株主の発言力に影響する持株比率。
それを変更する新株発行に異議があるときには、新株発行手続の進捗などにあわせて適切に
などを提起する必要があります。
新株がすでに発行された後は、新株発行無効の訴を提起しないかぎり、当該新株の発行を無効とするに由なく、新株発行に関する株主総会決議無効確認の訴は、確認の利益がない(最判S40.6.29)
新株発行差止仮処分 自己株式処分差止仮処分 |
新株発行無効の訴え 自己株式処分無効の訴え 新株予約権発行無効の訴え |
新株発行不存在確認 自己株式処分不存在確認 新株予約権発行不存在確認 |
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会社法 | 210 | 828Ⅰ②③④ | 829①②③ |
訴えの原因 | 法令・定款違反又は著しく不公正で、株主が不利益を受けるおそれ |
重要な法令・定款違反【1】
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法定されていないが少なくとも無効原因以上の瑕疵がある場合
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提訴期限 | 新株発行の効力発生まで |
効力発生から ├非公開会社:1年間 └公開会社:6か月間 |
制限なし(最判H15.3.27) |
訴外主張 | 訴えをもってのみ(会828) | 訴外可能 | |
原告 | 株主のみ(会210) | 株主等(会828Ⅱ②~④)【2】 | 誰でも |
被告 | 会社(会834②~④) | 会社(会834②~④) | 会社(会834⑬~⑮) |
管轄 | 被告会社の本店所在地を管轄する地方裁判所(会835、834) | 被告会社の本店所在地を管轄する地方裁判所(会835、834) | 被告会社の本店所在地を管轄する地方裁判所(会835、834) |
担保【3】 | 要(会836、834) | ||
併合 | 要(会837、834) | ||
判決の効力 |
会社は新株発行などを為し得ない。 仮処分違反の新株発行は、新株発行無効事由となる。 |
対世効あり(会838、834) 遡及効なし(会839)【4】 新株発行無効判決の効力→会840 自己株式処分無効の効力→会841 新株予約権発行無効効力→会842 |
対世効あり(会838、834) 遡及効あり(会839) |
敗訴原告 | 悪意・重過失で提訴し、敗訴した場合には、被告会社に対して連帯して損害賠償をする義務を負う(会846、834) | ||
登記 | ー | 無効の判決が確定したときは、裁判所が職権で嘱託登記を行う(会937Ⅰ①ロハ)【5】 | 不存在の判決が確定したときは、裁判所が職権で嘱託登記を行う(会937Ⅰ①ホヘ)【5】 |
【1】軽微な手続違反は無効原因とはならない。
事由 | 無効か否か |
新株発行差止仮処分違反の新株発行 | 無効(最判H5.12.16) |
募集事項の公告・通知をなさず | 無効(∵差止仮処分の機会を奪う。最判H9.1.28) |
取締役会決議を欠く新株発行 | 無効でない(最判S36.3.31) |
第三者への特に有利な発行価額による発行であるのに、株主総会特別決議を欠く | 無効でない(最判S46.7.16) |
法定期間の定めある場合の期間不遵守 | 無効でない(東京地判S58.7.12) |
譲渡制限会社で株主総会決議を欠く | 無効(横浜地判H21.10.16) |
【2】ここでの「株主等」とは、株式会社の株主、取締役、監査役、執行役、清算人。
新株予約権発行無効確認の訴えは、新株予約権者も含む。
【3】原告に立担保が命じられる要件
①被告会社が裁判所に「原告に担保提供を命じるよう」申立て(会836Ⅰ) | |
②被告会社が原告の会社に対する害意の疎明(会836Ⅲ) | |
③原告が取締役・監査役・執行役・清算人でないこと(会836Ⅰ) |
【4】将来効しかないことの意味は、次のとおり。
新株発行~無効判決確定までになされた
剰余金の分配=有効
議決権の行使=有効
【5】資本金の額は減少せず、発行済株式数のみ減少する(会社計算規則25Ⅱ①)