取引先企業などの信用チェック(決算書編)


既存取引先や新規取引先は安全なのか、顧問先を訪問すると、相談される項目の一つです。

 

決算書から簡単に分かる安全性分析6つの指標をご紹介します。 

もくじ
  1. 安全性分析6つの指標
    1. 自己資本比率
    2. 流動比率
    3. 当座比率
    4. 固定比率
    5. 固定長期適合率
    6. 手許流動性
  2. その他重要な指標
    1. 売り上げの著しい減少
    2. 継続する経常損失
    3. 継続する営業活動キャッシュフローのマイナス
    4. 債務超過
  3. 人気の関連ページ

安全性分析6つの指標


1.自己資本比率


事業活動を返済義務のない自己資本で行っているのか?

それとも、借金でおこなっているのか?

を示す重要な指標です。

 計算方法 計算結果 優劣
自己資本比率=純資産÷資産合計  50%以上 超優良
30%以上 優良
10%未満 危険
マイナス 倒産寸前

2.流動比率


1年間の短期的な安全性を示す指標です。

「1年内にお金に変わりそうなもの」である流動資産を、「1年内に返済義務のある」流動負債で割った比率です。

計算方法 計算結果 優劣
流動比率=流動資産÷流動負債  200%以上 超優良
120%以上 まあまあ
100%未満 危険

3.当座比率


1年間の短期的な安全性(負債返済の可否)を示す指標です。

流動比率よりも厳しく判定する場合に使います。

 計算方法 計算結果 優劣

当座比率=(現金預金+受取手形+売掛金+有価証券)÷流動負債

又は

当座比率=(流動資産ー棚卸資産)÷流動負債

100%以上 理想

4.固定比率


すぐにお金に換えられない固定資産を、

返済義務のある負債で買っているのか?

自己資本で持っているのか?

を示す指標です。

 計算方法 計算結果 優劣

固定比率=固定資産÷純資産

100%未満 理想

5.固定長期適合率


長期的な安全性(負債返済の可否)を示す指標です。

上の固定比率を緩和した指標です。

 計算方法 計算結果 優劣

固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)

80%程度 平均的水準
100%超 危険

6.手許流動性


全く売上のない状態が、何か月続いても大丈夫かを示す指標です。

 計算方法 計算結果 優劣

手許流動性

=(C/Fの)現金及び現金同等物の期末残高÷月平均売上【1】

100~150%

(1~1.5か月分)

望ましい

【1】 月平均売上=(P/Lの)売上高÷12か月

 

(参考)「会計のプロがやっているA4一枚決算書速読術」日本実業出版社・公認会計士香川晋平著

その他の重要な指標


少なくともとも3期分の決算書を取り寄せ、分析します。

1.売上の著しい減少

売上の著しい減少が生じている場合、その理由も確認する必要があります。

重要顧客喪失、法改正による事業の制約などの場合には、危険です。

2.継続する経常損失

損益計算書の「経常利益」欄にマイナスや▲がついている場合は、経常損失が出ています。

3期連続の経常損失は、要注意です。

3.継続する営業活動キャッシュフローのマイナス

3期連続の営業活動キャッシュフローのマイナスは、要注意です。

種類

具体例

営業活動によるキャッシュフロー

売上収入

仕入支出

給与支出

投資活動によるキャッシュフロー 

固定資産・有価証券の売却収入 

固定資産・有価証券の購入支出

財務活動によるキャッシュフロー

株式発行による収入

借入金による収入

借入金返済による支出

配当支払による支出

4.債務超過

債務超過とは、会社が持っている資産(BSの左)よりも、将来返済義務のある負債(BSの右上)の方が大きい(=純資産の金額〔BSの右下〕がマイナス)状態です。

危険な兆候です。

軽傷

重傷

【損失】とは、利益剰余金がマイナスのこと。

【欠損】とは、分配可能額がマイナスで、資本金や準備金に食い込んでいること。

【債務超過】とは、その食い込みが激しく、資産よりも負債が大きいこと。

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