【図解】景表法(不当景品類及び不当表示防止法)


商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めています。

禁止されている不当な表示


  内容 具体例

優良誤認表示

(景表法5①)

  • 商品サービスの「内容」を実際よりも著しく優良であると示す表示。
  • 事実に相違して競合他社よりも著しく優良であると示す表示。
  • ただの国産和牛を神戸牛と表示する行為
  • 中古自動車を売却する際にメーターを巻き戻す行為

有利誤認表示

(景表法5②)

  • 商品サービスの「価格」を実際よりも著しく「安い(有利である)」と誤認される表示
  • 競合他社よりも一般消費者に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
  • 「今だけ無料!」と広告しつつ、実際は5年近くTVなどで無料キャンペーンを行なう(アディーレ法律事務所)。

その他誤認されるおそれある表示

(景表法5③)

  • 商品サービスについて一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると内閣総理大臣が指定するもの
 

【1】「著しく」がキーワードです。

「単なるお得感・良い品感」を演出するのは、商売であれば常識。セールストークの範囲内として許容されます。

表示がどの程度が行き過ぎで、どの程度はセーフなのかは、「消費者庁HP・表示対策」をご参照ください。

違反に対する制裁


行政による指導・制裁(措置命令・課徴金・刑事罰)

「景品表示法違反被疑事件の調査手順」消費者庁HP
「景品表示法違反被疑事件の調査手順」消費者庁HP

【1】措置命令を受けると消費者HPにおいて会社名を公表され(景品表示法関連報道発表資料2021年度/消費者庁/最終アクセス210612)、会社の信用は下落します。与えられた「弁明の機会」に最大限の弁明を行ない措置命令が下されることを回避する必要があります。

【2】課徴金納付命令:課徴金は不正に得た利益を社内に留保させないためのものであり、不正に期間の売上の3%を納付する必要があります(景表法8)

【3】刑事罰もあります(上表には記載がありません。)。

  • 措置命令に従わなかった場合には、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます(景表法36)。
  • 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、措置命令に従わなかったときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、3億円以下の罰金刑を科する(景表法38Ⅰ①、38Ⅱ①)。
  • 措置命令のための調査に対し虚偽報告・報告拒否・妨害・忌避したときは、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます(景表法37)。
  • 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、措置命令のための調査に対し虚偽報告・報告拒否・妨害・忌避したとき、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、300万円以下の罰金刑を科する(景表法38Ⅰ②、38Ⅱ②)。
  • 措置命令に反する計画を知り、その防止に必要な措置を講ぜず、又はその違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかつた当該法人の代表者、当該事業者団体の理事その他の役員若しくは管理人又はその構成事業者(事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者が構成事業者である場合には、当該事業者を含む。)に対しても、同項の罰金刑を科する(景表法39、40)。

適格消費者団体からの申入れ・公表・差止請求訴訟

特定適格消費者団体からの共通義務確認訴訟

消費者の被害額は数万円から数十万円と比較的少額なことも多く、司法書士や弁護士に訴訟を依頼しても費用倒れに終わる可能性があります。

そこで「消費者団体」のうち内閣総理大臣から認定を受けた「適格消費者団体」は、消費者の利益を不当に侵害している事業者に対して、➊不当な契約条項の改正を求めて申し入れ、➋申し入れたことの公表、➌申し入れを無視したり改善されなかった場合の差止請求訴訟を行うことができます(消費者契約法12条以下)。

さらに「適格消費者団体」のうち、さらに特別の条件をみたし内閣総理大臣から認定を受けた「特定適格消費者団体」は、➍違法な契約によって受けた消費者の金銭的な被害を「共通義務確認訴訟」によって回復することができます(消費者裁判手続特例法〔正式名称:消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例法〕)。

 

消費者団体の情報発信力を甘く見てはいけません。事業者としては適格消費者団体・特定適格消費者団体からの申入れを無視することなく、真摯に検討対応する必要があります。

被害者からの損害賠償請求

景表法に故意・過失により違反して、第三者に被害を与えた場合には、不法行為として損害賠償請求を受ける可能性があります。

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