裁判所提出書類(成年後見開始申立書・相続放棄申立書など)の作成を司法書士・弁護士以外の行政書士や民間企業に依頼してはいけない理由


行政書士が裁判所提出書類(添付書類を含む。)を作成したり、作成の相談に応じることは、弁護士法72条、司法書士法73条違反の違法行為です。

しかしながら、一部行政書士は「司法書士法73条の『他の法律に別段の定め』が行政書士法だ」「行政書士法1条の官公署に裁判所が含まれるから司法書士法に違反しない」などという独自の見解のもと、これらの業務を行なおうとします。

また、書類作成や代理がダメなら「サポート」や「代行」と表現すれば非司法書士や非弁護士にならないと強弁される行政書士もいますが、裁判所は実質的な判断を行う機関ですので「言い方を変えるだけ」で、違法行為が合法にはなりません。

 

そこで、行政書士が裁判所提出書類の作成又はその相談を行えない根拠である裁判例、通達などを掲載することによって、➊行政書士が司法書士法及び弁護士法違反の罪を犯すことを少しでも減らし、➋市民が誤って相談や依頼をすることを予防したいと思い、本記事を執筆しました。 

もくじ
  1. 行政書士は、裁判所提出書類の「作成」も「相談」も受けてはいけないとした裁判例・通達等
  2. 他士業の業務を行なった場合、どうなるか?
  3. それでも消えない違反事例
  4. 行政書士さんへのお願い
  5. 御礼とお願い

行政書士が裁判所提出書類の作成又はその相談を行なうことは許されないとした裁判例・通達など


古いものから順に掲載しました。

●昭和39年12月11日最高裁判決(司法書士法違反被告事件)無料でもやるのもダメ

次に所論は、被告人が、宗教的信条、良心的正義観から学問的経験を活かし、裁判所へ提出すべき書類について無報酬で指導したり、その書き方を教えたりすることは、業務に当らないし、制約を受ける理由が全くなく、これを有罪とするのは憲法一一条、一三条、一九条、二二条、二三条、七六条、九七条に違反する旨を主張するが、被告人は単に書類の書き方を指導、助言したにとどまらず、自らこれを作成していること原判示のとおりであって、所論は原判示にそわない事実を前提とする違憲の主張にすぎず、その実質は事実誤認、単なる法令違反の主張に帰するものであって、適法な上告理由に当らない。

司法書士でない者が継続反覆の意思をもつて司法書士法所定の書類を作成するときは、報酬を得る目的の有無にかかわりなく司法書士法に違反する。

●司法書士法第3条=無料でもやるのもダメ

司法書士業務を定めた司法書士法第3条に「報酬を得て」との文言がない、すなわち、司法書士でない者は無報酬でも他人の登記などの手続き等の司法書士業務はできない(司法書士法73)。

司法書士法第3条(司法書士の業務)
  

司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。 (以下略)

●平成13年12月20日日行連発第958号

日本行政書士会連合会が、各地の行政書士会に対して「最近一部単位会の会員が、行政書士事務所の表示に関して、事務所表札や宣伝広告等で、あたかも司法分野の業務にも携わっているかのような『紛らわしい表示』を使用している事例が発生しています。また、裁判所に提出書類の作成と提出についても行政書士の業務範囲であると主張して裁判所と対立している事例も発生しております。このような行為は司法書士法違反として、刑事告発される可能性があります」と、会員への指導を要請したもの

●注釈司法書士法(初版)/テイハン/平15/471頁

本条(司法書士法73条)1項ただし書の「他の法律」は、このような土地家屋調査士法と弁護士法の規定に限られる。

●平成15年8月19日日行連発第574号

司法書士法違反の捜査を行なう警察署からの照会に日本行政書士会連合会が公式に回答したもの。

●平成17年1月13日鹿児島地方裁判所加治木支部判決(平成16年〔ワ〕第12号)

被告である行政書士が「被告は、原告から本件破産申立てに関する書類の作成等を請負い、筆記や

記述の能力に不足のある原告に代わって破産申立書を代筆したり、添付書類を取り寄せるなどしただけで、委任契約を締結したわけではないし、実際に破産申立書を裁判所に提出したのも原告自身であり、本件破産申立てを代行したわけではないから、本件契約は弁護士法七十二条には違反しない。また、被告は手元にある書類や聴取結果をもとにして破産申立書を作成しており、虚偽の記載をしたわけで、もない。よって、被告は、原告に対し、報酬等として四三万六000円を請求する権利がある(既払い分の控除前) 。」と主張したのに対して・・・

