株主提案権と修正動議の違い


取締役が株主の言うことを全く聞いてくれないときに、株主はどう動くべきか?

株主が何か企んでそうなとき、取締役は何を警戒すれば良いのか?

中小零細企業では、株主総会のルールを熟知している方に軍配が上がることも少なくありません。

このコラムでは、知っておくべき株主総会のルール「株主提案権」と「修正動議」の違いについてお話しいたします。

もくじ
  1. 議題と議案
  2. 株主の議題提案権(株主提案権)と議案提出権

議題と議案


株主は、株主総会に対して「議題」を提出する権利(議題提出権)と、既に決まっている「議題」に対する「議案」を提出する権利(議案提出権)を持っています。

株主の持つ「議【題】提出権」と「議【案】提出権」を理解するためには、まず「議題」と「議案」の違いをキッチリと理解していただく必要があります。

議題

「○○について話し合う」の○○が「議題」です。

議題 取締役選任の件

議案

「○○については□□□□としたらどうか」の□□□□が「議案」です。

議案 取締役として佐藤大輔(昭和50年生まれ、経歴:○○○○)を選任したい。

株主の「議題提出権(株主提案権)」と「議案提出権」


株主は、会社に対して❶何を株主総会の議題にするかという「議題提出権」と、❷会社が提出した議案とは違う議案を提案できる「議案提出権」を持っています。

 

議題提出権(株主提案権)の考え方

話し合うテーマを会社に提案する「議題提出権」の方が、「議案提出権」よりも強い権利ですので、行使できる株主には制限がされています。

「議題」を提出する場合には、会社に準備させる都合上、株主は会社に対して「議題」を総会の8週間前に通知する必要があります。ただし、取締役会のない会社は、議題提案権を行使できる株主の条件もなければ、当日提案しても良いことになっておりますので、ご注意ください。 

議案提出権の考え方

株主総会の「議題」で「会社提案の議題」がある状態で、「会社提案の議題」を修正する「議案」の提出は認められます。これを「修正動議」「実質的動議」又は「(単に)動議」などともいいます。

修正動議は、既に提出されている「議題」と同一性のある範囲内で提出がなされるものであり、同一性の範囲を超えては動議の提出が認められません。「議題」と同一性がないと、「議案」の提出ではなく「新たな議題の提出」になるからです。

さらに修正動議とは別に「手続的動議」といわれるものもあります。

 

これらを整理すると下表のとおりです。 

  種類と名称
  株主提案権  
  議題提出権 議案提出権  
    動議
 

実質的動議

修正動議

手続的動議
根拠規定 会社法303 会社法304

総会調査者選任請求(会316)、総会の延期・続行(会317)など

内容

「議題」そのものを株主がイニシアティブをもって提出できる権利

既に提出されている「議案」と同一性のある範囲内で提出できる権利

法律の規定等によって「議題」を提出できる権利

行使権者 公開会社

100分の1又は300個以上の議決権

+6か月以上保有

一株持っていれば行使できる 一株持っていれば行使できる
非公開会社 取締役会あり 100分の1又は300個以上の議決権
取締役会なし 一株持っていれば行使できる
行使方法 取締役会あり 株主総会日の8週間前までに 一株持っていれば行使できる 株主総会の場で行使すればよい
取締役会なし 制限なし
会社法303条(株主提案権)
 
  1. 株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
  2. 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は300個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を6か月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない。
  3. 公開会社でない取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「6か月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
  4. 第2項の一定の事項について議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、同項の総株主の議決権の数に算入しない。
会社法304条
  株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の10分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。

司法書士の報酬・費用


司法書士による顧問契約を締結いただいている場合、割引きがございます。

業務の種類

司法書士の報酬【1】

実費

招集通知原案作成

招集通知発送代行

発送報告書

33,000円(税込)/議案

+株主数×1,100円(税込)

株主数×特定記録郵便費用
株主総会シナリオ作成 55,000円(税込)~  
株主総会想定問答集作成 55,000円(税込)~  
株主総会予行演習 55,000円(税込)~  
株主総会受付事務 11,000円(税込)~  
株主総会立会い(総会事務局担当) 110,000円(税込)~  
株主総会議事録作成 11,000円(税込)~ 【2】
取締役会議事録作成 11,000円(税込)~  
登記申請 コチラをご覧ください。  
日当【3】 11,000円(税込)~  

【1】司法書士報酬は、議案の種類・数、株主の数により加算いたします。

【2】株主から提訴を受ける可能性が高い場合や、録音反訳を要するような長時間にわたる株主総会の場合には、反訳会社に反訳文を外注しますので、実費をご負担ください。

【3】上記業務を事務所外で行なう場合で、移動時間が片道1時間を超える場合

人気の関連ページ

株主総会の運営

取締役会の運営

その他