許認可を取得するために必要であったり、会社を登記簿上も大きく見せたい場合には、資本金を増やすことになります。
もっとも合同会社の場合には、出資を受け入れても登記しなくても良い場合(出資金全額を資本剰余金に計上する場合)もあります。合同会社への「出資」「入社」と「資本金額の増加」の関係についても説明します。
もくじ | |
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必ずしも「資本金増加」の登記をする必要はなく「資本剰余金」に計上しておいて、タイミング良くまとめて「資本金」に組入れることが出来ます(登記コストの削減)。
株式会社には、出資を受け入れたときには、受入額の1/2以上を資本金に入れるべきとする規制があります(会社法445Ⅱ)が、合同会社には規制がありません。 |
① | 総社員の同意 |
追加出資に関する同意 定款で決議要件を軽減している場合は、その決議要件 |
② | 出資金の払込み/現物出資 | 社員が出資します。 |
③ | 業務執行社員の決定 | 出資金のうち幾らを資本金に入れるのか決定します。 |
④ | 資本金計上証明書 | |
⑤ | 登録免許税 | 増資額の7/1000(最低3万円) |
⑥ | 司法書士報酬 | 5.5万円~(税込) |
ここでの「社員」は法律上の社員であって、「従業員」とは異なります。
合同会社の社員となるには出資をする必要があるため(会社604Ⅲ)、社員には出資をしてもらう必要があります。
出資を受けても全額を資本金に入れる必要はなく、出資金全額を資本剰余金に入れた場合には、資本金の変更登記は必要ありません。
また社員であっても、業務執行社員や代表社員でなければ社員変更登記は必要ありません。
① | 総社員の同意 |
追加社員・追加出資に関する同意 定款で決議要件を軽減している場合は、その決議要件 |
② | 出資金の払込み/現物出資 | 社員が出資します。 |
③ | 業務執行社員の決定 | 出資金のうち幾らを資本金に入れるのか決定します。 |
④ | 資本金計上証明書 | |
⑤ | 社員による決定 | 追加社員を業務執行社員にする場合 |
⑥ | 業務執行社員の決定 | 追加社員を代表社員にする場合 |
⑦ | 印鑑届出 | 追加社員である新代表社員が法務局へ印鑑を届出る場合 |
⑧ | 登録免許税 |
増資部分:増資額の7/1000(最低3万円) 社員変更部分:3万円(資本金1億以下なら1万円) |
⑨ | 司法書士報酬 | 11万円~(税込) |
資本剰余金を資本金に組入れて「資本金」を増やすことが出来ます。
合同会社では利益剰余金(分配しなかった利益)を資本に組入れることが出来ません(会社計算規則30Ⅰ③)。 株式会社では利益剰余金を資本に組入れることが出来ます(会社計算規則25)。 |
① | 業務執行社員の決定 | 定款に定めがない限り「総社員の同意」は不要 |
② | 債権者保護手続は不要 | ∵取崩しが容易な資本剰余金を、取崩し困難な資本金に変える。 |
③ | 資本剰余金が計上されていたことを証する書面 | |
④ | 登録免許税 | 増資額の7/1000(最低3万円) |
⑤ | 司法書士報酬 | 5.5万円~(税込) |
組織変更前に、資本剰余金を資本金に組入れしておいた方が楽かもしれません。
合同会社であれば業務執行社員決定だけで良い(定款に別段の定めないとき)のに対して、株式会社になってから資本剰余金を資本に組入れるには、株主総会決議が必要となるからです。
社員が複数いない場合には、組織変更の前にやっても後でやっても同じです。
利益剰余金を資本金に組入れたいときには、株式会社に組織変更するしかありません。
社内にたくさんの留保を持てるようになったら、株式会社に組織変更するべしという趣旨もあるのかもしれません。
いずれの手続もご依頼から1か月程度が目安です。
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