裁判所が「倒産手続制度に関わる事務は、それ自体、行政書士法一条のこにあげる業務の範囲外であるというだけでなく、弁護士法七十二条の『法律事務』に該当することは明らかというべきである。そして、そのような事務の性質に鑑みると、行政書士が破産申立てに関して委任契約を締結することはもちろん、その契約の性質、形式の如何にかかわらず、行政書士が報酬を得る目的で業として契約を締結して破産申立てに関する書類作成等の行為を行うことは、弁護士法七十二条に違反する行為で、あって、それらを目的とする契約は、それが破産手続に関するという事実のみによって無効となるのを免れないというべきである。」と断じたもの。

判決文全文はコチラ

●平成17年1月25日付「日行連発H17第64号」

裁判所に提出する書類の作成は弁護士及び司法書士の専管業務

●平成19年3月9日佐賀地裁判決(平成18年〔レ〕5号)

(裁判所に提出する書類等の作成を行政書士が行ってはならないことは当然ながら)裁判所に提出する書類等の添付書類になることを知りながら「添付書類の作成・取得」も行政書士は行なってはならないとされた事例。

裁判所に提出する書類等の作成は,司法書士法78条1項,弁護士法77条3号において罰則を設けて禁止されており,連合会会長名の平成13年12月20日付け「行政書士の適法な業務の推進について(要請)」(日行連発第958号)でその趣旨が会員に対して確認されている。・・・(略)・・・法律文書の添付書類も法律文書と一体をなすものであるから,そもそも,行政書士において,依頼者が法律文書の添付書類にすることを知りながら,依頼者の求めに応じて,戸籍謄本等を入手することは,行政書士法1条の2第2項,司法書士法73条1項,同法3条1項4号,弁護士法72条に照らして行政書士として適法な業務ではない。

●平成19年10月2日福岡高裁宮崎支部判決

鹿児島県西之表市(種子島)の市会議員であり行政書士である被告人が、司法書士でないのに、業として、地方法務局出張所に提出する不動産の権利及び商業法人に関する登記申請書を依頼者に代わって作成し、司法書士の業務を行い、また、弁護士でないのに、報酬を得る目的で、依頼を受け、簡易裁判所に提出する訴状等を作成することなどの法律事務を取り扱い、他人の法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業とした司法書士法違反及び弁護士法違反の事案である。

この各犯行の罪質、動機、態様、結果等、とりわけ、被告人は、司法書士法及び弁護士法に違反することを認識しながら、行政書士にも許された業務であるとの独自の見解に基づいて、起訴に係るものだけでも、司法書士業務を約2年6ヶ月間、弁護士業務を約1年間の相当期間にわたって反復継続して行い、依頼者の多くから一定の報酬も得ていた。

本裁判例は「弁護士又は弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、他人の依頼を受けて裁判所に提出する書類を作成することを業とすることは、弁護士法72条により禁止されているとともに、司法書士又は司法書士法人でない者が裁判所に提出する書類を作成する業務を行うことは、司法書士法73条1項により禁止されているのであって、行政書士法1条の2第2項により行政書士の業務として行うことができないものであり、したがって、同法1条の2第1項に規定された『官公署に提出する書類』に、裁判所に提出する書類が含まれると解することはできない。」と断じている。

懲役1年(執行猶予3年)

●平成20年1月16日最高裁第二小法廷判決

平成19年10月2日福岡高裁宮崎支部判決の上告審

「被告人本人の上告趣意書のうち、司法書士法73条1項、78条1項の違憲をいう点は、存在するとは認められない社会通念を前提とするものであるから、所論は前提を欠」く。

行政書士の懲役1年(執行猶予3年)が確定した。

●平成20年1月30日福岡高裁宮崎支部判決

「司法書士法73条1項は、行政書士法1条の2第2項及び1条の3ただし書の『他の法律』に該当するというべきであり、司法書士法73条1項ただし書所定の除外事由があるとする控訴人の上記主張は、採用することができない。」(登記情報567号111頁)

●平成21年2月9日札幌地裁刑事第3部判決(平20〔わ〕1189号)

行政書士である被告人が、弁護士法及び司法書士法について独自の見解のもとに非弁行為、非司行為を繰り返してきた。行政書士は、3か月以上にわたる身体拘束を受け、懲役1年6月(執行猶予3年)の判決を受け、行政書士を廃業した。

