区分建物や二戸一の他家からの水漏れトラブル解決


マンションや二戸一を購入したけれど、雨漏り・にじみ・水漏れが発生する。そこで、購入した自宅を散々調査したけれども、どうやら自宅ではなく、隣家や上階が原因で水が入ってきていると思われる場合、どう解決すればよいでしょうか?

もくじ
  1. 建物の占有者・所有者の責任
  2. 区分建物の場合、責任はどうなるのか?
  3. 雨漏りの原因究明のために隣家や上階を使用できる法定請求権

建物の占有者・所有者の責任


(マンションや二戸一に限らず)建物が原因で他人に損害を与えた場合には、賃借人などの占有者がまず損害賠償責任を負い、占有者がしっかり管理していたことを証明すれば、建物の所有者が過失がなかったとしても損害賠償責任を負います(民717)。

民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

1

 

 

 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 (略)

3

 

前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

区分建物の場合、責任はどうなるのか?!


二戸一やマンションなどいわゆる区分建物と言われる建物も、建物の一種ですので同様です。

もっとも、難しいのは区分建物にはその構造上「専有部分」と「共用部分」が存在していることです。そして発生した事故の原因が「専有部分」によるのか「共用部分」にあるのか分からないことも多くあります。そこで、区分所有法第9条は、次のように定めています。

建物の区分所有等に関する法律第9条(建物の設置または保存の瑕疵に関する推定)

 

 

建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。

この条文があることで、被害者は、損害発生の原因となったのが「専有部分」にあるのか「共用部分」にあるのかを証明することなく、共用部分の所有者に対して損害の賠償を請求できるのです。

そして共用部分の所有者は誰かというと、区分所有法第11条は、次のように定めています。

建物の区分所有等に関する法律第11条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

1

 

共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する【1】。 

2

 

前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第27条第1項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。 

3

(略)

【1】一部共用部分とするかは、慎重な判断を要します。

  • 玄関ホール、エレベーター室、階段室、各階廊下が構造上区分されずに通じているような場合には・・・全体を一個の共用部分と見るべき
  • 軀体部分は、共用部分。
  • 区隔部分は、隣接する区分所有者の共有に属する一部共用部分。

雨漏りの原因究明に使用できる法定請求権


建物の天敵である雨・水は、その漏水箇所を発見するのが困難なことも天敵たる所以です。

原因究明には、隣家や上階の協力も得る必要があります。そこで協力を要請して断わられた場合にはどうするのか?

区分所有法第6条は、次のように規定しています。

建物の区分所有等に関する法律第6条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

1

(略)

2

 

 

区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。

3

(略)

水漏れの原因であると考えられるお部屋の区分所有者又は賃借人などの占有者に対して、水漏れの原因を究明するために室内への立ち入りを請求することができます。

なお、水漏れの原因調査のために立ち入りを依頼した下階所有者に対して、これを拒絶した上階所有者が不法行為であるとした裁判例もありますので、ご紹介いたします。

大阪地裁昭和54年9月28日判決

 

同一マンシヨンの階上室を所有し居住する者は、階下に漏水事故が生じ、その原因の調査、水漏個所の修理のため必要が生じた場合には、同一マンシヨンの直上、直下階にそれぞれ居住するという共同の関係をもつて社会生活を営む者の隣人(階下居住者)に対する義務として、自己の所有し、居住する階上室に工事関係者が立入つて、漏水原因の点検、調査、修理工事をすることを、これを拒否するのが正当と認められる特段の事情のない限り、受忍すべき義務があり、この義務に違背して右特段の事情がないのにことさらに立入を拒否した場合には階下居住者に対する不法行為となるというべきである。

被告の同年五月三〇日から同年六月一日までの三日間にわたる入室拒否行為は、社会生活上要求される前記の義務に著しく違背した行為として違法性を帯び、原告に対する不法行為となるといわなければならない。

もっとも、相手方が立ち入りに応じない場合に押し入ることは許されませんので「訴訟を提起し、承諾に代わる判決(民414Ⅱ但書)を得た上で現実に使用すべきである(川島一郎・注釈民法⑺・373頁)」とされます。

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