不動産(仲介)会社なしで行う不動産取引


不動産売買をするときに「売主も買主も売買代金も決まっているから、不動産会社に仲介を依頼して仲介手数料を支払いたくない。」そんな方が増えています。

当グループでは、このような場合も、不動産会社に仲介を依頼すべきと考えています。それでも、デメリットを十分ご理解いただいたうえであれば、次善の策をご提案します。

それでは、不動産会社を入れないで個人間売買をするデメリットは何でしょうか?!

次に、そのデメリットを最小にするためにはどうすれば良いでしょうか?!

(不動産売買についてのコラムです。不動産賃貸借については別のコラムをご参照ください。)

もくじ
  1. 仲介とは
  2. 仲介手数料とは
  3. 不動産会社(仲介会社)なしのメリット
  4. 不動産会社(仲介会社)なしのデメリット
  5. 実際にあったトラブル
  6. デメリットを最小にするには?!  

仲介とは


仲介とは、売主・買主の間に立って、不動産売買契約を成立させること、又はそれを業とする不動産会社のことをいいます。「媒介」ともいいます。

 

具体的には、次のような業務を行います。

  1. 売却物件の販売活動(広告等)
  2. 契約条件の調整
  3. 契約書の作成
  4. 売主から聴取した事項や市町村での調査結果を重要事項説明書にまとめ、買主に説明する業務
  5. 契約から引渡しまでの事務手続き
  6. トラブル発生時の対応

仲介手数料とは


仲介手数料とは、売主・買主の間に入って意見の調整や契約事務などを行ない不動産売買契約を成立させた不動産会社(仲介会社)に支払う手数料のことです。

仲介手数料は取引が成立したことに対する成功報酬なので、不動産の売却や購入を依頼したものの、売買契約が成立しなかった場合は支払う必要はありません。

売主・買主ともにそれぞれ3%+6万円が必要

不動産売買では、売主と買主がそれぞれ依頼した仲介会社に対して次の仲介手数料を支払います。

売買代金(消費税除く) 仲介手数料の上限
400万円を超える場合  (売買代金〔消費税除く〕×3%+6万円)+消費税
200万円を超え、400万円以下の場合 (売買代金〔消費税除く〕×4%+2万円)+消費税
200万円以下の場合 (売買代金〔消費税除く〕×5%)+消費税

不動産会社なしのメリット


売主買主それぞれ仲介手数料が不要になる。

不動産会社なしのデメリット


買主は、重要事項説明を受けることができない。

不動産という重要な資産の購入にあたり消費者が分かっておくべき重要な事項を不動産会社が書類にまとめて行うものです。

重要事項として説明すべき事項は、次のとおりです(宅建業法35)。

  1. 不動産登記された権利の種類・内容、登記名義人
  2. 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限の概要
  3. 私道負担に関する事項
  4. 飲用水、電気、ガスの供給、排水施設の整備状況
  5. 工事完了前のときは、完了時における形状、構造等
  6. マンションのときは、敷地に関する権利の種類・内容、共用部分に関する規約の定め等
  7. 中古建物であるときは、建物状況調査等の概要等
  8. 代金以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
  9. 契約の解除に関する事項
  10. 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
  11. 手付金等の保全措置の概要
  12. 支払金・預り金の保全措置の概要
  13. 金銭の貸借のあつせんに関する事項
  14. 契約不適合責任の履行に関する措置の概要
  15. その他国土交通省令・内閣府令で定める事項

この重要事項説明書の作成と、これに基づく説明は、不動産会社でないと行うことができません。

売主は、重要事項説明をすることができない。

買主に重要事項説明をすることができないので、後日、買主から「こんな筈じゃなかった」から「契約を解除したい」や「損害賠償をして欲しい」と言われる可能性がある。

こじれたときに、間に立ってくれる人がいない。

売買の成立後(最終残代金の支払後)にトラブルが発生しても、何の対応もしない不動産会社も中にはありますが、誠心誠意、あいだを取り持とうとする不動産会社もあります。

こじれたときに、責任をとってくれる人がいない。

市販の契約書で、意味も分からず契約してしまうことになる。

契約書の各条項には、売主にとって有利な条項(買主にとっては不利な条項)、買主にとって有利な条項(売主にとっては不利な条項)があります。例えば、支払うべきときにお金を支払わなかったときの遅延損害金の利率については、お金を受け取る売主の立場であれば利率が大きい方が良く、お金を支払う買主側は利率が小さい方が良いでしょう。

これら売主有利、買主有利は、ほぼ全ての条項について、選択する必要があります。ところが、市販の契約書で、「売主有利」「買主有利」と区別されて販売されているものを見たことがありません。

 

また、不動産取引は千差万別で、「特約」に明記しておくべきことも漏れてしまうこともあります。

実際にあったトラブル


売主自身が宅建業者だから仲介手数料は要りませんを信じた買主

売主に対して、直接お願いをしたものの、(自分の味方をしてくれる仲介会社がいなかったため)それは売主の義務ではないと、相手にされなかった事例。

買主自身が宅建業者だから仲介手数料は要りませんを信じた売主

自分の味方をしてくれる仲介会社がいなかったため、買主から次々と色々な条件を出され、買いたたかれた事例。

売買不動産に欠陥があることが分かり、売主・買主間で弁護士を立てて訴訟に発展した事例。

デメリットをできるだけ小さくするには?!


先に申し上げたとおり、市販の不動産売買契約書を穴埋めするだけでは、不十分なことがほとんどです。

少なくとも、登記を依頼する司法書士に契約書作成を依頼しましょう。

司法書士の報酬・費用


不動産登記報酬に加えて、下記契約書作成報酬をいただきます。

司法書士の業務 司法書士の報酬 実費
  • 不動産売買契約書の作成
11万円(税込) 売買契約書貼用印紙額

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