取締役会の書面決議(決議省略・みなし決議)/書面による議決権行使・委任状出席/テレビ会議・電話会議などによる参加


「書面決議(みなし決議)」は、取締役全員から議案に対する同意を得て取締役会に集まって決議することを省略します。

但し、定款に規定されている必要があります。

 

また、従前から行なわれているようにテレビ会議による取締役会は容認されています。

 

一方、株主総会では認められている「議決権行使書による議決権行使」や「委任状」は、取締役会では認められません。取締役会では、議題に対して議論することが大切だからです。

株主総会書面決議、取締役会書面決議・書面報告の違い


 

株主総会の

書面決議=みなし決議

(会社法319、320)

取締役会の

書面決議=みなし決議

(会社法370)

取締役会への

書面報告=報告省略

(会社法372)

内容

株主が物理的に集まって株主総会を開催しない。

取締役が物理的に集まって取締役会を開催しない。

取締役が物理的に集まって取締役会を開催しない。

採否

全株式会社で採用可能。

議案・報告事項について全株主が同意した場合には、株主総会開催を省略可能。

書面決議で良い旨の同意ではない。

議決権を行使出来る全株主の同意が必要なので、株主数が極少ない会社向け。

 

 

 

 

 

 

下記要件を全て充足したときのみ決議があったと、みなされる。

⑴定款【1】で定めた会社において

⑵議案に取締役全員が書面やメールで賛成した(書面決議で良い旨の同意ではない。)。

⑶業務監査権限ある監査役【2】がいる場合、その監査役が異議を述べなかった。 

 

 

 

 

 

下記要件を充たしたときは、報告したとみなされる。

⑴取締役会に報告すべき事項を持っている取締役・会計参与・監査役・会計監査人が

⑵取締役と監査役の全員に対して

⑶報告事項を通知したとき。

定款記載不要。

全取締役の同意不要。

監査役の異議の有無は関係なし。

書面決議より要件が緩い

【1】定款に次のような条文が入っていれば書面決議を採用可能です(取締役会書面決議を認める定款文言例)。

  1. 取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができる者に限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす。ただし、監査役が異議を述べたときは、この限りでない。
  2. 取締役又は監査役が、取締役及び監査役の全員に対して、取締役会に報告すべき事項(ただし、会社法第363条第2項の規定により報告すべき事項【3】を除く。)を通知したときは、当該事項を取締役会へ報告することを要しない。

【2】監査役の種類

 

監査権限範囲

・責任の範囲

見分け方
監査役 業務監査+会計監査 定款・登記簿に「当会社の監査役の監査の範囲は、会計に関するものに限る。」との規定がない場合
会計監査限定監査役 

業務監査なし

会計監査あり

定款・登記簿に「当会社の監査役の監査の範囲は、会計に関するものに限る。」との規定がある場合

【3】会社法363Ⅱの3か月に1回の業務報告は省略できない(会372Ⅱ)ことを定款でも再確認しています。

書面決議の流れ


取締役会に会議の目的たる事項を提案できるのは、取締役です。

取締役が代表取締役に取締役会開催を要請

会社法上、各取締役が招集することができます(会366)が、ほとんどの会社が定款で取締役会の招集権者を代表取締役にしていますので、取締役会の議決を得たい取締役は、代表取締役へ取締役会の招集を要請します。

代表取締役から全取締役及び監査役へ招集通知

代表取締役は、まず定款に書面決議を認める規定があるか確認します。

当該規定が確認できたときには、次のような内容を送付します。

通常は電話・メール・チャットワークなどで招集しますが、書面決議をする場合には電話ではなく、書面又はメールなどで送信します。

監査役にも通知する必要があります(会368)が、会計監査限定監査役には通知する必要はありません(会389Ⅶ)。

【メール送信の例】

あなまちサムライサポート株式会社

取締役・監査役 各位

 
取締役会 提案書

今般、新社屋完成に伴い本店移転をすべきところ、この件については既に十分議論を尽くしてきましたので、取締役会の開催を省略したいと考えております。

私が提案する取締役会の目的である事項については、下記「決議を省略する決議事項」欄記載のとおりです。

取締役各位におかれましては、私の提出した下記議案に同意いただけます場合には、別紙同意書に必要事項をご記入のうえ、私宛ご返信(ご返信期限:令和年月日)をお願いいたします。

