個人再生で返済すべき金額を決定する色々なルールがあります。
基本的なルールは、住宅ローンはそのまま返済しながら、他の借金は圧縮減額された金額を払うというものです。
ややこしい個人再生のルールをできるだけ簡単に説明します。
もくじ | |
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再生債権額の最大8~9割カットされた金額を3年~5年で支払い、支払いが完了すれば免責される手続きです。
再生債権者の頭数の半数以上OR再生債権総額の過半数の再生債権者の消極的同意があることも必要です。
清算価値保障 | + | 最低弁済額 | + | 債権者の消極的同意 |
小規模個人再生を申し立てても債権者の同意が得られる見込みがない場合にのみ選択します。
小規模個人再生よりも返済額は多くなります。
清算価値保障 | + | 最低弁済額 | + | 可処分所得2年分 |
再生計画に基づき返済する総額は、破産を選択した場合よりも多く返済しなければなりません。
3~5年もの長期に渡って再生計画に付き合う債権者にもメリットがないといけません。
破産手続では、20万円以上の価値があるものは基本的にすべて現金化し、債権者に債権額に応じて返済します。
破産した方が債権者に利益がある個人再生は認めないという意味で、民事再生法174条2項4号が「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき」を再生計画の不認可事由と規定しています。
二種類の個人再生(小規模個人再生、給与所得者等再生)の両方に適用されます。
小規模個人再生における最低返済額は、民事再生法231Ⅱに規定されています。
住宅ローン等を除く借金額合計【1】 | 最低弁済額 |
100万円以下 | そのままの額 |
100万円超~500万円以下 | 100万円 |
500万円超~1500万円以下 | 借金額合計の1/5 |
1500万円超~3000万円以下 | 300万円 |
3000万円超~5000万円以下 | 借金額合計の1/10 |
5000万円を超える場合 |
小規模個人再生利用不可 (民事再生法221、231Ⅱ②) |
【1】ここに含めないのは次のような借金です。
民事再生法第236条
小規模個人再生において再生計画認可の決定が確定した場合には、計画弁済総額が、再生計画認可の決定があった時点で再生債務者につき破産手続が行われた場合における基準債権に対する配当の総額を下回ることが明らかになったときも、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。この場合においては、第189条第2項の規定を準用する。
小規模個人再生の要件に加えて「可処分所得の2年分」を支払うことも要件になります。
民事再生法第242条
給与所得者等再生において再生計画認可の決定が確定した場合には、計画弁済総額が再生計画認可の決定があった時点で再生債務者につき破産手続が行われた場合における基準債権に対する配当の総額を下回り、又は再生計画が前条第二項第七号に該当することが明らかになったときも、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。この場合においては、第百八十九条第二項の規定を準用する。
具体的な最低弁済額を算出するためには、多くの書類をお預かりして算出する必要があります。
また、あなたの事情が変わったときには、最低返済額も変わってしまいます。
なるべく早くに相談にお越しになり、なるべく早く資料と費用を用意して、速やかに申し立てる必要があります。
最低返済額ギリギリであれば何とか捻出することができるという状態では、裁判所は認めてくれません。再生計画に基づく返済中に、予想外の出費が必要になることがあるからです。