遺留分に関する民法特例


せっかく後継者に株式を譲っても、他の相続人から貰い過ぎだ(「遺留分」といいます。)と主張されると、株式が分散し、後継者の立場が不安定になります。これを防止するために、特例が設けられています(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)。

但し、特例利用には、経済産業大臣の確認と、家庭裁判所の許可が必要で複雑です。

  • 確認実績117件(平成28年3月末。中小企業庁)
  • 親族外後継者も対象となった(平成28年4月1日以降)。
もくじ
  1. 民法特例のメリット・デメリット
  2. 民法特例の適用を受けるための条件
  3. 民法特例適用までの流れ
  4. 民法特例の合意の効力消滅
  5. 司法書士の報酬・費用
  6. 人気の関連ページ

民法特例のメリット・デメリット


当グループでは、メリットを最大発揮し、デメリットを最小にする制度設計を心がけています。

  何もしない 遺留分の放棄 民法特例
概要  

非後継者である相続人一人一人から家裁に遺留分を放棄する許可の申立を行う。

 

 

 

①遺留分の算定基礎財産から自社株を除く【除外合意】。

②遺留分算定の自社株評価を贈与時に固定する【固定合意】。

③除外合意と固定合意を併用する。

メリット

メリットは何もない。

 

 

 

 

◎遺留分減殺請求を予防できる。

◎後継者が安定した会社経営をできる。

 

◎遺留分減殺請求を予防できる。

◎後継者が安定した会社経営をできる。

◎条件さえ充たせば、手続は後継者一人で進められる。

デメリット

遺留分減殺請求を受けると、株式が分散し、後継者が安定経営を出来なくなる。

 

 

 

①非後継者である相続人の手続負担大。

②相続人全員が遺留分を放棄してくれるとは限らない。

③相続人ごとに家裁の判断が異なる可能性がある。

①固定合意の場合、合意時より相続時で株価評価が下がれば、後継者相続人は損をする。

 

 

 

民法特例の適用を受けるための条件


次のすべての条件を満たしている必要があります。

会社
  1. 中小企業であること
  2. 合意時点で3年以上事業継続
  3. 非上場企業

旧代表者・

現経営者

  1. 過去又は合意時点で、会社代表者であること
後継者
  1. 合意時点で会社代表者
  2. 旧代表者から贈与等で株式を取得し、会社議決権の過半数を取得【1】
  3. 後継者は、推定相続人以外でもよい(平成28年4月1日以降)
その他
  1. 後継者を含めた推定相続人(遺留分を有する者)全員と合意できること 
  2. 合意対象の株式を除くと、後継者が議決権の過半数を確保できない
  3. 後継者が代表者でなくなった場合などに非後継者が取れる措置を定めること
  4. 経済産業大臣の確認
  5. 家裁の許可

【1】後継者が2人又は3人である場合には、

議決権の10%以上を融資、かついずれの後継者の有する議決権数が贈与者の有する議決権数を上回る贈与

民法特例適用までの流れ


当グループにご依頼いただいた場合には、次のようにすすめます。

事業承継のご決断

ご相談

貴社に導入が可能かご相談をお受けします。

制度設計(事業承継プラン作成)

司法書士が貴社にぴったりマッチした事業承継を設計し、ご提案いたします。

推定相続人確定

司法書士が戸籍を収集し、推定相続人を確定します。

ご相続人間でお話し合い

各相続人との協議を行っていただきます。

合意書作成

司法書士が合意書を作成します。

都道府県への確認申請

合意書作成から1か月以内に申請が必要です。申請書は行政書士が作成します。後継者が単独で申請します。

経済産業大臣の確認

要件を充たしているか、チェックされます。

家裁への許可申立

確認から1か月以内に申立が必要です。許可申立書は司法書士が作成します。後継者が単独で申請します。

家裁の許可

当事者全員の真意に基づくものかチェックされます。許可が出れば合意の効力が発生します。

民法特例の合意の効力消滅


合意の効力が発生した後、次の場合には、合意が失効しますので、ご注意が必要です。

  1. 経済産業大臣の確認が取り消された
  2. 旧代表者生存中に、後継者が死亡・後見・保佐開始
  3. 旧代表者に(合意当事者以外にも)相続人がいた、(出生などで)新たに相続人となった。
  4. 合意当事者の代襲者が旧代表者の養子となった

司法書士の報酬・費用


業務の種類 司法書士の報酬・手数料 実費

事業承継プラン作成

110,000円(税込)  

戸籍収集(親子間のご相続の場合)

11,000円(税込)~ 3,000円~
相続関係説明図作成 33,000円(税込)~ 0円
不動産関係(登記簿・評価証明書・近隣地等)調査書類取得 1,100円(税込)/通 400円~/通
合意書の作成 22,000円(税込)~ 0円
家裁への許可申立書作成・提出 55,000円(税込) 10,000円ほど
合計【親子間の民法特例適用の場合】 231,000円~ 20,000円ほど

【1】これらの他に「都道府県への確認申請書作成・提出」が必要となります。

行政書士の業務です。

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