尊厳死宣言/リビングウィル


「尊厳死」とは、不治で末期の状態となった時に、尊厳をもって(死期を単に引き延ばすためだけに行う人工呼吸器や人工心肺装置などによる延命治療を拒否し)、自然のまま死を迎えることをいいます。

そして「尊厳死宣言」とは、尊厳死を望んでいることを、外部に対して宣言することです。この宣言を公正証書で作成したものが「尊厳死宣言公正証書」です。あなたのまちの司法書士事務所グループでは、高齢者の財産管理(成年後見制度)を通じて、多くの方々を看取って参りました。延命措置の中には、苦痛を伴うものもあります。

そういった経験から、当事務所グループでは、出来るだけご本人にご自身の最期をお決めいただきたいと考え、尊厳死宣言(リビングウィル)を推奨しています。

※「安楽死」との違い

「安楽死」は、苦痛から解放される為に、医師など第三者が薬物などを使って患者の死期を積極的に早めることです。安楽死は、日本では違法です。

もくじ
  1. 尊厳死宣言公正証書作成の流れ
  2. 標準的な所要時間
  3. 司法書士の報酬・費用
  4. 人気の関連ページ

尊厳死宣言公正証書作成の流れ


尊厳死のご決心

尊厳死宣言のご決心をされた場合には、当グループにご連絡ください。

尊厳死宣言をご依頼いただく際にお決めいただきたい事項は、こちらのページ(エンディングノート「ねがい編」)をご参照ください。

原案作成

司法書士が尊厳死宣言公正証書の原案を作成します。

ご家族の同意

尊厳死宣言の原案をご家族にご覧いただき、ご家族から承諾書(実印・印鑑証明書付)をもらいます。

公正証書作成

公証役場で宣言書を作成します。公証人に来てもらうことも可能です。

(別途公証人の日当交通費が必要)

医師へ提出

医師に提出していただきます。

標準的な所要時間


最初にお話を伺ってから、概ね1月程度です。

※ご家族が遠方にいる場合、ご家族との話し合いが完了していない場合には、時間がかかることもございます。

※公証役場の混雑具合にもよります。

司法書士の報酬・費用


業務の種類 司法書士の手数料 実費

尊厳死宣言公正証書

原案作成【注1】

110,000円(税込)~/通 公証人費用15,000円ほど
ご家族の承諾書作成 5,500円(税込)/ご家族1人 公証役場への交通費
司法書士事務所外での執務 11,000円(税込)/時間  

【注1】公証役場との連絡調整費用を含みます。

Q&A よくあるお問い合わせ


Q.尊厳死宣言にはどういう内容を記載しますか?

尊厳死宣言は、決まった書き方があるわけではありませんが、ご本人の希望を叶えるため次のような内容を記載しておくべきです。

  1. 尊厳死を希望する意思表明 延命のためだけの治療を拒否し、苦痛を和らげる治療以外の措置を控えてもらい、安らかな最期を迎えるようにして欲しいという希望を記載します。 突然の心停止がおとずれたとき蘇生を行なうか、食事を摂れなくなったらどうするかなどを記載します。
  2. 尊厳死を希望する理由 尊厳死を希望する理由を記載します。理由を記載することで、家族や医療関係者への説得力が増します。
  3. 家族の同意 本人が尊厳死を強く希望しても、家族が反対をしたら医師はそれを無視出来なくなります。家族が了承していることについても記載し、家族から署名・押印(実印)と印鑑証明書を添付してもらいます。
  4. 家族や医療関係者への配慮 延命治療の中止によって、家族や医療関係者が法的責任を問われないように、警察・検察等関係者に対して配慮を求める記載が必要です。刑事責任だけでなく民事責任も問われないように要望します。
  5. 宣言の効力 自身が心身ともに健全なときに宣言書を作成したこと、自身が宣言を破棄・撤回しない限り有効であることを記載します。

Q.尊厳死宣言を公正証書で行なう意味は?!

尊厳死宣言は、「公正証書」で作成することをオススメします。「その時」が来たとき・・・公正証書にしておくことで「あなた自身」が「ハッキリ」とした意識の元で宣言したことを医師に証明できるからです。尊厳死宣言は、第三者に偽造や捏造をされると、ご本人にとって大きなリスクとなります。 公正証書でなければ、ご本人が作成したものか明確でないため、医師も慎重な対応をせざるを得ません。そうなると、尊厳死宣言自体が無意味なものになってしまいかねません。 公正証書であれば、本人の身分と意思を共に公証人が確認をしますので、医師が安心して尊厳死宣言に従うことができます。また、私文書ではなく「公正証書」で作成するということによって、本人の尊厳死に対する強い意志を感じさせることが出来ます。


Q.尊厳死宣言を公正証書で行なっておけば、必ず私の尊厳死宣言は守られますか?!

次の二つのパターンが考えられます。①尊厳死宣言公正証書を作成していることを医師が知らなかったとき、②尊厳死宣言公正証書は医師に渡ったが、医師が従わないときです。

  1. 尊厳死宣言公正証書を作成していることを医師が知らなかったとき こういった事態を避けるために二つの方法をご提案します。入院の際に、医師に直接お渡しいただくほか、司法書士がお預かりしておき、ご本人から入院のご連絡があった際に病院までお届けすることができます。
  2. 尊厳死宣言公正証書は医師に渡ったが、医師が従わないとき 公正証書で作成された尊厳死宣言であっても、法的強制力はありません。すなわち、医師に対して、尊厳死をさせなければならない義務を負わせることできないのです。日本には尊厳死についての法律が有りませんので、最終的には医師の判断に委ねることになるからです。 しかしながら、尊厳死についての認知度は年々上昇しており、近年は、医師が尊厳死を許容するケースが9割を超えています。

このことから、尊厳死を望んでおられる方は尊厳死宣言書を作成されるべきだと考えます。そして、医師へより強く訴えかけることが出来る公正証書での作成をおすすめします。


Q.尊厳死宣言について家族の承諾は必ず必要ですか?

ご本人が尊厳死を強く希望しても、ご家族が反対をしたら医師はそれを無視出来なくなります。その場合、尊厳死宣言書を作成していたとしても、尊厳死宣言自体が無意味なものになってしまいかねません。ご家族からの承諾が得られない場合は、尊厳死宣言書の作成を一旦中断し、ご家族を説得できるまで尊厳死宣言書の作成を待つべきだと考えます。


Q.尊厳死宣言があります。一度装着した人工呼吸器を外すことは可能ですか?

すでに人工呼吸器を使っている場合、これを外すことは困難です。現在の日本の法律では、外す行為が犯罪になってしまうからです。これは尊厳死宣言が行なわれていても同じです。尊厳死宣言の中に、あらかじめ「人工呼吸器は使わないでください」と明記するか、その旨を医師に告げておく必要があります。


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