監査役各位におかれましては、ご異議の有無を私宛ご返信(ご返信期限:令和年月日)をお願いいたします。

 

なお、提案について取締役各位全員の同意が得られ、なおかつ監査役各位から異議がなされなかった場合には、当社定款第〇条及び会社法第370条の規定に基づき、取締役会の決議があったものとみなされ、取締役会を開催することはいたしません。

【決議を省略する決議事項】

議案 本店移転の件

当社の本店を平成31年4月29日をもって下記住所に移転する。

神戸市灘区鹿ノ下通二丁目〇番〇号

以上

神戸市灘区鹿ノ下通二丁目4番15号

あなまちサムライサポート株式会社

代表取締役 佐藤大輔

あなまちサムライサポート株式会社

代表取締役 佐藤大輔 様

 
 

 

取締役お名前           

同意書
私は、下記議案について本書により同意する。
※ 上記提案書の【記】以下と同様に表示する。

【書面送付の場合】書面送付の場合には、「発送日」欄と「同意日」欄を追加してください

全取締役から同意書が返信(返送)される。

最後の取締役からの同意書を会社が受け取った日が、取締役会決議の日となります。

取締役会議事録を作成

記載事項については、会社法施行規則101Ⅳ

(必要に応じて)登記申請

開催したとみなされた取締役会議事録を添付して登記申請するときには、定款の添付も必要です(会370)。

取締役会議事録・全取締役からの同意書を保管

取締役会議事録原本を会社本店において10年間(会371Ⅰ)

全取締役の同意書原本、監査役の異議なし通知を会社本店において10年間(法の定めは見当たりませんが、特に取締役会議事録に代表取締役しか押印しない会社では必要です。)保管する。

書面による議決権行使・委任状による出席は認められるか?議決権行使の方法


株主総会では認められている「書面による議決権行使」「委任状を他の取締役や弁護士に預けての議決権行使」は、取締役会では認められないとするのが通説です。

その理由は、次の通りです。

  1. 株主総会で経営能力を信頼された上で選任されたのは取締役その人だからであり、
  2. 集合して協議・意見交換を行なった上で意思決定を行なうことが大切だからであり、
  3. 取締役会の議題は予め通知された事項に限られないからです。

テレビ会議・電話会議などによる参加は認められるか?


テレビ会議などでの出席も「条件をみたしたシステムであれば有効」

∵会社法施行規則101Ⅲ①はそれを前提としている。

∵福岡地裁H23.8.9

テレビ会議・電話会議への出席が「有効となる条件」

電話会議で参加させたつもりが出席と認定されなかった裁判例(福岡地裁平成23年8月9日判決)

有効となる条件
  • 遠隔地にいる取締役が電話会議方式によって取締役会に適法に出席したといえるためには、少なくとも、遠隔地取締役を含む各取締役の発言が即時に他の全ての取締役に伝わるような即時性と双方向性の確保された電話会議システムを用いることによって、遠隔地取締役を含む各取締役が一同に会するのと同等に自由に協議ないし意見交換できる状態になっていることを要する。

    

ダメな例

 

  • そこで,本件についてみると,Bの携帯電話と本件会議室の本件固定電話は,本件取締役会開催直前から閉会時までの間,回線で接続されて通話状態にあったものの,本件固定電話がスピーカーフォンではなかったため,本件取締役会の開催時から閉会時までの間,本件会議室にいる誰かが本件固定電話の受話器を耳に当てなければBの発言は聞き取れない一方,Bも,本件会議室にいる誰かが当該受話器に向かって話さない限り,本件会議室における話の内容をほとんど認識できない状態となっていた。そして,Bは,第1号議案及び第2号議案の審議の際に被告Y2から議題の説明を受け,被告Y2及び被告Y1から両議案の賛否を尋ねられたとき以外には,本件会議室でなされていた議論をほとんど聞き取れていなかっただけでなく,第3号及び第4号議案については両議案が上程されていたことすら認識できていなかったものである。
  • これらの事実からすれば,Bの携帯電話と本件固定電話の回線が本件取締役会の開会時から閉会時までの間接続されていたとしても,そのことをもって即時性と双方向性の確保された電話会議システムを用いていたと評価することはできないのであって,Bを含む当時の原告の各取締役が一同に会するのと同等に自由に協議ないし意見交換できる状態になっていたものと認めることはできない。
  • したがって,Bについて,本件固定電話と回線で接続された携帯電話の通話で本件取締役会に参加しようとしたことをもって,本件取締役会に適法に出席したと判断することはできないというべきである。

