更地を貸家建付地にする(節税対策)


更地を貸家建付地にするのは「相続財産を圧縮する効果が高く、相続税も減らすことができる」方法ですが、デメリット(リスク)も大きく、慎重に検討することが必要です。

ハウスメーカーやその提携税理士からの提案として多い(ハウスメーカーが儲かるから)ですが、ご自身でもキッチリとメリット・デメリットを把握したうえで、実行なさってください。

もくじ
  1. 更地を貸家建付地にするメリット
  2. 更地を貸家建付地にするデメリット

メリット


1.借入をして建築することで、債務控除を増やせる(相続財産を減らせる)

借入せず手許資金で建築しても、次のとおり相続財産を減らすことが可能です。

2.建築費用よりも、建物の相続税評価額が低くなることが多い

建築することで、現金は建物に変化しますが、例えば1億円の建築費用で建築しても固定資産税評価(相続税評価)は7,000万円などになれば、3,000万円分の相続財産が減少したことになります。

3.更地よりも、貸家建付地の方が相続税評価が低い

例えば

1億円の相続税評価の土地に・・・  5,000万円を借りて建物を建てると・・・
土地

土地の相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合)

=1億円×(1-0.6×0.3)

=8,200万円

 
建物

5,000万円借りても建物を建ててても、3,500万円ほどの評価になる。

建物の相続税評価額×(1-借家権割合)

=3,500万円×(1-0.3)

=2,450万円

メリット2参照
借金 ー5,000万円 メリット1参照
合計 5,650万円  
相続財産1億円を5,650万円にまで圧縮できたことになります。

デメリット(リスク)


1.建築当初に立てる返済計画どおりの家賃がずっと確保できるとは限らない。

老朽化や周辺に賃貸マンションが建つことで、やむを得ず家賃を下げないといけないこともあります。

2.相続人も借金を負うことになる。

不動産を相続したければ、借金も相続する必要があり、借金返済の原資となる家賃は保証されないので、借金返済が相続人の負担になることもありえます。

3.建築中に認知症になると、工事がストップしてしまう。

建築中に認知症になっても工事を続行するためには、任意後見契約や家族信託契約をあらかじめ締結しておくことで回避できます。

また、これらの対策なく認知症になってしまった場合には、法定後見開始申立をすることができますが、申立から後見開始まで、さらには工事再開までには時間を要するためオススメできません。

4.節税のためだけに実行すると、節税策が否認されたとき目も当てられないことに成り得る。

物件の賃料収入だけでは維持できない(可能性が高い)けれど、節税効果が大きいからと無理をして購入(建築)することは、危険です。

「そのような物件をどうして購入したのか」と、税務当局に質問されると回答に窮することになります。最終的に、税務上否認されてしまえば、全くの無意味となってしまうからです。

 

何より、相続税の節税目的で投資不動産を購入すると採算に関する見通しが甘くなってしまうことも隠れた弊害の一つでしょう。不動産投資は、専門家である不動産会社であってもときには失敗することもあります。不動産投資は、とても難しい専門的なものなのです。

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