解散からの会社継続


 

一度解散をした会社が、事業活動を継続するならば、「会社継続」という手続を取らなければなりません。「会社継続」しなければ、会社の印鑑証明書を取得することもできません。

「会社継続」のために、皆様が決めなければならないことをコラムにしました。 

もくじ
  1. 解散後、会社継続のために必要な登記
  2. 会社継続の流れ
  3. 標準的所要時間
  4. 司法書士の報酬・費用
    1. 解散前から「取締役会」ない会社+定款整備の場合
    2. 解散によって抹消された「取締役会」を復活+定款整備の場合
    3. 取締役会廃止+定款整備の場合
  5. 人気の関連ページ 

解散後、会社継続のために必要な登記


解散登記を申請することによって職権で抹消された登記事項

解散登記を申請した場合、次の事項が登記官の職権で抹消されています(商業登記規則72)。

(休眠会社のみなし解散でも同じ事項が職権抹消されています。)

  1. 取締役会設置会社である旨の登記並びに取締役、代表取締役及び社外取締役に関する登記
  2. 特別取締役による議決の定めがある旨の登記及び特別取締役に関する登記
  3. 会計参与設置会社である旨の登記及び会計参与に関する登記
  4. 会計監査人設置会社である旨の登記及び会計監査人に関する登記
  5. 監査等委員会設置会社である旨の登記、監査等委員である取締役に関する登記及び重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがある旨の登記
  6. 指名委員会等設置会社である旨の登記並びに委員、執行役及び代表執行役に関する登記

これらの事項のうち、必要な事項を回復させなければなりません。

これを踏まえると、解散後、会社継続のために必要な登記は次のとおりです。

解散後、会社継続のために必要な登記

 登記などの種類 要否 理由など
清算人及び代表清算人の就任

(休眠会社のみなし解散の場合)解散したのに職権で登記されていません。

法律上、解散時の取締役・代表取締役が清算人・代表清算人に当然就任していますので、その登記が必要になります。

取締役・代表取締役の退任登記 任期切れにより権利義務役員となっていますが、みなし解散により退任し、すでに職権抹消されています。
代表清算人の印鑑届出 会社継続登記の申請は、復活した代表取締役から申請するのであって、代表清算人から申請するものではないから。
会社継続 解散後(休眠会社のみなし解散含む)3年以内に限る(会473)。【1】。
解散登記の抹消

会社継続登記により、職権抹消される(商業登記規則73)

清算人の退任

会社継続登記により、職権抹消される(商業登記規則73)

監査役の任期満了退任の登記

みなし解散をされても、監査役は職権抹消されていません。

会社の定款を見て、監査役の退任日を申請します。

取締役・代表取締役・監査役の就任登記  
取締役会設置会社の定め

法人の実情にあわせて【2】

決算期の変更

登記事項ではありませんが、清算事業年度によってはすぐにまた確定申告を要することになりますので、検討が必要です。

「法人税の確定申告が1回増えてしまう」をご参照ください。

代表取締役の印鑑届出  

【1】解散の日から3年以内に会社継続の決議をしていた場合には、会社継続登記は受理されますが、登記懈怠による過料が発生します。

【2】会社の実情にあわせてとは、次のとおりです。

取締役3名以上

監査役1名以上

対応方法

用意できない場合

●取締役会を廃止。

みなし解散登記と同時に「取締役会設置会社の定め」が職権抹消されている。

取締役会廃止を決議する。登記申請は行わない。

●株式の譲渡制限に関する規定の変更

「取締役会の承認」と定めている場合、「株主総会の承認」などに変更必要。

用意できる場合

●取締役会設置会社を維持。

みなし解散登記と同時に「取締役会設置会社の定め」が職権抹消されている。

何等決議不要。取締役会設置会社の定めの登記申請を要する。

会社継続の流れ


清算人会又は清算人の決定

会社継続のための株主総会招集を決定します。

株主総会に提出すべき議案を確定し、株主総会の日時・場所を決定します。

株主総会の招集

会社継続の日は、事業年度開始(清算事業年度の終了)に影響しますので、慎重に決定しましょう。

事業年度始期 事業年度末 申告
事業年度開始の日 解散とみなされた日

解散事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

解散日の翌日

会社継続日の前日

(法人税法14Ⅰ㉒)

清算事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

会社継続の日

〇定款で定めた事業年度末

×継続の日から1年

(法人税法14Ⅰ㉒)

通常事業年度の法人税確定申告

(消費税の申告)

株主総会の開催

代表取締役の選任

登記申請

会社継続登記を申請すると、登記官が職権で次の登記事項を抹消します(商業登記規則73)。

  1. 解散の登記
  2. 清算人会設置会社である旨の登記
  3. 清算人及び代表清算人に関する登記

登記完了・登記事項証明書取得

税務署へ登記事項証明書を提出

標準的な所要時間


おおむね1~2か月程度

司法書士の報酬・費用


解散される前の状態、復活後どうするかによって、次のような費用になります。

1.解散前から「取締役会」のない会社+定款整備の場合

業務内容

司法書士の報酬(税込)

費用
清算人の就任 16,500 9,000
会社継続の登記 16,500 30,000
役員変更登記【1】 16,500 10,000
議事録など作成

33,000

 
(定款整備) (33,000)  
印鑑届出 11,000  
閲覧・謄本 3,300 1,384
その他(交通費・郵送費)   3,000
合計 96,800(~129,800) 53,384

【1】監査役退任、取締役・代表取締役・監査役就任の登記

 

2.解散によって抹消された「取締役会」を復活+定款整備の場合

業務内容

司法書士の報酬(税込)

費用
清算人の就任 16,500 9,000
会社継続の登記 16,500 30,000
役員変更登記【1】 16,500 10,000
取締役会の設置【2】 16,500 30,000
議事録など作成 33,000  
(定款整備) (33,000)  
印鑑届出 11,000  
閲覧・謄本 3,300 1,384
その他(交通費・郵送費)   3,000
合計 113,300(~146,300) 83,384

【1】監査役退任、取締役・代表取締役・監査役就任(場合により会計監査限定)の登記

【2】みなし解散によって、「取締役会設置会社の定め」は職権抹消されていますので、復活する登記申請が必要です。

3.取締役会を廃止+定款整備の場合

業務内容

司法書士の報酬(税込)

費用
清算人の就任 16,500 9,000
会社継続の登記 16,500 30,000
役員変更登記【1】 16,500 10,000
取締役会の廃止【2】 16,500
株式の譲渡制限に関する規定の変更【3】 16,500 30,000
議事録など作成 33,000  
定款整備【4】 33,000  
印鑑届出 11,000  
閲覧・謄本 3,300 1,384
その他(交通費・郵送費)   3,000
合計 162,800 83,384

【1】監査役退任、取締役・代表取締役・監査役就任・(場合により会計監査限定)の登記

【2】解散登記によって「取締役会設置会社の定め」は職権抹消されていますので、決議だけで登記申請は不要です。

【3】取締役会がなくなりますので、株式の譲渡承認機関を「取締役会」から「株主総会」又は「代表取締役」に変更する必要がございます。

【4】取締役会を廃止する場合、定款の大幅見直しが必須ですので、定款整備報酬を頂戴します。

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