株主総会の書面決議(決議省略・みなし決議)/書面による議決権行使/委任状出席


「株主総会を開催することなく、株主総会を開催したことに合法的にできませんか?」と聞かれることがありますが、書面決議を行うと、合法的に株主総会を開催することができます。

 

「書面決議(みなし決議)」は、株主全員が議案に同意しているときに株主総会に集まって決議することを省略します。

 

名前のよく似ている「議決権行使書による議決権行使」は、株主総会は普通に開催することを前提にしています。

そのうえで、欠席する株主は書面によって議決権を行使することができます。

 

似て非なる両手続を分かりやすく比較します。

もくじ
  1. 書面決議・書面による議決権行使・委任状
  2. 書面による議決権行使と委任状の違い
  3. 書面決議(=みなし決議)の流れ、書式例
  4. 標準的な所要時間
  5. 司法書士の報酬・費用
  6. 人気の関連ページ

書面決議/書面による議決権行使/委任状


 

書面決議=みなし決議

(会社法319、320)

書面による議決権行使

(会311)

委任状出席

(会310)

内容

株主が物理的に集まって株主総会を開催しない。    

株主が物理的に集まって株主総会を開催する。

欠席する株主は、書面によって議決権を行使できる。 

株主が物理的に集まって株主総会を開催する。

株主からの委任状をもらった代理人が出席する。    

き不向き

全株式会社で採用可能。

議案・報告事項について全株主が同意した場合には、株主総会開催を省略可能。

書面決議で良い旨の同意ではない。

議決権を行使出来る全株主の同意が必要なので、株主数が極少ない会社向け。

議決権を行使することができる株主が1,000人以上存在する会社は、議決権行使書による議決権行使を認めることが義務。

それ以外の会社は、任意に議決権行使書による議決権行使を採用できる。

全ての株式会社は、委任状出席を認めなければならない。

ある程度の規模の会社であれば、バーチャル開催も検討されるべきです。

右の二つは、よく似た手続きですので、次項でより詳細に違いを説明します。

書面による議決権行使/委任状の違い


  書面による議決権行使 委任状出席
行使主体 議決権行使主体は、株主本人。

株主は議決権行使書面に必要な事項を記載し、原則として株主総会の日時の直前の営業時間の終了時までに提出して議決権行使する(会社法311、会社法施行規則69)

議決権行使主体は、代理人。

株主又は代理人は委任状を株式会社に提出しなければならない(会310)

 

 

記載事項

議決権行使書面の絶対的記載事項(規則66)

①各議案についての賛否欄

②議決権行使期限

③株主氏名、その有する議決権数

ほか【1:議決権行使書面の記載例】

委任状の絶対的記載事項(会310、民法99)

最低限、委任者が受任者に対して特定の株主総会における議決権の行使を委任する旨の記載があればよい。

【2:委任状の記載例】 

決定時期 株主総会招集決定の際に、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときはその旨も定める(会298Ⅰ③)。 株主が株主総会に代理人を出席させる権利は会社法で定められているため、議決権行使書面の場合のように招集決定と別に委任状出席を認める旨を決議する必要はない(会310、298Ⅰ③参照)。
発送時期 株主総会の日の2週間前までに、招集通知を発しなければならない(会299)。 公開会社を除き、株主総会の日の1週間前までに、招集通知を発しなければならない(会299)。
参考書類

株主総会参考書類が必要(会301、規則73以下)

株主総会参考書類は不要。

ただし、上場株式の議決権の代理行使の勧誘をする場合は、内閣府令に定める参考書類の提供を要する(金融商品取引法施行令36条の2)。

また、委任状の提出を要請しておきながら、議案の記載がないとクレームにつながる可能性もあることから、参考書類を同封することも多い。

事後備置

議決権行使書を

株主総会の日から3か月間本店に備え置かなければならない(会311Ⅲ)。

委任状を

株主総会の日から3か月間本店に備え置かなければならない(会社法310Ⅳ)。

株主総会議事録本体は、本店に株主総会の日から10年間備え置き、支店に写しを5年間備え置き(会社法318ⅡⅢ)

【1】議決権行使書面の記載例(会社法施行規則66条)

