術作品などをつくる。

せいさん

清算/精算

「清算」は、貸し借りの結末をつける。関係を解消する。

清算結了、清算条項、借金の清算、過去を清算する。

「精算」は、精密に計算する。

経費の精算

せたい/せだい

世帯/世代

「世帯」は、住居及び生計を共にする者の集まり(又は単身者)のことです(参照:厚労省・用語の解説)。

「世代」は、「祖父母の代」「父母の代」「子の代」です。

つとめる

努める/勤める/務める

「努める」は、努力する。

「勤める」は、勤務する。

「務める」は、任務を果たす。

ていじ

提示/呈示

「提示」は、相手がわかるように見せること。

「呈示」は、単に見せること。

全て「提示」で統一すれば良い。

できる

できる/出来る

通常は、すべて平仮名「できる」とし、「出来る」は使わない。

単語の一部であるときのみ漢字を使う。

出来事・上出来

でんき

電機/電気/電器/電軌

会社の商号・目的で間違いやすいので注意です。

という

と言う/という(平仮名)

「と言う」は、実際に声に出して言っている。

「という」は、前後の言葉が一緒の意味を指す。

「あなまちと言う男性」→実際に男性が「あなまち」と言ってる。

「あなまちという男性」→あなまちさんという男性がいる。

はじめて

初めて/始めて

「初めて」は、自分や他人にとって、first。おはつ。副詞

「始めて」は、自分や他人がStartする場合。動詞。

ひょうき

表記/標記

「表記」は、表面に記載のとおり

「標記」は、標題(メールタイトルなど)記載のとおり

ほしょう

保証/補償/保障

「保証」は、製品などの製品に大丈夫だと請け合うこと。

「補償」は、損失などを補填すること。

「保障」は、障害のないように保つこと。

ほか

外/他/ほか

すべて「外」又は「ほか」で良い。

「た」と発音するときしか「他」は使わない。例「その他」

7.それ以外


おんしゃ/きしゃ

御社/貴社

「御社」は、話すとき使う。

「貴社」は、書くとき使う。

さま/との

〇〇様/〇〇殿

「〇〇様」は、お客様などに使う。

「〇〇殿」は、対等。事件の相手方などへ使う。

ご住職/お坊様

「ご住職」を使う。

「お坊様」は失礼なので、使わない。

ていしゅつ/ていじ

提出/提示

「提出」は、渡す。返ってこない。

「提示」は、見せる。返ってくる。