役員変更の登記


新役員の選任、既存役員の解任(首にする)や辞任(役員から辞めること)などを合わせて役員変更といいます。

 

簡単なようで、難しい役員変更登記。

代表者を更迭する場合や、M&Aに伴う役員変更登記の場合には、後日、訴訟を起こされて、登記の結果がひっくり返らないように司法書士にご用命ください。

 

スタッフにも良く聞かれる論点をまとめました。


【論点一覧・もくじ】

会社・法人の役員任期


会社法人の種類

役員の

種類

任期規定

    

株式会社

    

取締役 選任後1~10年【1】以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(会社法332ⅠⅡ)
監査役 選任後4~10年【1】以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(会社法336ⅠⅡ)
有限会社 取締役 任期なし(永久任期)
監査役 任期なし(永久任期)

合同会社

合名会社

合資会社

社員 任期なし(永久任期)

一般社団法人

 

理事 選任後1~2年【1】以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで(法人法66)
監事 選任後2~4年【1】以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで(法人法67)
一般財団法人 評議員 選任後4~6年以内【1】に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで(法人法174Ⅰ)
理事 選任後1~2年【1】以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までの間で定款で定めた期間(法人法177、66)
監事 選任後2~4年【1】以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までの間で定款で定めた期間(法人法177、67)
医療法人社団 理事 選任後1~2年【1】を超えることはできない【2】。(医療法46の5Ⅸ)
(資産総額の変更) 毎事業年度末日現在により、当該末日から3か月以内(組合等登記令3Ⅲ)
社会福祉法人 評議員 選任後4~6年【1】以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで(社会福祉法41Ⅰ)
理事 選任後1~2年【1】以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで(社会福祉法45)
監事 選任後1~2年【1】以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで(社会福祉法45)
(資産総額の変更) 毎事業年度末日現在により、当該末日から3か月以内(組合等登記令3Ⅲ)

【1】〇~〇年の間で、法人が定款で自由に決めてよいことになっています。

【2】医療法人の理事のみ、2年ちょうどで任期がブチっと切れます。

役員の欠格事由


会社法331条(取締役)、同335条(監査役)は、次のとおり定めています。

⑴ 欠格事由に該当する場合には、新規に役員になることができません。

⑵ 役員が次の状態となった場合には、役員である資格を失い退任します。

事由 欠格か コメント
法人 欠格 持分会社の役員になることはできます。
成年被後見人 欠格

「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(令和元年6月7日成立、同月14日公布、施行済)」によって、多くの資格・職種・営業許可などの欠格事由から削除されました【0】。

会社の役員については、未だ欠格事由となっていますが、見直しが行われる予定です。

成年被保佐人 欠格

一定の法律【1】に定められた罪によって刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から

2年を経過していない者

欠格  

上以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

(刑の執行猶予中の者を除く。)

欠格  

破産者【2】

欠格ではない

かつては欠格事由でしたが、破産者の再起を阻害するという理由から欠格事由から削除されました。

もっとも就任中の役員が破産すると委任の終了事由【3】となり(民653)、続投するためには、株主総会で再選される必要があります。

未成年者

欠格ではない

欠格ではありません。

会社役員になるということは、会社と委任契約を結ぶということです。

委任契約を結ぶためには、親権者の同意(民5Ⅰ)が必要です。

【0】成年被後見人、被保佐人を欠格事由にしているか?の一覧

※厚労省資料からの転載で、各法律の条文までを確認したわけではありません。実際に検討する際には各法律をあたってください。

  資格・業種・業務

欠格でない=〇

欠格である=×

医療法人(医療法)
特定目的会社(資産の流動化に関する法律)
社会福祉法人(社会福祉法)
宗教法人(宗教法人法)
商店街振興組合法
消費生活協同組合法
学校法人(私立学校法)
信用金庫法
森林組合法
水産業協同組合法

遺留分等に係る合意の効力

(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)

投資信託及び投資法人に関する法律
特定非営利活動促進法
株式会社の取締役・監査役・執行役(会社法) ×
一般社団法人の理事・監事 ×

医師法

海事代理士法

校長、教員(学校教育法)

行政書士法

建築士法

公認会計士法

歯科医師法

保育士ほか(児童福祉法)

