葬儀費用負担者


葬儀費用は、相続開始後(被相続人の死亡後)発生するため、相続財産(相続負債)ではありません【1】。

 

よって、次のような考え方をします。

✔ 葬儀費用を当然に相続財産から支払って良いという訳ではない。

✔ 遺産分割協議の対象事項ではない。

✔ 遺産分割調停で、付随問題として話し合いできるが、揉めれば民事訴訟で解決すべき。

 

【1】相続財産とは相続開始時に存在していたプラスの財産(積極財産)とマイナス財産(消極財産)をいいます。


葬儀費用とは


種類  

民法上の葬儀費用

といえるか

相続税申告の費用として控除できるか

葬儀費用 追悼儀式に要する費用

 

  • お葬式(通夜、告別式)の費用
  • 葬儀業者に支払う費用
  • 僧侶・寺へのお布施など聖職者への支払
  • 参列者全員に配る会葬御礼・粗供養・粗品
  • 通夜告別式の飲食代

 

  • (仏式)初七日、四十九日法要費用
  • (神道式)十日祭、五十日祭の費用
  • これらの参集関係者に提供した食事などの接待料
  • 永代供養料

一律に判断するのは困難で実情を踏まえて。

葬儀と同日に初七日を行う繰上法要であれば可。

一律に判断するのは困難で実情を踏まえて。

葬儀と同日に初七日を行う繰上法要であれば可。

埋葬などに要する費用
  • 死体検案費用
  • 死亡届費用
  • 死体運搬費用
  • 火葬費用
香典返戻費用
  • 香典返し
×(喪主の負担すべき費用) 不可
祭祀承継費用 
  • 墓地取得費用
  • 墓石購入費用

 

×(祭祀承継者の負担すべき費用)

不可 
  • 仏壇・祭壇の購入費用
  • 位牌の購入費用

×(祭祀承継者の負担すべき費用)

不可
  •  (仏式)初盆、一周忌、三周忌など年忌法要
  • (神道式)一年祭、五年祭

 

×(祭祀承継者の負担すべき費用)

不可

香典


香典の受取人は通常は、喪主と解されます。

(ですから、当然に「香典返し」は、喪主が負担します。)

 

(香典)ー(香典返し費用)=(葬儀費用)に充てられます。

 

香典が多くて、(香典返し)と(葬儀費用)を支払っても、余るときに誰が貰えるのかは

喪主が貰えるという説と、相続人全員が貰えるという説があります。

葬儀費用負担者の決定方法


葬儀費用は誰が、負担すべきものでしょうか?

次のように考えます。

1.被相続人から指示があった場合

被相続人から指示された者が葬儀費用負担者となります。

2.相続人間で合意があった場合

相続人間で合意した者が、葬儀費用負担者となります。

3.指示や合意がなく、争いがある場合

負担者の決め方については、次のような各説があり、いずれの裁判例もあります。

従来は相続財産負担説が多数ですが、近時裁判例は喪主負担説が相当数あります。

これらの説のいずれかにより負担者が一律に決まるのではなく、具体的な事実関係を検討したうえで、誰が負担するのが適切かを判断する。

喪主負担説 喪主が葬儀の形態・規模を決めるのだから、喪主が当然に負担すべきとする説
相続人負担説 相続人が共同して負担すべきとする説 
相続財産負担説 遺産で負担すべきとする説 
慣習・条理説 その地方の慣習によって決するとする説 

考慮すべき具体的な事実関係の例

  葬儀費用負担者と
言いやすい要素 ⇔ 言いにくい要素
取得した相続分   他の相続人より多くを相続した ⇔ 法定相続分 ⇔ 相続しなかった
葬儀に関与した経緯 喪主として主体的に関与 ⇔ 葬儀に呼ばれなかった
葬儀に関与した度合 喪主として主体的に関与 ⇔ 喪主と相談し葬儀内容を決定 ⇔ 参列せず
葬儀金額と遺産総額 葬儀費用が相当なときの他の相続人 ⇔ 葬儀費用が過大なときの他の相続人

葬儀費用の一部を他の相続人に請求できるか?!


相続人の一人が葬儀費用を全額負担した場合に、他の相続人に対して、負担を請求できるかという問題です。

次のように整理できます。

〇=負担を請求できる。×=負担を請求できない。

 

請求されている相続人は

葬儀費用負担者といえるか?!

はい いいえ

負担を請求している相続人は、

香典・葬儀費用の明細を開示

しているか?!

開示している ×
開示していない × ×

負担を請求するならば、明細を明らかにすべきです。

負担を請求されたら、明細を明らかにするよう請求して納得のうえ、負担するべきです。

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