    令和3年〇月〇日 午後6時必着
  〇〇〇〇株式会社 御中
議決権行使書
  ご記入日 令和  年  月  日               
  ご住所    
  お名前 (印)  
  議決権数 〇個  
  私は、令和〇年〇月〇日開催の貴社臨時株主総会(その継続会又は延会を含む)の各議案について、本書をもって下記のとおり議決権を行使します。なお、賛否の表示をしていない場合には、「賛成」としてお取り扱いください。  
  第1号議案 当社解散に関する件    ( 賛成 ・ 反対 )
第2号議案 清算人選任に関する件   ( 賛成 ・ 反対 )
第3号議案 重要不動産売却に関する件 ( 賛成 ・ 反対 )
 
   
 

 

【2】委任状の記載例

    令和3年〇月〇日 午後6時必着
委任状
  委任日 令和  年  月  日(本委任状をご記入いただく日)  
  ご住所    
  お名前 (印)  
  〇〇株式会社の株主である私は、同社株主(代表取締役)である〇〇〇〇氏を代理人と定め、下記の権限を委任します。  
 
 
  1. 令和〇年〇月〇日開催の〇〇〇〇株式会社の定時株主総会(その継続会又は延会を含む)に出席し、議決権を行使すること。【3】
  2. 前号に関して、復代理人を選任すること。
 

【3】欠席株主から代理人に対して「議決権行使に関する指示(例えば第1号議案については賛成票、第2号議案については反対票を投じるような指示)」を入れると、議決権行使書と混同されるおそれがある(議決権行使書と判断されると招集通知の発送時期も変わる)ため、一切入れていません。

書面決議(=みなし決議)の流れ


株主総会に会議の目的たる事項を提案できるのは、取締役と株主です。

ここでは、取締役からの提案の場合の流れをご紹介します。

取締役会を開催

株主総会へ報告すべき事項・承認を得るべき議案をまとめる。

書面決議(株主総会の省略)を可決

代表取締役から全株主へ通知

通知すべき株主の種類は次のとおりです。

  通知すべき株主の種類
株主総会への報告事項がある場合 無議決権株主を含め全株主に通知必要
株主総会への報告事項がなく、決議事項のみの場合 無議決権株主や単元未満株主への通知不要

次のような提案書・同意書・(貴社宛)返信用封筒を送付します。

同意は、書面又はメールとされていますので、口頭での同意は無効です。

  令和年月日
株主各位  
 

神戸市灘区鹿ノ下通二丁目4番15号

あなまちサムライサポート株式会社

代表取締役 佐藤大輔

第〇回定時株主総会 提案書

当社は、株主様の株主総会への出席のご負担を考慮し、第〇回定時株主総会の開催を省略したいと考えております。

当社が株主総会に報告すべき事項については下記「報告を省略する報告事項」欄記載のとおりです。また、当社が提案する株主総会の目的である事項については、下記「決議を省略する決議事項」欄記載のとおりです。

株主様におかれましては、当社提案及び報告事項の省略に同意いただけます場合には、別紙同意書に必要事項をご記入のうえ、当社宛ご返送(ご返送期限:令和〇年〇月〇日)をお願いいたします。

 

なお、提案について株主様全員の同意が得られた場合には、会社法第319条及び第320条に基づき、株主総会の決議及び株主総会への報告があったものとみなされ、株主総会を開催することはいたしません。

(報告を省略する報告事項)

1.当期事業報告の件(別紙「事業報告書」記載のとおり)

2.当期監査報告の件(別紙「監査報告書」記載のとおり)

(決議を省略する決議事項)

1.第〇期貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表承認の件(別紙「」記載のとおり)

2.定款変更の件

・・・・・

3.取締役1名選任の件

・・・・・

  令和  年  月  日
あなまちサムライサポート株式会社 御中   
 

 

株主様のお名前           (株主届出印)

同意書
私は、下記事項の報告を省略すること及び決議事項に関する会社提案について本書により同意する。
※ 上記提案書の【記】以下と同様に表示する。

全株主から同意書が返送される。

最後の株主からの同意書を会社が受け取った日が、株主総会決議の日となります。

株主総会議事録を作成

書面決議の場合にも株主総会議事録を作成することとなっています(会社法318、会社法施行規則72Ⅳ①)。

定時株主総会議事録
株主総会の決議があったものとみなされた日【1】  令和〇年〇月〇日
株主総会の決議があったものとみなされた事項の提案をした取締役 取締役〇〇〇〇
議決権ある当会社株主総数 〇名
議決権ある発行済株式総数 〇株
この議決権数

