建物建築に際しての周辺住民への説明義務


建物を建築するにあたって、周辺住民の方から「どんな建物を建築するのか説明せよ」との申入があった場合、どのように対応すれば宜しいのでしょうか?

民法・建築基準法・建設業法上の義務


これらの法律には、建物を建築するにあたって、建築主に周辺住民の方への説明義務を課した規定は存在しません。

都道府県・市区町村の条例


都道府県によっては、周辺住民などへの説明を義務にしている場合があります。

建築する建物の存在する地方自治体の条例を確認する必要があります。

神戸市の場合「神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例」

第11条(説明の実施)

1 指定建築物(第2条第5項の表の左欄に掲げる対象区域の区分に応じ同表の右欄に掲げる対象建築物又はワンルームマンションに限る。)【1】の建築をしようとする建築主その他の建築主【2】等は、近隣の所有者等に対し,説明会の開催その他の方法により当該指定建築物の建築計画の内容その他必要な事項に関する説明(以下「説明」という。)を、規則で定める図書を提示してしなければならない。ただし、市長が特に必要がないと認めたときは、この限りでない。

2 市長は、前項の建築主等に対し、規則で定めるところにより、説明に関する報告を求めることができる。

3 前2項の規定は第1項の計画の内容の変更について、前条第3項の規定は説明の実施について準用する。

【1】説明義務を負うのは、2条5項の指定建築物ABCのうち「ABの建築物のみ」です。

A 中高層建築物  

 

 

 

 

 

 

   対象用途地域(容積率)  対象建築物
 

第1種低層住居専用地域

第2種低層住居専用地域

地階を除く階数が3以上の建築物又は

住戸を40戸以上有する共同住宅

 

第1種中高層住居専用地域

第2種中高層住居専用地域

第1種住居地域

第2種住居地域

準住居地域

用途地域の指定のない区域

近隣商業地域(容積率200%に限る)

準工業地域 (容積率200%に限る)

高さが10メートルを超える建築物又は

住戸を40戸以上有する共同住宅

 

近隣商業地域(容積率200%を超える)

準工業地域 (容積率200%を超える)

商業地域  (容積率400%以下)

工業地域

高さが15メートルを超える建築物又は

住戸を40戸以上有する共同住宅

  商業地域  (容積率400%を超える) 住戸を40戸以上有する共同住宅
 

【1】次の区域については、用途地域にかかわらず対象外の扱いとなります。

① 都市計画法による臨港地区

② ポートアイランドの一部、六甲アイランドの一部、神戸空港の一部(http://www.city.kobe.lg.jp/business/bussiness/koyusuimen_22_kuiki.html)

③ 流通業務市街地の整備に関する法律による流通業務地区

④ 都市緑地法による特別緑地保全地区

【2】建築物の一部がこの表の対象地域に属さない場合及び対象地域の2以上にわたる場合においては、右欄中「建築物」とあるのは「部分を有する建築物」として適用されます。

【3】中高層建築物の対象となる建築物かどうかを判断する際の建築物の高さは、建築基準法施行令第 2 条の規定による「地盤面」からの高さによります。ただし、階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の1/8以内の場合においては、その部分の高さは 12 メートルまでは当該建築物の高さに算入しないものとします。

  (上記表は、「令和元年9月版『神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例』による指定建築物建築届の手引き」3頁より抜粋した)
B ワンルームマンション  
  住戸専用面積が30平方メートル未満の住戸(18平方メートル未満の管理人室を除く。以下この条において同じ。)を10戸以上有する共同住宅又は長屋(他の用途を併存し,又は併設するものを含む。以下同じ。)(2条3項)
C 特定共同住宅  

 

住戸を10戸以上有する共同住宅又は長屋のうちワンルームマンションを除くもの(2条4項)

【2】建築主その他の建築主とは

建築主若しくは建築物の設計者又は建築物の工事施工者(請負工事の下請人を含む。)若しくは工事監理者をいう(条例2条7項)

説明義務の対象外である場合


条例にも該当せず、説明義務がなかったとしても、今後ご近所さんになる方々です。

感情的なしがらみが残らないように「法律や条例上の説明義務はないことをハッキリとご説明したうえ、差し障りのない範囲で説明する」ことをオススメいたします。

人気の関連ページ