持株会社(ホールディングス)を設立すれば相続税を節税できるか?!


銀行から「持株会社(ホールディングス)を設立すれば相続税が大幅に安くなりますよ」という営業を受けたという社長(会社)からのご相談が増えています。

これは、本当に適切なアドバイスなのでしょうか?!

もくじ
  1. スキームの全体像
  2. デメリット
  3. 結論  

スキームの全体像


次のとおり純資産が膨れ上がっている会社にとってはメリットがあるかもしれませんが・・・・

社長が「事業会社の株式」を直接所有していた場合

社長  
↓  社長は事業会社の株主=事業会社の株価評価が相続財産の額
事業会社  

事業会社が儲かっていたり内部留保が大きいと、事業会社の株価評価は高い

社長が「ホールディングスの株式」を所有していた場合

社長  
↓  社長はHDの株主=HDの株価評価が相続財産の額
ホールディングス  
HDが事業会社の株主=事業会社の株価はHDを通じて評価される。
事業会社  

事業会社の株価がHDを挟むことで薄まる(安くなる)可能性がある。

デメリット


このコラムは、ホールディングス設立は相続税対策として有効かというテーマですので、「お金」に着目してデメリットを挙げてみます。

管理コスト・手間の増加

  • 法人が一つ増えることになりますので、管理コスト(法人税、税理士報酬など)が増加することは間違いありません。

本当に相続税が安くなるのかは、相続開始時の税法次第

  • うまいことやらないと、結局、相続税が増えてしまうリスクもあります。
  • 10年後、20年後そして相続開始時に貴社がどうなっているのかというシミュレーションもしてから行なうべきです。
  • 10年後、20年後になって、ホールディングス設立をやらない方が良かったと思うことも十分にあり得ます。
  • よく聞く話となってきたということは、税制がそれに対応する(相続税節税効果を無くす)可能性も十分にありえます。10年後、20年後に税制が変更していないことを誰も保証できません。
  • 事業承継税制がうまく当てはまれば自社株への相続税課税は納税猶予されますので、無意味になるケースもありえます。

結論


相続税の節税対策のためだけにホールディングスを設立することには、リスクがある(ギャンブル性が高い)ことをお分かりいただけたと思います。

あくまで「ホールディングス化は相続税を抑えられるかもしれない」という程度の話ですので、過度な期待は持たないようにすべきです。 

 

それにも関わらずに、銀行が社長に対して、ホールディングス設立を進めるのには理由があります。

融資する(利息収入を増やす)チャンスだからです。

どうしても銀行がホールディングス設立を薦めてくる場合には、銀行にスキームを提出させ、顧問税理士に十分な検討をさせてから、設立するべきです。

 

もっともホールディングス設立には、節税以外にも多数のメリットがあります。

詳細は「持株会社(ホールディングス)の設立」をご参照ください。

いずれの目的であっても、いざ設立なさるときの登記手続は是非、当グループにお任せください。

人気の関連ページ