会社の清算(法定清算と任意清算)


株式会社・有限会社・合同会社の清算では、法定清算しか認められていません。

しかし、合名会社・合資会社においては、解散の理由によっては、法定清算以外に「任意清算」という方法が認められています。

このコラムでは、法定清算と任意清算を比較します。

もくじ
  1. 会社の清算方法
  2. Q&Aよくあるお問い合わせ
  3. 人気の関連ページ

会社の清算方法


  法定清算 任意清算

概要

会社法に定める清算方法のこと。

∴「法定」清算という。

定款又は総社員の同意で財産処分方法を決めることができる(会社668Ⅰ)【1】

清算担当者

清算人

解散時の業務執行社員・代表社員

債権者保護

 

株式会社・有限会社・合同会社の場合

☛「債権の申出をするよう」官報公告・個別催告必要

債権者への弁済は、公告・催告から2か月間禁止(会社660Ⅰ但書)

 

合名会社・合資会社の法定清算の場合

☛官報公告・個別催告不要

☛債権者への弁済禁止期間なし

∵無限責任社員がいるから

 

 

合名会社・合資会社の任意清算の場合

「財産の処分方法に異議があれば申し出るよう」官報公告・個別催告必要

1か月経過すれば債権者が任意清算を承認したものとみなされる(会社670Ⅱ但書)

     

株式会社

〇法定清算しか出来ない

∵株主は有限責任

× 

有限会社

〇法定清算しか出来ない

∵株主は有限責任

×

合同会社

〇法定清算しか出来ない

∵社員は有限責任

× 

合名会社

合資会社

合名会社・合資会社は、解散の理由によって、法定清算、任意清算又はいずれも選択できるかが分かれます。

【解散理由】

④社員がゼロ

⑦解散を命ずる裁判

法定清算しかできない

 

 

【解散理由】

①定款規定の存続期間満了で解散

②定款規定の解散事由発生で解散

③総社員の同意で解散

任意清算できる(法定清算でも良い)。

∵無限責任社員がいる。

【1】会社法「第三編持分会社」の「第8章清算」中の「第2節清算人」「第3節財産目録等」「第4節債務の弁済等」「第5節残余財産の分配」「第6節清算事務の終了等」が適用されない(会社法668Ⅱ)ため、法定の清算ではないということで「任意」清算といわれます。 

Q&A よくあるお問い合わせ


Q.合名会社を解散しました。「法定清算」から「任意清算」への変更は認められますか?!

合名会社・合資会社には無限責任社員がいますので、「法定清算」から「任意清算」への変更が認められます。会社法669条2項は、それを想定した規定です。総社員で同意のうえ、変更してください。

(令和1年11月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


Q.合名会社を解散しました。「任意清算」から「法定清算」への変更は認められますか?!

総社員の同意で法定清算へと変更も可能です(上柳克郎ほか編・新版注釈会社法⑴473頁〔米沢明〕)。法定清算は、任意清算よりも手続きがより厳格ですので、債権者保護に反しないためと考えられます。

(令和1年11月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


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