「独自の見解」が如何に危険なものかが分かる裁判例であり、全文を引用する。 

主文

被告人を懲役1年6月に処する。

未決勾留日数中40日をその刑に算入する。

この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(犯罪事実)

被告人は、弁護士でなく、司法書士でもなく、かつ、法定の除外事由がないのに、報酬を得る目的で、

1 被相続人Aの相続に関し、相続人Bから相続放棄を求められていた他の相続人Cらから、遺産分割に関する交渉等について依頼を受け、

(1) 平成17年4月15日ころ、当時の北海道●郡●町字●番地のB方において、Bらとの間で、Cの相続分を主張して100万円の支払を求めるなど遺産分割に関する交渉をし、

(2) 平成17年4月24日ころ、●市●区●町●丁目●番●号●郵便局において、Bに対し、相続財産に関する資料の提出を求めるとともに限定承認するのかどうかについて返答を求めるなどの内容を記載した通知文書を郵送し、

2 被相続人Dの相続に関し、包括遺贈を受けたことにより相続人Eから遺留分減殺請求を受けた包括受遺者Fらから、同請求に関する法律相談及び解決処理等について依頼を受け、

(1) 平成18年4月21日ころ、●市●区●条●丁目●番●号●郵便局において、Eに対し、遺留分減殺請求には応じられないが、相続財産の一部である不動産についてEが相続することを認める方向で話し合う用意はあるとの内容を記載した遺留分減殺請求に対する回答書を郵送し、

(2) 平成18年6月5日ころ、●市●区●条●丁目●番●号●郵便局において、Eに対し、前記回答書に対する返答を催促する内容を記載した催告書を郵送し、

(3) 平成18年9月上旬ころ、北海道●郡●町字●番地E方において、Eらとの間で、相続財産の一部である不動産についてEが相続することで解決することを勧めるなど遺留分減殺請求に関する交渉をし、

3 賃貸人Gから賃借人Hに対する賃貸借契約の解除に基づく建物明渡請求に関し、Hから、同請求に関する法律相談及び解決処理等について依頼を受け、平成19年2月3日ころから平成19年5月10日ころまでの間に、●市●区●条●丁目●番●号G方に宛てて回答書を郵送し、その返答を郵送で受け取るなど文書を取り交わす方法により、Gとの間で、建物明渡請求には応じられないと回答しつつ立退料の支払を要求するなど建物明渡請求に関する交渉をし、

4 別表記載のとおり、保佐開始等事件などに関し、Iらからの依頼を受け、平成18年2月上旬ころから平成20年10月上旬ころまでの間に、●●市●区●●●●●●番地●●●被告人方において、裁判所に提出する保佐開始申立書などの書類を作成する業務を行い、

もって、報酬を得る目的で一般の法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業とした。

 

(法令の適用)

罰条

弁護士法違反の点 弁護士法77条3号、72条

判示4中の司法書士法違反の点

司法書士法78条1項、73条1項、3条1項4号

科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段、10条(重い弁護士法違反の罪の刑で処断)

刑種の選択 懲役刑を選択

未決勾留数の算入 刑法21条

刑の執行猶予 刑法25条1項

訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文

 

(量刑の理由)

本件は、行政書士であった被告人が、一般の法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業としたという弁護士法違反(そのうち、裁判所に提出する書類を作成する業務を行った点については、更に司法書士法違反)の事案である。

被告人は、弁護士法や司法書士法について独自の解釈をし、これらの法律に違反することはないという確信の下、本件各行為に及んだものであるが、平成15年に、本件と同種の行為に関し、札幌弁護士会から、弁護士法に違反する旨の警告を受けながら、これに耳を貸すことなく自らの法解釈に固執して、同様の業務を続ける中で本件に至ったものであり、その経緯に酌むべき点は見当たらない。また、被告人に自らの紛争に関する交渉や解決処理をする資格があると信じた依頼者に与えた有形、無形の被害は大きく、中には、被告人の行為により、依頼者の意に反して紛争が大きくなってしまった事案もあるのであって、本件は、依頼者らの利益や法律秩序を具体的に害した悪質な犯行であるといえる。さらに、被告人は、本件により報酬等の名目で相当額の利得を得ており、本件の利欲的な側面も軽視できない。