〇個

(報告を省略した報告事項)

1.当期事業報告の件(別紙「事業報告書」記載のとおり)

2.監査報告(別紙「監査報告書」記載のとおり)

(決議を省略した決議事項)

第1号議案 第〇期貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表承認の件

・・・・・

第2号議案 定款変更の件

・・・・・

第3号議案 取締役1名選任の件【2】

・・・・・

令和年月日、取締役〇〇は株主全員に対して上記株主総会の報告及び決議の目的である事項について提案書を発送し、当該提案について、年月日株主全員から書面により同意の意思表示を得たので、会社法第319条の規定に基づき当該提案を可決する旨の株主総会への報告及び株主総会の決議があったものとみなされた。

上記のとおり株主総会への報告の省略及び株主総会の決議の省略を行なったので、これを明確にするため、この議事録を作成し、取締役全員がこれに記名押印する。

令和年月日  
あなまちサムライサポート株式会社定時株主総会  
 

代表取締役〇〇〇〇

(議事録作成者)

取締役 ××××

取締役 □□ □

取締役 △△△△

【1】株主総会の決議があったものとみなされる日

会社法319条、会社法施行規則72条4項などの条文上からは明らかではありませんが、この日付は「順次送られてきた株主からの同意の意思表示が会社に揃った(到達した)日」つまり「最後の株主からの同意書を会社が受け取った日」です。意思表示は到達が必要だからです。

郵便の都合もあり、効力発生日を調整するのは、困難です。

効力発生日を特定の日にしたい場合には、①送付する議案に「効力発生日は令和〇年〇月〇日とする」と入れておくか、②日程を調整できる最後に同意する株主(通常は代表取締役でしょう。)が効力発生日に同意書に署名して提出するかの方法をとるのが通常です。

【2】書面決議の議事録の場合には、議事録を就任承諾書や辞任届として援用できません。就任の意思表示や辞任の意思表示は、株主総会の開催中に席上行う必要があるところ、書面決議では株主総会を実際には開催せず、席上意思表示をすることができないからです。

別途就任承諾書や、辞任届を作成する必要があります。

(必要に応じて)登記申請

株主総会議事録・全株主の同意書を保管

株主総会議事録原本を会社本店において10年間、その写しを支店において5年間(会318ⅡⅢ)

全株主の同意書原本を会社本店において10年間(会319Ⅱ)

保管し、株主・債権者の閲覧請求に対応する必要がある。

標準的な所要時間


会社作成書類の精査(招集通知・委任状・議決権行使書面など)

作業内容

所要時間

企業様→司法書士:文案をメール送信いただいてから

司法書士→企業様:見積書呈示まで

1~2日

企業様→司法書士:見積書承諾から

司法書士→企業様:内容精査し修正案送付まで

1週間

司法書士の報酬・費用


貴社予算に応じてご提案いたします。

顧問契約を締結いただいている場合、割引きがございます。

業務の種類

司法書士の報酬・手数料

【1】

実費

会社作成書類の精査

(招集通知・委任状・議決権行使書面など)

33,000円(税込)~

 

招集通知原案作成

招集通知発送代行

発送報告書

33,000円(税込)/議案

+株主数×1,100円(税込)

株主数×特定記録郵便費用
株主総会シナリオ作成 55,000円(税込)~  
株主総会想定問答集作成 55,000円(税込)~  
株主総会予行演習 55,000円(税込)~  
株主総会受付事務 11,000円(税込)~  
株主総会立会い(総会事務局担当) 110,000円(税込)~  
株主総会議事録作成 11,000円(税込)~ 【2】
取締役会議事録作成 11,000円(税込)~  
登記申請 コチラをご覧ください。  
日当【3】 11,000円(税込)~  

【1】司法書士報酬・手数料は、議案の種類・数、株主の数により加算いたします。

【2】株主から提訴を受ける可能性が高い場合や、録音反訳を要するような長時間にわたる株主総会の場合には、反訳会社に反訳文を外注しますので、実費をご負担ください。

【3】上記業務を事務所外で行なう場合で、移動時間が片道1時間を超える場合

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