遺産管理費用


遺産分割協議に時間がかかっている間にも、遺産を管理するための費用(税金、修理費など)は発生します。

 

その費用負担についても、しばしば問題となります。


遺産管理費用とは


相続開始後、遺産分割協議成立前の間に、相続人の一部の者が遺産を管理するために支出した費用のことです。

相続開始「後」に生じた債務ですので、原則として遺産分割協議の対象にはなりません。

  意義 具体例 多数決   遺産管理費用に該当するか?!
保存行為  他の共有者の不利益にならない現状維持行為

●公租公課支払い

●マンション管理費支払い

●家賃地代支払い

●修繕

●第三者に対する妨害排除

各共有者単独で可能(民252但)

 

遺産管理費用に該当する(負担した相続人が遺産である不動産に無償で居住していた場合などを除く)
管理行為

①利用行為(物を変更しない範囲で収益を計る行為)

②改良行為(使用価値交換価値の増加行為)

●共有物を共有者の一人に利用させる。

●賃貸・解除・取消

持分の過半数(民252本文) 過半数の同意を得ず支弁しても、遺産管理費用ではない。
変更行為 物の性質・形状を変更する行為

●田を畑へ

●共有山林伐採

●売却

全員の同意(民251) 全員の同意を得ず支弁しても、遺産管理費用ではない。

遺産管理費用に該当した場合の解決方法


原則 遺産分割対象ではなく、共同相続人が相続分【1】に応じて負担する【2】。
例外 相続人全員同意すれば、相続財産から支弁可能(民885)【3】

【1】ここでいう相続分とは?

〇法定相続分・遺言による指定相続分

×具体的相続分(特別受益・寄与分を考慮後では遅すぎる)

 

【2】負担を求める方法

〇遺産分割調停で合意できれば、それで良し。

△遺産分割審判では無視される可能性がある。

〇民事訴訟

├〇共有物に関する民法253(但し、有益費部分については、増加価値分の現存必要)

├〇事務管理(民702)を請求原因(本人の意思に反するときは現存利益)

└〇不当利得返還請求(民703)を請求原因(利益の存する限度)

 

【3】相続財産からの負担を求めるには

① 「遺産管理費用が相続債務であることの確認」だけでなく

② 「遺産管理費用についての立替金を遺産から支出して精算する明確な合意」が必要

(大阪高裁H21.10.7)

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