会社の計算(全般)


「会社の計算」とは、会社法第2編第5章以下に記載されていて、

⑴会計原則

⑵会計帳簿

⑶資本金の額(の増減)

⑷剰余金の配当

で構成されています。

 

司法書士試験でも出題が少ないため、苦手な司法書士が多いとされますが、M&Aなどを行なうためには必須の知識です。


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なお、これら業務は、ほとんどの司法書士事務所では対応していないようです。

 

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Q&A よくあるお問い合わせ

貸借対照表・損益計算書について


Q.資本と資産について教えてください。

「資本」と「資産」は、法律上全く違うものです。

「資本」とは、会社が株主から出資金として預かったお金のことです。 「資産」とは、(会社が「資本」などを使って事業活動を行なった結果)現時点で会社が所有している財産のことです。

貸借対照表では、資産は左側に、資本は右下の純資産の部に計上されます。

(平成30年3月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


Q.貸借対照表について教えてください。

貸借対照表は、ある一定時点の会社の財産・負債の状態を表わした表です。すなわち、ある一定時点において、①会社はどんな資産を持っていて、②その財産を築くための元になるお金をどこから調達したかが、ひと目でわかるようになっています。一年に一度、決算期に作成され、株主総会の承認を得ることになっています。

貸借対照表は、バランスシート(BS)とも言われ、表の左右の数字(資産=負債+純資産)が必ず一致します。

一段下がって表記された項目(たとえば、資産の部の「現金預金」は「流動資産」から一段下がっています)は、内訳であること表現しています。

「金額が0と表示されている項目」は、単位以下の数字があることを表現しています。

「金額が-と表示されている項目」は、0円(その項目に該当する数字がない)ことを表現しています。

(平成30年3月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)

  貸借対照表  

資産の部 負債の部

調

流動資産

 現金預金

 売掛金

 商品

 売買目的有価証券

 消耗品

固定資産

 有形固定資産

  建物

  構築物

  機械

  自動車

  土地

  リース(している)上記資産

 無形固定資産

  特許権などの知的財産権

  借地権(地上権を含む)

  リース(している)上記資産

  のれん

 投資その他の資産

  関係会社株式(子会社株式など)

  出資金

  長期貸付金

繰延資産

 開発費

(会社計算規則74)

流動負債

 支払手形

 買掛金

 短期借入金

固定負債

 長期借入金

 社債

(会社計算規則75)

純資産の部

 

株主資本

 資本金

 新株式申込証拠金

 資本剰余金

 利益剰余金

 自己株式

 自己株式申込証拠金

評価・換算差額等

新株予約権

(会社計算規則76)


Q.貸借対照表と損益計算書の関係について教えてください。

貸借対照表は、ある一定時点の会社の財産・負債の状態を表わした表です。表わしているのは、「点」です。

一方、損益計算書は、一年間の営業成績を表わした表で、いわば「線」です。 貸借対照表と損益計算書は、「その他利益剰余金の金額」が一致します。

(平成30年3月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


Q.貸借対照表の純資産の部について教えてください。

貸借対照表の純資産の部を項目ごとに整理すると下表の表になります。

 

純資産の部 性格
株主資本 資本金【1】 資本(株主の出資)から出たお金 
資本剰余金【2】 資本準備金【7】
その他資本剰余金【8】
利益剰余金【3】 利益準備金【9】 利益から出たお金
その他利益剰余金【10】 任意積立金
繰越利益剰余金
自己株式【4】
評価・換算差額等【5】 資本関連のお金
新株予約権【6】 その他

 

【1】資本金は、会社設立や株式発行(増資)をした際、株主が払い込んだお金のうち、1/2以上の金額で、会社が決めた金額(会社法445)。

【2】資本剰余金は、株主からの出資金払い込みなど、資本取引から発生する剰余金です。

【3】利益剰余金は、(事業活動の結果発生した)利益から出た剰余金です。

【4】自己株式(金庫株)は、資産のように見えますが、純資産の部にマイナス△表記で計上することが義務づけられています。

自己株式を消却すると、同額のその他資本剰余金も減少する。

 