司法書士法

社会福祉士及び介護福祉士法

社会保険労務士法

獣医師法

税理士法

宅地建物取引士(宅地建物取引業法)

土地家屋調査士法

不動産鑑定士(不動産の鑑定評価に関する法律)

弁護士法

弁理士法

マンション管理士(マンション管理の適正化の推進に関する法律)

薬剤師法

【1】一定の法律は次のとおりです。

会社法  
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律  
金融商品取引法  
民事再生法  
外国倒産処理手続の承認援助に関する法律  
会社更生法  
破産法  

【2】破産手続開始の決定を受け、復権していない者 

破産法255条(復権)

次の事由のいずれかに該当すれば復権する。

①免責許可決定の確定

②全債権者の同意を得て破産手続廃止決定が確定したとき(破産法218Ⅰ)

③再生計画認可決定の確定

④破産手続開始決定後、10年間、詐欺破産罪の確定判決を受けなかったとき

破産法256条(復権の決定)

弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときに、破産者が復権の申立てをしたとき、破産裁判所は復権の決定をしなければならない。

【3】役員と会社の契約関係は、委任契約です。

取締役選任の場合の印鑑証明書などの添付


  特例有限会社

株式会社

(取締役会非設置)

株式会社

(取締役会設置) 

代表取締役

選任機関

株主総会 互選 株主総会 互選 取締役会
新任取締役の印鑑証明書【1】 不要
新任取締役の就任承諾書【1】 実印 実印 実印 実印 認印
新任取締役の本人確認証明書 不要【2】 不要【2】 不要【2】 不要【2】 必要【3】

【1】虚無名義人が発生するのを抑止する趣旨です(商業登記規則61Ⅳ、Ⅴ)。

【2】印鑑証明書の添付が必要となる結果、印鑑証明書を本人確認証明書として使えるため(商業登記規則61Ⅶ)。

【3】商業登記規則61Ⅶ

代表取締役選任の場合の印鑑証明書などの添付


  特例有限会社

株式会社

(取締役会非設置)

株式会社

(取会設置)

代表取締役

選任機関【1】

株主総会 互選 株主総会 互選 取締役会
定款 不要【2】 必要【2】 不要【2】 必要【2】 不要【3】

代表取締役の選定

を証する書面

総会議事録 互選書 総会議事録 互選書 取会議事録
新任代表取締役の印鑑証明書 要【4】 要【4】 要【4】 要【4】
           

代取選定を証する書面に

従前代取が法人実印を

押印できないとき

全員個人実印

個人印鑑証明

全員個人実印

個人印鑑証明

全員個人実印

個人印鑑証明

全員個人実印

個人印鑑証明

全員個人実印

個人印鑑証明

【1】定款で確認します。

【2】取締役会ない会社において、株主総会は、何でも決定できる機関です。よって、代表取締役を株主総会で選定している場合は、原則どおりですので、定款添付は不要です。一方、取締役の互選で選定している場合には、互選で選べることを法務局に立証するために定款添付が必要になります。

【3】取締役会設置会社では、代表取締役は取締役会で選定する必要があります。よって、定款は添付不要です。

【4】登記申請書への添付は不要ですが、印鑑届出書への添付が必要です。

特例有限会社の取締役に印鑑証明書添付が必要な理由


有限会社の取締役就任に印鑑証明書が必要な理由を教えてください。

次のとおりです。

有限会社は、現在、会社法の規定する「株式会社」として存続しています。

(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下、「整備法」という。) 第2条)

一部例外を除き、株式会社の規定が適用されます。

※なお、一部例外となる事項は、整備法に規定されていますが、新任取締役の印鑑証明書に関する特別な取扱いは規定されていません。

新任取締役の就任登記に印鑑証明書の添付が必要であることは、 商業登記規則61条4項以下に記載されています。 有限会社は、当然に取締役会を置かない(置けない)会社であるため、4項がそのまま適用となります。

(平成29年6月・あなまち司法書士事務所・司法書士染田直樹)

登記された役員の任期はいつまでか?その確認方法


現在登記されている役員の任期は何年何月何日までかは、次のように考えます。

 

【前提知識1:原則的任期】

 

役員の任期をちょうど2年としてしまうと、任期切れを起こさないためには、2年に1回、決まった日に定時株主総会を開く必要があって不便

    ▼

任期は、定時総会終了のときまで延長されます。

  原則 短縮 延長
取締役

選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する

定時株主総会の終結まで(会社法331Ⅰ)

