司法書士の未来Ⅱコロナ危機に際して想うこと


コロナが猛威を振るうようになってから、当メディアの閲覧件数が激増している。

よく見られているページの中には「司法書士の未来」など同業向けの記事もある。

 

そこで、コロナ危機が与える司法書士業務に対する影響について私の思うところを述べたい。

司法書士は自らを再定義する必要がある


あなたが司法書士である場合、あなたにとっての司法書士の定義はなんだろうか?

「大切な権利を役所に登録する仕事をする登記屋さん?」

「借金苦の方々を救済する債務整理屋さん?」

 

仮に「登記屋さん」と定義した場合、

お客様は不動産会社や親族に亡くなった人がいる方に限定されてしまう。

出来る仕事もごく限られてしまう。

 

仮に「債務整理屋さん」と定義した場合、

お客様は、借金をしている方々(昔借金をしていた方々)とさらに限定されてしまう。

出来る仕事については言わずもがなである。

 

確かに、仕事を限定すると効率もよいし、勉強もしなくて良い。

だが、限定された分野の仕事しかできないということは、世の中にあなたを必要とする人々が少ないという意味でリスクである。

景気・不景気に左右されるし、今回のコロナに対しても弱いであろう。

 

 

 

一方、わたしたちのグループでは司法書士を次のように定義している。

「世の中にあるルールを出来るだけ多く理解し、適切に運用することによって、法律や相談先がわからないことを理由に困っている人々や法人を救済する街の相談所」

 

そう定義することによって、

お客様はすべての市民・法人になり

出来る仕事も無限となる。

何より地域に必要とされる存在になることができる。

今回のコロナのような災害では、なおさら頼りにされることになる。

 

当然、司法書士だけでは解決できない問題もある。

これが逆に良い。

事案ごとに適切な弁護士、適切な税理士などを紹介すれば、お客様も喜ぶし、紹介された士業も当然喜ぶ。

 

そうすることで、私たちは、街のハブになっていく。

厳しいことになる事務所も多いだろう


コロナの話に戻ろう。

 

厳しいことになる事務所も多いだろう。

特に登記専従事務所は、大変厳しいことになるだろう。

様々な指標がそれを示している。

 

でも、それは仕方のない事だと思う。

大きい氷山を作ったもの勝ち?!


司法書士向けセミナーの後に開かれた懇親会に参加して違和感を覚えた。

司法書士であれば誰もが聞いたことのある大きい事務所【1】の所長さんたちとの会話にである。

曰く「司法書士は沈みゆく氷山。今のうちに一番大きい氷山を作っておけば、氷山の山頂が沈むのは一番最後だ。」

私が「従業員司法書士やスタッフはどうなるんですか?」と問うと

彼らは「それは知らない。司法書士になった時期が遅かったんと違いますか」などと言う。

それではダメだ。若手を大事に育てない会社や業界に将来性はない。

【1】司法書士業界には未だ一社として大手が存在しないことについては既に述べた(「司法書士の未来」参照)。

これからコロナでピンチになっていくのは、その場にいた登記専従事務所の所長たちであろう。

 

何も沈む泥船にいつまでも乗っている必要はない。

別の事務所で修行するなり、いっそ独立しても良いかもしれない。

司法書士試験


今だからこそ思うが、司法書士試験は本当によくできた試験であった。

幅広い分野の細かい判例・先例を理解し、試験で問われるのは枝葉の知識、35問(小問を含めれば100問を超える)をわずか2時間で判断し、さらに引っかけ問題を見抜いて、ケアレスミスを無くしてやっと合格である。

 

これは、当事務所の日常業務に似ている。

相談に応じては判例を調べ、法令を調べ、調べつくして顧客にベストな方法を提供していく。

登記のように定型はないので、ケアレスミスをなくすため枝葉まで検討し、穴をなくすためのあらゆる方策を講じていく。

 

皆さんもこのキツイ試験を乗り越えたのであるから、皆さんにも難しい案件をクリアする能力が間違いなく備わっている。

登記専従事務所の従業員司法書士の方も、今は仮の姿。今は単調な仕事をしているだけであっても、ご自身の能力は本当はもっと高いところにある。

 

私自身の話をしよう。

私が司法書士試験に合格した平成11年司法書士といえば未だ不動産登記だけの時代であった。

私は、勤務時代3年半二つの事務所で修行したが、修行は最初の1年だけ。簡単な不動産登記はすぐに全て自分でできるようになり、その後独立するまでは、ずっと遊んでいた。

 

だが開業後は必死で勉強した。

お客様のために必死に勉強した。

やったことのない仕事をやることが日常となった。

 

そして、やり慣れない仕事をすることに、慣れた。

 

 

今では「何か困ったら、あなたのまちの司法書士事務所グループへ」という街の重要なインフラを作りつつあるという実感がある。  

やり慣れない仕事をすることに慣れることが大切


わたしたちがそう成れたように司法書士という資格には、街のインフラになる資格があるし、実際にそうなることも可能なのである。

試験の広範さ難しさからしても、その能力を期待されているのである。

 

多種多様な案件を自由自在に取り扱う当グループとは異なり、やり慣れていない仕事にチャレンジしていかなければならない方々は本当に大変であろう。

 

それでも、やり慣れない仕事をすることに慣れるよう努力を重ね、街で必要とされる存在に成ってもらいたいと願う。

 

そうすれば、コロナであろうが、何があろうが、皆さんが活躍する場がなくなることはないと断言できる。

令和2年5月30日


あなたのまちの司法書士事務所グループ所属

あなまち司法書士事務所

司法書士 佐藤大輔