【令和3年2月15日施行】印鑑届出義務の廃止について


これまでは会社や法人を設立する際には、会社法人の実印を法務局に届け出る義務がありました。

令和3年2月15日からこの印鑑を届け出る義務がなくなります(商業登記法第20条の削除)。

義務がなくなるだけで、印鑑届出をすることは可能です。

 

令和3年2月15日以降、設立する法人について、皆さんはどうすべきか?解説します。

もくじ
  1. 法務局へ印鑑を届け出る意味
  2. 電子署名の現時点の問題点
  3. 皆様の当面の対応
  4. 皆様の今後の対応
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法務局へ印鑑を届け出る意味


「義務が無くなったのだから、届出をするのは止めておこう」というのは安易な考えです。

 

法務局に法人印を届け出ていると、法務局の開庁時間内であれば、何時でも「この印鑑が、この会社法人の実印である」と証明してくれる会社法人の印鑑証明書をわずか450円/通で発行してもらうことが可能です。

銀行や契約相手などに印鑑証明書の提出を求められることもありますが、すぐに対応することが可能なのです。

 

また、商号・本店・代表者が変更した場合に登記申請をすると、自動的に法人の印鑑証明書に記載される情報も、最新情報に更新されます。

電子署名の現時点での問題点


法務局への実印の届出とは別に、「商業登記電子証明書」というものがあります。いわゆる電子署名です。しかしながら、電子署名には現時点で次のような問題点があります。

流通していない。

ほとんとの企業や銀行は、重要な書類の場合には、実印押印と印鑑証明書の提出を要求しています。

重要な契約書だから電子署名をしましょうとなった場合でも、相手方が電子証明書を取得していなければ結局意味をなしません。

保有コストが印鑑証明書よりも高い。

電子証明書は、使うかどうかに関わらず証明期間(電子証明書の有効性を確認することができる期間)によって手数料が変わります。しかも結構高額です。

証明期間 3か月 6か月 9か月 12か月 15か月 18か月 21か月 24か月 27か月
発行手数料(円) 2,500 4,300 6,100 7,900 9,700 11,500 13,300 15,100 16,900

皆様の当面の対応


設立登記をする際には、必ず法務局に印鑑届出をすることをオススメします。

電子署名を用いた電子契約しか締結しないという場合でも、まだまだ実印押印+印鑑証明書という文化は残っていくでしょうから、取り敢えず印鑑届出をすることをオススメします。

皆様の今後の対応


今後、書面での契約は減っていき、電子契約が増えていくものと思われます。

また電子署名の値下げも検討されているようです。

皆様の会社でも、時期を見て、電子署名を導入しましょう。電子署名と印鑑届出(リアル印鑑証明書)を両方保有しておき、取引相手の要望に応じて使い分けをするのです。

 

そして、取引相手が電子署名を取得し、ほとんど全ての取引が電子署名で行われるようになったときに、印鑑を廃止すれば良いと思います。

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