可能 10年まで可【1】
監査役

選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する

定時株主総会の終結まで(会社法336Ⅰ)

不可

10年まで可【1】 

【1】延長できるのは、全ての株式に譲渡制限をしている会社のみ(会社336Ⅱ)

 

【前提知識2:補欠・増員役員の任期短縮】

役員の任期途中で、他の役員が追加されることがあります。この場合に、追加役員だけ個別に任期が進行すると不便です。

    ▼

次のような補欠増員役員の定めを定款で定めることが出来ます。

  補欠 増員
  任期中に辞めた前任者の後任として選ばれる役員 任期中に増員された役員
取締役 〇(332Ⅰ但書→定款定め不要) 〇(332Ⅰ但書→定款の定め不要)
監査役 〇(会社法336Ⅲ→定款の定め必要) ×(増員監査役の任期短縮不可)

 

【任期確定に必要な書類】

貴社定款

登記事項証明書

補欠役員の予選


会社の定款に次のような規程があることもあります。 

(補欠取締役の予選)

第〇条 補欠の取締役の選任に係る決議が効力を有する期間は、当該決議後10回目に開催する定時株主総会の開始の時までとする。ただし、株主総会の決議によってその期間を短縮することを妨げない。

これは、上の補欠役員の任期とは違う概念です。

 

取締役が法定数ギリギリである場合などに、取締役が1名でも死亡・辞任などした場合、会社は株主総会を開催しなければなりません。このコストなどを排除するために、補欠役員を予選しておくのが、上記定款規程の意味です(会社法329Ⅲ)。

原則:次の定時株主総会までしか予選の補欠取締役選任の効力はありません。

∵役員が欠けても、次の定時株主総会で選任すれば良いから。

例外:上記定款の規程をした場合は、10回目まで効力を有する。

補欠役員(予選された補欠役員、事後選任された補欠役員)の違い


予選された補欠役員(会329Ⅲ)

欠員が生じてから選任された

補欠監査役(会336Ⅲ)

欠員が生じてから選任された

補欠取締役(会332Ⅰ但書)

①法律定款で定めた員数を欠く (「法律定款で定めた員数を欠く」ことは要件ではない) (「法律定款で定めた員数を欠く」ことは要件ではない)
(定款規程は必要なし) ①補欠監査役の任期短縮に関する定款規程があり (定款規程は必要なし)
②前任者の後任として ②前任者の後任として 〇前任者の後任として
③あらかじめ株主総会で予選 ③株主総会で「補欠である旨」明示して選任 〇株主総会で「補欠である旨」明示して選任

所要時間


 業務の種類 期間※
役員変更登記 3週間

※打合わせ完了→書類作成→登記申請→登記完了までの期間の目安です。

司法書士報酬・費用


※こちらに記載のない登記につきましても、全ての登記に対応可能です。

記載のない場合、お問い合わせをお願いいたします。 

※手数料には、基本的な議事録などの作成報酬を含みます。議事録はA4一通5,000円(税別)で計算しております。

顧問契約を締結いただいている場合、割引きがございます。

 

※代表取締役の友好的ではない交代やM&Aなどの際には、後日、議事が取消・無効などとならないよう司法書士にご用命くださいますようお願いいたします。

業務の種類 司法書士の手数料 実費
役員変更
  • 役員変更登記申請
  • 申請前の登記簿調査
  • 議事録等作成
  • 会社登記事項証明書取得(1通)
41,000円(税別) 11,100円(資本金1億円まで)
取締役の住所変更  
  • 役員変更登記申請
  • 申請前の登記簿調査
  • 議事録等作成
  • 会社登記事項証明書取得(1通)

15,000円(税別)

11,100円(資本金1億円まで)

印鑑届出(代表取締役交代のとき)
  • 印鑑届出
  • 印鑑カード交付申請
  • 印鑑証明書交付申請

11,000円(税別)

450円

株主総会招集通知の作成・発送代行及び報告
 

30,000円(税別)~

に発送先1名様ごとに1,000円を加算

 
株主総会シナリオ・想定問答集作成
  50,000円(税別)~  
株主総会立会 
  50,000円(税別)~