法定後見開始(成年後見開始申立)~不動産売却~法定後見終了までの流れ


「法定後見開始~不動産の売却~法定後見の終了」までの流れは次のとおりです。

実務上迷う点について、補足を加えています。

流れ


診断書の作成

医師に「診断書(成年後見制度用)」を作成してもらいます。

診断書の取得が困難なときは、家庭裁判所に診断書を提出する必要はありません。その場合、裁判所において鑑定を行ないます。鑑定費用はご依頼者様が負担することになります。

ご相談

診断書・ご本人の財産の一覧・親族関係図をお持ちくださり、ご相談ください。

申立人の選定

下記の方が、申立人となることができます(民90Ⅰ)。

本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要です(民90Ⅱ)。

本人・配偶者・4親等内の親族【1】・未成年後見人・未成年後見監督人・保佐人・保佐監督人・補助人・補助監督人・検察官・市町村長

通常は、診断書の記載によって申立人になっていただく方は、次のとおりです。

  • 補助相当の場合→ご本人が申立人。
  • 後見相当・保佐相当の場合→ご親族が申立人

戸籍収集・親族関係図作成

家庭裁判所に提出するための親族関係図を作成します。時間がかかります。

申立書ほか書類作成

申立書・財産目録・収支目録などを作成します。

家裁へ申立

ご本人の住所地の家庭裁判所に提出します。

家裁調査官による本人面接

ご本人の判断能力などについて確認します。

開始決定の審判

審判書は裁判所から成年後見人等に対して郵送されます。

開始決定審判の確定と登記

成年後見人等が審判書を受領してから2週間経過すると、審判が確定します。

家庭裁判所が東京法務局に対して成年後見登記の嘱託をします。

※ 成年後見登記は、誰でも閲覧できるものではありませんので、安心ください。

財産目録作成

裁判所で選ばれた後見人などが家庭裁判所に財産目録を提出します。

後見人の業務開始

家庭裁判所の売却許可を停止条件とした不動産売買契約の締結

後見人などが、不動産を売却しないと今後の生活費が賄えないなど不動産売却の必要があると判断した場合、不動産の売買契約を行ないます。なお、居住用不動産の場合には、家庭裁判所の売却許可が出ないと売却できませんので、それを条件とした契約を締結します。

不動産売却などの許可申請

後見人などが、不動産売却などの必要があると判断した場合、家裁に売却許可の申立を行ないます。

売却許可・不許可

家裁は、

  1. 本人が自宅に戻れる可能性があるか否か、
  2. 売却しないと資金不足となるか等を勘案して許可・不許可を決定します。

不動産の売却

成年後見人が、不動産取引を担当する司法書士の準備した書類に署名・押印を行ない、売買代金を受領します。

売却が完了しても成年後見は続きます。

成年後見が終了するのは、ご本人がお亡くなりになったときです。

ご本人の死亡

ご本人の死亡により成年後見は終了しますので、後見人は、家裁への報告、費用の精算を行ないご本人の財産を相続人にお引渡しします。

家庭裁判所・リーガルサポートへの死亡報告(直ちに)

家庭裁判所への報告は電話で、求められれば死亡診断書を提出します。

リーガルサポートへは、LSシステムから簡単な報告を行います。

家庭裁判所への終了報告書提出(死後2か月以内)

リーガルサポートへの終了報告書提出(死後3か月以内)

相続人への引継ぎが死後3か月以内にできないときは、引継ぎ後再度報告が必要。

家庭裁判所の決定(成年後見人の報酬額など)

相続人代表者への財産の引継ぎ

銀行口座などはロックしたうえ、相続人代表者へ財産を引き継ぎます。

代表者以外へは「○○さんに引き継いだ」旨を報告します。

財産の種類・量にもよりますが、死後2~4か月で引き継ぎます。

家庭裁判所への「引継ぎ完了報告書」提出

(リーガルサポートへの終了報告書提出)

相続人への引継ぎが死後3か月以内にできなかったときは、引継ぎ後再度報告が必要。

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