コロナ禍での株主総会運営


政府も、多数が集まる集会などの開催の自粛や延期を求めています。

 

責任ある企業としては、

集会の自粛要請に応えながらも

法律通りの手続きを実践する必要があります。

皆様がこの非常事態を乗り越えていく一助になれば幸いです。

 

※ 2020.4.19更新

総会延期か、延期せず委任状勧誘し開催するか


総会に出席する役員・株主の合計人数 対応策
10人未満 全株主同意による株主総会省略(書面決議=みなし決議)が出来ないか試す。
通常通り決算後3か月以内に開催する。

通常通り決算後3か月以内に開催する。

書面による議決権行使・委任状出席を勧誘する。

10人を超える

コロナ終焉まで延期する。【1】

決算後3か月以降に定時総会を開催できないときは、新たに議決権行使のための基準日を定め、公告したうえ株主総会を開催する(会社法124Ⅲ)

通常通り決算後3か月以内に開催する。

書面による議決権行使・委任状出席を勧誘する。

【1】本当に延期して大丈夫か?!

定時株主総会の開催時期に関する規制

会社法 「事業年度終了後3か月以内に開催せよ」とする規定は存在しません。
各社の定款 通常「事業年度終了後3か月以内に開催する」と規定されていることが殆どです【2】。

【2】「事業年度終了後3か月以内に開催する」と規定している理由

(理由その1)法人税の申告期限が事業年度終了から2か月以内(特別事情あるときは3か月以内)とされているからです。

(理由その2)株主総会で議決権を行使することが出来るのは、基準日現在の株主であり(会社法124Ⅰ)、株主総会はこの基準日から3か月以内でなければならない(会社法124Ⅱ括弧書き)とされているからです。

今回のコロナでの対応

事業年度終了後3か月以内に定時株主総会を行なわなかった場合には、役員は「定款違反」を犯したことにはなりますが、この非常時にそれをもって責任追及をする株主は存在しないでしょう。

どうしても気になる場合には、延期後開催される定時株主総会において、延期したことの承認を得ておけば問題ありません。

 

延期した総会を招集する前には、基準日設定の有無の検討をお忘れなきようお願いいたします。

 

先代経営者など物言う株主がいる場合には、毎年株主総会を行なっている時期に、株主全員に充てて「株主総会延期のお知らせ」を送付しておけば、株主も安心して尚良いでしょう。

株主総会招集通知への工夫


総会受付担当者の負担軽減のために次のような文言を招集通知に記載しておく必要があります。

✔ コロナの状況によっては、会場への入場制限を設ける可能性があること。入場制限の内容。

✔ 体温測定に協力いただき、平熱ではない場合には、入場制限をする可能性があること。

✔ 体調の悪い方の入場を制限する可能性があること。

✔ マスクを着用しない会場への入場は認めないこと。

✔ マスクをしない出席者には、退場を命じること。

総会を運営する役員・従業員、株主への配慮


会社には、株主総会に出席する株主、役員、従業員がコロナに罹患しないように配慮する義務(安全配慮義務)があります。具体的には、次のような対応を行なう必要があります。

➊ 準備段階

 座席を通常よりも間隔を空けて配置する。

 役員、従業員の全員に配布するマスク

 会場設置用の手指消毒液、ドアノブ、マスクの消毒スプレーなど

❷ 受付段階

 入場制限の実施

 入場に際して、咳や発熱のある株主の入場を拒否すること

❸ 総会

 総会時間の短時間化をはかる。

 株主の質問時間は短縮できないため、報告事項など会社側の発言時間を短縮して総会を短時間化。

❹ 散会・退場

 人混みが出来ないよう、順次誘導すること。

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