種類株主総会で決議すべき事項


種類株式発行会社は、常に種類株主総会の決議を失念しないように注意しておく必要があります。

 

ところが「種類株主総会で決議すべき事項」は法律の条文が色々なところに散らばっています。

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事項 種類株主の承認/損害を及ぼすおそれ
定款に種類株主総会の承認を要する旨の規定あるとき

損害を及ぼすおそれがなくても、種類株主総会決議を要する(会323、会108Ⅰ⑧)。

次の定款変更(第111条第1項又は第2項に規定するものを除く【1】。)

イ 株式の種類の追加

ロ 株式の内容の変更

ハ 発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加

損害を及ぼすおそれがあるとき、種類株主総会決議を要する(会322Ⅰ①)。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めても、種類株主総会決議を要する(会322Ⅲただし書)。 

  1. 特別支配株主による株式売渡請求の承認(会322Ⅰ①の2)
  2. 株式の併合又は株式の分割(会322Ⅰ②)
  3. 第185条規定の株式無償割当(会322Ⅰ③)
  4. 株主割当による募集株式発行(会322Ⅰ④)
  5. 株主割当による募集新株予約権発行(会322Ⅰ⑤)
  6. 第277条規定の新株予約権無償割当(会322Ⅰ⑥)
  7. 合併(会322Ⅰ⑦)
  8. 吸収分割(会322Ⅰ⑧)
  9. 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継(会322Ⅰ⑨)
  10. 新設分割(会322Ⅰ⑩)
  11. 株式交換(会322Ⅰ⑪)
  12. 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得(会322Ⅰ⑫)
  13. 株式移転(会322Ⅰ⑬)
  14. 株式交付(会322Ⅰ⑭)

損害を及ぼすおそれがあるとき、種類株主総会決議を要する。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めたときは、種類株主総会決議を要さない(会322ⅡⅢ)。

ある種類株式に譲渡制限がついている場合におて、当該ある種類株式を発行するとき

損害を及ぼすおそれがなくても、種類株主総会決議を要する。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めたときは、種類株主総会決議を要さない(会199Ⅳ)

ある種類株式に譲渡制限がついている場合におて、当該ある種類株式の発行を取締役(会)に委任するとき

損害を及ぼすおそれがなくても、種類株主総会決議を要する。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めたときは、種類株主総会決議を要さない(会200Ⅳ)

ある種類株式に譲渡制限がついている場合におて、当該ある種類株式を目的とする新株予約権を発行するとき

損害を及ぼすおそれがなくても、種類株主総会決議を要する。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めたときは、種類株主総会決議を要さない(会238Ⅳ)

ある種類株式に譲渡制限がついている場合におて、当該ある種類株式を目的とする新株予約権の発行を取締役(会)に委任するとき

損害を及ぼすおそれがなくても、種類株主総会決議を要する。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めたときは、種類株主総会決議を要さない(会239Ⅳ)

ある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式について「種類株主総会の決議を要しない」旨の定めを設けようとするとき 損害を及ぼすおそれがなくても、当該ある種類の株主全員の同意(会322Ⅳ)

ある種類の株式に取得条項を設けるとき

ある種類の株式の取得条項を変更するとき

(取得条項の廃止を除く)

損害を及ぼすおそれがなくても、当該ある種類の株主全員の同意(会111Ⅰ)

吸収合併、吸収分割、株式交換をする場合において、存続会社等が種類株式発行会社であって、合併等の対価として存続会社等の種類株式を交付するとき

損害を及ぼすおそれがなくても、種類株主総会決議を要する。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めたときは、種類株主総会決議を要さない(会795Ⅳ)。

株式交付をする場合において、株式交付親会社が種類株式発行会社であって、株式交付子会社の株式等の譲渡人に対して交付する金銭等が株式交付親会社の種類株式であるとき

損害を及ぼすおそれがなくても、種類株主総会決議を要する。

定款で「種類株主総会の決議を要しない」旨を定めたときは、種類株主総会決議を要さない(会816の3Ⅳ)。

ある種類の株式に株式譲渡制限を設けるとき

損害を及ぼすおそれがなくても、下記3つの種類株主総会を要する。
  1. 当該ある種類の株主を構成員とする種類株主総会の決議(会111Ⅱ①)
  2. 「株主が取得請求権を行使すれば当該種類の株式を取得することとなる株式の種類株主」を構成員とする種類株主総会の決議(会111Ⅱ②)【2】
  3. 「会社が取得条項を行使すれば当該種類の株式を取得することとなる株式の種類株主」を構成員とする種類株主総会の決議(会111Ⅱ③)【2】

ある種類の株式に全部取得条項を設けるとき 

損害を及ぼすおそれがなくても、下記3つの種類株主総会を要する。
  1. 当該ある種類の株主を構成員とする種類株主総会の決議(会111Ⅱ①)
  2. 「株主が取得請求権を行使すれば当該種類の株式を取得することとなる株式の種類株主」を構成員とする種類株主総会の決議(会111Ⅱ②)【2】
  3. 「会社が取得条項を行使すれば当該種類の株式を取得することとなる株式の種類株主」を構成員とする種類株主総会の決議(会111Ⅱ③)【2】

【1】

会社法第111条第1項は「取得条項」を設定する場合の別の規制を定めています。

会社法第111条第2項は「株式譲渡制限」「全部取得条項」を設定する場合の別の規制を定めています。上の表をご参照ください。

【2】取得請求権や取得条項が行使されることによって、将来「ある種類株式」の株主になったときに「ある種類株式」に株式譲渡制限や全部取得条項がついていたのでは、話しが違うとなることを回避するためです。

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