以上によれば、被告人の刑事責任は重い。

他方、被告人は、3か月以上にわたる身柄拘束を受ける中で自らの行為を振り返り、公判廷において、事実関係のみならず、自らの法解釈の誤りをも認めて、真摯な反省の態度を示すに至っている。そして、北海道行政書士会に対し、行政書士を廃業する旨の届出をし、今後、本件同様のいわゆる非弁活動はもとより、行政書士としての業務も一切行わず、年金で慎ましく生活していきたいと述べている。また、本件により得た利得のうち、不当利得として各依頼者に返還すべきものについては、今後必ず返還すると約束している。さらに、被告人には、見るべき前科・前歴はない。

以上のとおり、被告人のために酌むべき事情もある。

そこで、以上の諸事情や、被告人の年齢その他諸般の事情を総合考慮して、被告人に対しては、主文の懲役刑を科した上、今回はその執行を猶予することが相当であると判断した。

(求刑 懲役1年6月)

●平成26年 6月12日大阪高裁判決(WestlawJAPAN)

行政書士である控訴人が、亡Y1及び被控訴人Y4を被害者とする交通事故に関して、亡Y1らとの間でそれぞれ締結した準委任契約による報酬請求権に基づき、亡Y1の相続人である被控訴人ら及び被控訴人Y4に対し、報酬等の支払を求めた事案において、将来法的紛議が発生することが予測される状況において控訴人が行った書類の作成や相談に応じての助言指導は、いずれもそもそも行政書士の業務(行政書士法1条の2第1項)に当たらず、また、弁護士法72条により禁止される一般の法律事件に関する法律事務に当たることが明らかであるから、行政書士が取り扱うことが制限されているものである等とした上で、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例(要約はWestlawJAPAN)。

●平成27年5月14日国民生活センターから行政書士会が「アダルトサイトとの解約交渉を行政書士はできません」との警告を受けた事例

アダルトサイトに接続し料金を請求され、消費生活センターに相談しようとしてインターネットで検索した結果、本来は業務としては行うことができないアダルトサイトとのトラブル解決をうたっている一部の行政書士に救済を依頼し、費用を請求されたという相談が2014年度に急増しました。消費生活センターに似せた名前で相談窓口を運営したり、広告を出しているケースもあります。

そこで、同様の相談事例を紹介し、消費者トラブルに遭わないための注意点等について消費者に情報提供をするとともに、行政書士の団体に業務の適正化を図ること等を要望します(平成27年5月14日付独立行政法人国民生活センター「アダルトサイトとの解約交渉を行政書士はできません!」最終アクセス令和3年1月1日)。

●平成27年 7月30日東京地裁判決(WestlawJAPAN)

〔事案の概要〕

  1. 行政書士が、相続手続を見積金額21万円で受託しておきながら、次の費用名目で見積金額の6倍に及ぶ合計122万円を領収した。
    1. 遺産分割の相手方らとの交渉の報酬額 20万円
    2. 診断書取得手数料 2万円
    3. 内容証明郵便手数料 10万円
    4. 相手方らとの交渉に際しての出張・調査費用等 30万円
    5. 相続手続費用 60万円
  2. 行政書士は相続の専門家とは到底いえないため、相続手続を受託できないにもかかわらず、依頼者の意向を無視した(理解できなかった?!)遺産分割協議を成立させた。

〔判決要旨〕

  1. 受任した相続手続は、相続人間に争いのある遺産分割に関するものであったから、本件委任契約は弁護士法72条に反し、公序良俗違反で無効であるにもかかわらず、被告は報酬として金員を受領した。行政書士が行った業務は、行政書士の業務に当たらず、弁護士法72条により禁止される一般の法律事件に関する法律事務に当たることが明らかで、本件委任契約に基づく被告の業務は弁護士法72条に違反して無効である。
  2. 行政書士は、原告が依頼した寄与分を一切考慮せず遺産分割協議を成立させたことにより損害を被った。
  3. 行政書士に対して、受け取った報酬全額122万円、行政書士が違法に遺産分割に関与したことにより原告に生じた損害額120万円、弁護士費用24万円の支払いを命じた。

行政書士が加害者となった非弁護士の典型的被害事例とも言える極めて悪質な事例であり、報酬総額の返還と損害の賠償を求められて当然。

なお、遺産分割協議の代理人となることができるのは、弁護士に限られ(金額にかかわらず)、司法書士も代理人になることはできません。

●平成29年12月15日行政書士は法律家ではありません(日弁連正式見解)埼玉弁護士会

日本弁護士連合会は、平成18年と平成24年に、日本行政書士連合会に対し、一般市民に誤解を与えるため、「街の法律家」という呼称をやめるよう、正式申し入れをしています。法律を知っているだけでは法律家とは言えません。判例、学説、裁判の実務が分かり、資格を取って初めて法律家を名乗れます。法律家なら、法律問題について間違ったアドバイスをしたとき責任を負わなければなりませんが、行政書士は責任を負わないでしょう。行政書士会の善処を望みます。

(埼玉弁護士会・行政書士は法律家ではありません(日弁連正式見解)・最終アクセス210905)

●平成30(2018)年7月23日行政書士法コンメンタール(新9版)の記載に、重大なミスがあるとの抗議に従い、出版社がお詫び・訂正したもの

他士業の業務を行なった場合、どうなるか?


