被相続人の遺品の中から、相続人や第三者名義の通帳が出てきた場合どうすれば良いのか?(いわゆる名義預金の問題)


被相続人の遺品の中から相続人や第三者名義の通帳が出てきた場合、どうすれば良いのか?これは、遺言執行者や遺産承継業務受任者を悩ませる問題です。

被相続人の遺品の中にあったのだから、被相続人の遺品(相続財産)であると安易に認定することはできません。相続財産であるとなれば、相続税を算定するための財産に組入れなければならず、そうすると相続人の相続税負担が増えることになるからです。

一方、安易に除外する(見てみないことにする)こともできません。後日、税務署から相続財産隠しだと認定を受ける可能性があるからです。

もくじ
  1. どういう可能性があるのか?
  2. どういう風に考えるのか?
  3. どうやって見分けるのか?
  4. 名義預金ではない(名義人の固有財産である)と判断した場合の手続
  5. 名義預金(遺産)であると判断した場合の手続
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どういう可能性があるのか?


場合 処理
被相続人が相続人のためにコツコツ貯めていた 遺産に含まれる。
第三者名義の通帳が、被相続人の遺品に混じった【1】 当該第三者の固有財産であるため、遺産に含まない。

【1】名義人が被相続人と同居していたときに使っていた通帳を、置き忘れて出て行ったなど

どういう風に考えるのか?


基本的な考え方(その1)

  • 無職の名義人の場合
  • 給与収入等があっても給与等に見合わない高額な預金である場合

 

 

  • 贈与契約書がない
  • 贈与税の申告をしていない【1】
  • 被相続人が通帳・印鑑・キャッシュカードを管理し、名義人が自由に預金を入出金できない

 

被相続人の預金である可能性が高く、税務署もそのように判断する可能性が高い

 

【1】年間110万円までの贈与額は無税です。

基本的な考え方(その2)

被相続人が子や孫に知らせないで、子らの名義の預金をしている場合、入金した時点では贈与契約の成立の余地はありません。贈与契約は、贈与者(被相続人)の贈与の意思と、受贈者(名義人)の受諾の意思が合致して始めて効力を生ずる契約であり(新民549条)、預貯金名義人が知らなければ、受諾の意思表示をする余地など有り得ないからです。

たとえ10年前、20年前の入金であっても、被相続人の死亡のときに贈与(遺贈した)ものと考えます。

どうやって見分けるのか?


通帳記載をよく見る。

通帳記載 結果
住宅ローンの引落返済口座になっている場合 名義人の財産である可能性が高い
証書貸付けへの返済がある場合 名義人の財産である可能性が高い
名義人の勤務先からの給与が振り込まれている場合 名義人の財産である可能性が高い
保険などの引落があって、保険契約者が名義人である場合 名義人の財産である可能性が高い
   

名義人に見せて確認する。

通帳記載を見た結果、名義人財産である可能性が高ければ、通帳の写しを名義人に見せ意見を求める。

名義人以外の相続人にも見せて確認する。

名義人が自分の財産であると主張する場合には、名義人以外の相続人にも見せて意見を求めます。

相続税の申告を担当する税理士にも見せて確認する。

最後の判断は、遺言執行者ご自身で

名義預金でない(名義人の固有財産である)と判断した場合


合意書の作成

後日、問題とならないよう相続人全員と名義人の連名で書類を作成します。

遺産の範囲確認の訴えを提起

合意が成立しないときには、「遺産の範囲確認の訴え」などを提起し、裁判所に判断を委ねます。

名義人への通帳の返却

名義預金(遺産)であると判断した場合


遺言による指定が名義預金にも及んでいるかを判断

遺言の中に「その余の財産は〇〇さんに相続させる」旨の条項があれば、その〇〇さんが取得します。

遺言による指定が名義預金に及んでいない場合には遺産分割協議+名義人の同意

遺産の範囲確認の訴えを提起

合意が成立しないときには、「遺産の範囲確認の訴え」などを提起し、裁判所に判断を委ねます。

遺言執行者又は遺産承継業務受任者による解約・現金化