その他資本剰余金 1000

自己株式 △100

 ▶自己株式 100株

全株を消却▶

その他資本剰余金 900

自己株式 -

 

【5】評価・換算差額とは、会社が保有している資産の簿価(取得したときの価格を簿価として計上しています)と時価とを調整する目的の項目です。

【6】新株予約権とは、新株予約権を発行したが、まだ行使されていない(株式=資本金になっていない)状態を計上したもの。株主のお金ではないので、株主資本とは区分される。かつては、負債の部に計上されていた。

さらに、細かく分類すると・・・

【7】資本準備金は、株主から預かったお金(出資金)のうち、資本金に入れないお金をいいます。出資金のうち、資本金に入れないお金は必ず資本準備金に計上する必要があります(会社法445)。

配当原資とすることができません。

【8】その他資本剰余金には、次のものがあります。

・資本準備金の取り崩し額

・自己株式処分差額(自己株式を譲渡した際の差損益)

・組織再編の際に行なう増資のうち、資本金や資本準備金に組み入れなかった金額 配当原資とすることができます。

その他資本剰余金がマイナスになった場合、決算でその他利益剰余金から振り替える(会社計算規則27Ⅲ、29Ⅲ)

【9】利益準備金は、株主に対して配当する際には必ず配当原資である剰余金の1/10を必ず計上する必要があります(会社法445Ⅳ、会社計算規則22Ⅱ)。

【10】その他利益剰余金には、次のものがあります。配当原資とすることができます。

・企業の判断で積立てられた任意積立金

・繰越利益剰余金(配当されず会社にプールされてきた利益)

 

(平成30年3月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)。


Q.損失、欠損と債務超過について教えてください。

次のとおりです。

(平成30年3月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)

 

軽傷

重傷

「損失」とは、利益剰余金がマイナスのこと。 

「欠損」とは、分配可能額がマイナスで、資本金や準備金に食い込んでいること。

「債務超過」とは、その食い込みが激しく、純資産額がマイナス(資産<負債)となっていること。

 

なお、下表は、東京司法書士会・司法書士金子登志雄先生のレジメから抜粋・加筆を行ったもの。

 

 
【純資産の部】

株主資本

 資本金

 資本剰余金

  資本準備金

  その他資本剰余金 A

 利益剰余金

  利益準備金

  その他利益剰余金 B

 自己株式      C

 

599,000

500,000

200,000

200,000

△100,000

11,000

△111,000

△1,000

 

599,000

500,000

200,000

200,000

△100,000

11,000

△111,000

△1,000

 

△301,000

500,000

200,000

200,000

△1,000,000

11,000

△1,011,000

△1,000

 
欠損額(A+B+C)は▶ 88,000 △112,000 △1,012,000
 

▶欠損でない

▶損失である

▶欠損である

▶損失である

▶債務超過

 

配当可能額は▶

配当、自己株式

取得が可能

不可 不可

Q.損失補填(損失処理)と欠損填補について教えてください。

「損失」とは、利益剰余金がマイナスのこと。「損失補填」とは、このマイナスをゼロにすること。その他利益剰余金のマイナスを消すには、その他資本剰余金を振り替えます。ただし、振替え可能額については、下表のとおりです。

 

利益剰余金△200

利益準備金 100

その他利益剰余金△300

その他資本剰余金からの振替え可能額は?

利益準備金でも消せない200限度

 

「欠損」とは、分配可能額がマイナスで、資本金や準備金に食い込んでいること。「欠損填補」とは、このマイナスをゼロにすること。上の損失処理同様に、その他利益剰余金のマイナスをその他資本剰余金を振り替えて消したいが、それでも足りないので、資本金を減少させ、その他資本剰余金に振替えます(減資)。そうするとその他資本剰余金をその他利益剰余金に振替え、欠損を填補することができます。 株主総会の議案としては次のとおりになります。

 

第1号議案 資本金の額の減少の件

第2号議案 剰余金処分の件(資本金の額の減少の効力発生を条件とする)

 

(平成30年3月・あなまち司法書士事務所・司法書士佐藤大輔)


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