司法書士法人の支店化


一時期、司法書士法人から「法人の支店にならないか」と声を掛けられることがありました。

彼らからしたら「あなたのまちの司法書士事務所グループ」を丸ごと飲み込むことができれば、それは大きなメリットになったのでしょう。

 

彼らがいうメリットは「法人のスキームを提供します」「顧客も紹介します」「規模のメリットで勝負できます」「法人という安心感を市民に提供できますよ」「求人で有利ですよ」

面白い!そして、声を掛けていただいたのは、ありがたい!

 

でも、元々「枝葉になりたくない」という気持ちがあったから開業したわけです。

そして、私たちも司法書士なんだから、スキームを一応検討しておくべきだろうという事で検討しました。その当時の資料を公開します。支店になるよう誘われた個人開業の先生方の参考になれば幸いです。

彼らの言うメリットは本当か?!


  1. 「法人のスキーム」
    本当に当事務所よりも優秀なスキームを構築できているのか?研修会でも見ることが少ないし、われわれ主宰の勉強会にも来ておられません。
  2. 「顧客の紹介」
    われわれのサービスは、身近な人々や法人に、顔の見える形で、提供したい。下請けみたいに、仕事を振られたくない。それに、お客様はいくらでもいらっしゃる!
  3. 「規模のメリット」
    たかだか国内に10店舗、20店舗では、規模のメリットなんて無いに等しい。そもそも、市民誰でもが知っている司法書士事務所なんてない。
  4. 「法人という安心感を市民に提供できますよ」
    市民の中に「法人だから安心」という幻想があるのは確か。
  5. 「司法書士本職が死亡しても、法人なら継続して依頼を全うできる。」
    これも、本当です。ただ、法人事務所ではない合同事務所や事務所グループであっても同じです。事務処理上の手続は必要だけれど。
  6. 「求人に有利」
    司法書士事務所の合同説明会で、嫌と云うほど、味わいましたので、これは、本当ですね。

司法書士法人の支店化デメリット


法人支店になったときの、デメリットも検討してみました。

  1. せっかく開業したのに「食べていけず、法人傘下に下った」イメージが付いて回り、プライドが傷つく。
  2. どれだけ支店の独立性が保証されるか疑問。市民のために色々な仕事をしたいのに、万一「登記しかするな」なんて言われたら・・・それに、法人の方針に左右されたり、他人に指示されて仕事するなんて嫌
  3. 自分より能力が劣る人間が、上司になるかもなんて考えただけで嫌。
  4. 他の司法書士が業務上ミスして損害を与えた場合、自分も無限連帯責任なんて嫌。
  5. 法人課税と個人課税で二重課税されてしまう。
  6. 社会保険になって、費用負担が増す。
  7. 司法書士が発行する領収書に収入印紙を貼らねばならず、費用負担が増す。僅か200円でも、塵も積もれば大負担。
  8. 個人であれば、売上に応じて、家に持ち帰る額を上下できるけれど、法人ではそうは行かない。
  9. 儲かったときに、個人なら自分にボーナス支払えるけれども、法人であれば、ボーナス支払っても損金算入できず、二重課税される。
  10. 大きな組織でやると、利益相反が生じやすく、受託できないケースが増える。もっとも、登記しかできない法人だったら関係なさそう。
  11. 利益相反の判断をする際、全ての本支店に確認しないといけないのが面倒。
  12. 今まで、結構な法人が設立されては解散しているが、解散手続は間違いなく面倒。

デメリットから「13.法人解散後結了までは、法人でも個人でも事件受託できない」を削除しました(令和4年3月28日付)。

当メディアの読者から次の情報提供を受けたためです。情報提供ありがとうございます。

  • 解散した司法書士法人の社員は、当該司法書士法人の清算人に就任したか否かにかかわらず、競業避止義務を負わないことから、自己若しくは第三者のためにその司法書士法人の業務の範囲に属する業務を行うことができる(平成26年7月29日付日司連常発第42号)。
  • 司法書士法第42条第1項は、司法書士法人の社員の競業及び他の司法書士法人の社員となることを禁止していますが、解散した司法書士法人の社員は、前記通知のとおり競業避止義務を負わないことから、当該司法書士法人の清算人に就任したか否かにかかわらず、他の司法書士法人の社員となることができると思料いたします(平成27年8月31日付日司連常発第58号)。  

別のスキーム


ここに別のスキームがあります。

私たちのスキームであれば、先生方にもシッカリとメリットを提供しながら、国民に対する私たちの使命を全うできる。

そんな素晴らしいスキームに興味をお持ちの先生方は是非、「あなたのまちの司法書士事務所グループ」へのご入会をご検討ください。