取締役会議事録に記載すべき事項(会社法施行規則101Ⅲ①)

取締役会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。 

一  取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役〔監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役〕、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。) 

取締役会議事録記載例(H14.12.18民商3044民事局商事課長回答)

Q.法務局から法務省民事局への照会事項

次の取締役会議事録は、出席取締役が一堂に会するのと同等の相互に充分な議論を行うことができる会議の議事録として、適式な取締役会議事録と認められるので、この取締役会議事録を添付してなされた登記申請を受理して良いか?

A.法務省からの回答:良い。

 

取締役会議事録
平成14年12月2日午前9時30分から、当社本店会議室及び当社大阪支店会議室において、電話回線及び電話会議用装置からなる電話会議システムを用いて、取締役会を開催した。
開催場所 東京都○○区○○1-1-1当社本店会議室  
  大阪大阪府大阪市○○区○○2-2-2当社大阪支店会議室  
出席取締役及ぴ監査役 当社本店会議室 取締役A、B及び監査役D  
  当社大阪支店会議室 取締役C  
上記のとおり、本店会議室及ぴ大阪支店会議室における全取締役及び監査役の出席が確認され、代表取締役Aが議長となって、本取締役会は電話会議システムを用いて開催する旨宣言した。
電話会議システムにより、出席者の音声が即時に他の出席者に伝わり、出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていることが確認されて、議案の審議に入った。
(会議内容省略)
本日の電話会議システムを用いた取締役会は、終始異状なく議題の審議を終了したので、議長は午前11時10分閉会を宣言した。
この議事の経過の要領及ぴ結果を明確にするため、本議事録を作成し、出席取締役及び監査役はこれに記名捺印する。

標準的な所要時間


会社作成書類の精査(招集通知・委任状・議決権行使書面など)

作業内容

所要時間

企業様→司法書士:文案をメール送信いただいてから

司法書士→企業様:見積書呈示まで

1~2日

企業様→司法書士:見積書承諾から

司法書士→企業様:内容精査し修正案送付まで

1週間

司法書士の報酬・費用


顧問契約を締結いただいている場合、割引きがございます。

業務の種類

司法書士の報酬・手数料

【1】

実費

会社作成書類の精査

(招集通知・委任状・議決権行使書面など)

30,000円(税別)~

 

招集通知原案作成

招集通知発送代行

発送報告書

30,000円(税別)/議案

+株主数×1,000円(税別)

株主数×特定記録郵便費用
株主総会シナリオ作成 50,000円(税別)~  
株主総会想定問答集作成 50,000円(税別)~  
株主総会予行演習 50,000円(税別)~  
株主総会受付事務 10,000円(税別)~  
株主総会立会い(総会事務局担当) 100,000円(税別)~  
株主総会議事録作成 10,000円(税別)~ 【2】
取締役会議事録作成 10,000円(税別)~  
登記申請 コチラをご覧ください。  
日当【3】 10,000円(税別)~  

【1】司法書士報酬・手数料は、議案の種類・数、株主の数により加算いたします。

【2】株主から提訴を受ける可能性が高い場合や、録音反訳を要するような長時間にわたる株主総会の場合には、反訳会社に反訳文を外注しますので、実費をご負担ください。

【3】上記業務を事務所外で行なう場合で、移動時間が片道1時間を超える場合

関連するページ




「難しい案件しか、やってくれへんのんちゃうん?」と言われたことありますが、そんなことありませんので(笑)

難しい仕事も出来るってだけです。

 

簡単そうでも、小さなお悩みでも、何でもどうぞ!