逮捕勾留(司法書士法違反、弁護士法違反)される可能性がある。

逮捕・勾留されると長期に渡る身体拘束が行われる可能性があります。

突然の長期不在を家族や取引先にどうご説明されますか?

監督官庁から行政処分(戒告・業務停止・業務禁止など)を受ける可能性がある。

行政書士として、監督官庁から行政処分(戒告・業務停止・業務禁止など)を受ける可能性があります。

これらの処分を一度受けると、ネット上に情報が拡散され、一度拡散した情報が消えることはありません。これは、処分後の営業活動に悪影響を与えることは間違いありません。

未払報酬を請求できず、受領した報酬は返還が必要となる。

裁判所に提出する書類の作成(相談を含む)は行政書士業務ではない。したがって、その報酬契約は「司法書士法第73条に違反する事項を目的とする契約」として民法90条により無効となる。

無効な契約に基づく報酬は請求できない(最判昭和38.6.13参照)。また、既に受領した報酬は、不法行為による損害賠償として報酬相当額の返還義務を負う(最判平成28.6.27参照)。

一人の行政書士の違法行為によって、行政書士業界全体が軽く見られ、行政書士という資格の社会的地位の下落を招くこととなる。

逮捕され、処分され、報酬も受け取ることができない(全く割に合わない)他士業の業務を行なうということ自体、法を知らないことを自ら宣言しているようなものです。

したがって、行政書士という国家資格者が違法行為を行なうことは、行政書士業界全体が軽く見られ、行政書士という資格の社会的地位を下落することとなります。

それでも消えない違反事例


日本行政書士会連合会HP

成年後見制度は、大きく分けて法定後見と任意後見があります。法定後見は、裁判所に申立を行う必要があるため、行政書士はその説明も書類作成もできません。任意後見しか説明できないのであれば片手落ちであり、成年後見制度を行政書士が説明できるとは言えません。

また「行政書士などの法律専門職の者が成年後見人等となり」と記載されていますが、成年後見人は行政書士だから成れるのではなく、一般人でもなることができます。現に、家庭裁判所が専門職後見人として認めているのは司法書士、弁護士、そして社会福祉士だけで、ここに行政書士は含まれていません。

違法行為を行わないよう行政書士を監督すべき日本行政書士会連合会がこれでは、市民や市中の行政書士が間違えることもあるでしょう。是正をお願いしたいと思います。

日本行政書士会連合会HP/https://www.gyosei.or.jp/information/service/case-testament.html/最終アクセス220505

行政書士さんへのお願い


  1. ご自身が、裁判書類作成を行なわないようご注意ください。
  2. 周りの行政書士が、違反行為をおこなっていた場合には、警告してください。
  3. 警告できないとき、警告に従わないときには、司法書士会又は弁護士会にご一報ください。
  4. 行政書士会自体も上記のようなオカシイ取扱いをなさっています。行政書士会の役員になられた場合には、是非とも内部より改善するように働きかけてください。

そうすることで、行政書士という資格の価値が上がるものと信じております。

御礼とお願い


〔御礼〕

本記事の執筆にあたり、ある司法書士に資料原典を提供いただきました。また、記事完成後には精査もしていただきました。名前を出す必要はないということでしたが、ご協力いただき誠にありがとうございます。

 

〔お願い〕

次の文書の原典をお持ちの方は、こちらでの公開を前提にしてご提供いただければ幸いです。

  • 平成15年8月21日、日本行政書士会連合会が各単位会会長に発出したとされる「行政書士の適法な業務の推進について」日行連発第595号
  • 平成18年12月22日、日弁連が日行連に対して発出した「貴連合会発行のパンフレットの表記等に関する申入書」日弁連総第71号
  • 平成24年、日弁連が日行連に対して発出した文書

また、新しい裁判例、通知、通達などが出ましたら、お知らせいただければ幸いです。

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