株主総会で出た「株主提案」「動議」への適切な対応方法


株主には、会社に対して議題や議案を提案する「株主提案権」があります。

株主総会前に事前に提案されたものであれば、会社はじっくり検討する時間もとれます。

ところが、株主総会当日、株主が突然「議長動議!」と発言することもありえます。こういう場合に、会社はどう対応すべきかお伝えします。このコラムをお読みいただければ分かりますが、結構複雑ですので、当日になって慌てるのではなく、事前の十分な準備をお薦めしています。

もくじ
  1. 動議とは何か?
  2. 動議への対応
  3. 動議対策でオススメなのは「事前準備」
  4. 当グループのサービス
  5. 司法書士の報酬・費用
  6. 人気の関連ページ

動議とは


「実務上、株主総会会場における株主の提案を動議」といいます(田中亘 著『会社法 第3版』東京大学出版会、2021年、190頁)。

すなわち、株主が、株主総会当日、席上で突然「議長動議!」と言った場合、会社がどのように対応すべきかについて説明します。 

動議とよく似たものに「議題提出権」「議案提出権」があります。

議題提出権、議案提出権、動議の違いが分からない方は、コラム「株主提案権と修正動議の違い」をまずはお読みください。

動議への対応


まずは分類

まず、株主からの提案が「議題」なのか、「議案」なのか、「手続的動議」なのか分類します。

下表<株主提案・動議一覧>の この色の部分 をご覧いただければ分類できるかと思います。
<株主提案・動議一覧>
  種類と名称
  株主提案権  
  議題提出権 議案提出権  
    動議
 

実質的動議

修正動議

手続的動議
根拠規定 会社法303 会社法304

総会調査者選任請求(会316)、総会の延期・続行(会317)など

内容

「議題」そのものを株主がイニシアティブをもって提出できる権利

既に提出されている「議案」と同一性のある範囲内で提出できる権利

法律の規定等によって「議題」を提出できる権利

使

公開会社

100分の1又は300個以上の議決権

+6か月以上保有

一株持っていれば行使できる 一株持っていれば行使できる
非公開会社 取締役会あり 100分の1又は300個以上の議決権
取締役会なし 一株持っていれば行使できる

使

取締役会あり 株主総会日の8週間前までに 一株持っていれば行使できる 株主総会の場で行使すればよい
取締役会なし 制限なし

つぎに適法な提案か検討

株主が、株主総会当日に、会社に対して、何等かの提案をすることができるのは「議案の提出」と「法律に定められている場合」に限られます。

 

取締役会のある会社の場合には、株主が、総会当日に「議題」を提出することはできません。

  1. 議案提出(=実質的動議=修正動議)であると分類した場合、行使権者・行使方法にも制限はありませんので、適法な提案(動議)であると判断できます。
  2. 議題提出であると分類した場合、貴社が公開会社であるか非公開会社であるか、さらに取締役会設置しているか否かによって行使権者や行使方法に法令上の要件があります(上の表<株主提案・動議一覧>参照)ので、これらの要件をすべて充たしているか検討します。
  3. 議題提出であっても手続的動議に該当すると分類した場合、行使権者・行使方法にも制限はありませんので、適法な提案(動議)であると判断できます。

最後に対応方法決定

 

下表のようになります。

  動議の具体例 議長の対応
実質的動議 
  • 株主総会の目的事項(議題)について議案の提案
  • (取締役会非設置会社における)議題の提案

議長は、株主総会に諮る(決議に付す)義務を負う(会304)。

手続的動議 

明文規定

ある動議

  • 資料調査者の選任(会316)
  • 総会の延期(会317)
  • 総会の続行(会317)
  • 会計監査人出席要求(会398)

議長は、株主総会に諮る(決議に付す)義務を負う。

明文規定

ない動議

  • 議長不信任
  • 議長交替

議長は、株主総会に諮る(決議に付す)義務を負う。【1】

∵当事者である議長が裁量で判断するのに馴染まない。

  • 休憩
  • 質疑の打ち切り
  • 採決方法
  • 議案の審議の順序変更
  • 役員選任方法として個人ごとに採決する旨の動議
  • 退場命令(会315Ⅱ)
議長の裁量(会315)

【1】議長の不信任・交替の動議は,当事者である議長が裁量判断することにはなじまないから,当該動議が合理性を欠いたものであることが一見明白でない限り,議長はこれを総会に諮る義務を負うと解すべきである(東京高判平成22.11.24資料版商事322号180頁。当該事件では,合理的理由のない動議であることが一見明白であったとして,これを総会に諮らなかった議長の総会運営を適法とした)田中亘 著『会社法 第3版』(東京大学出版会、2021年)190頁

動議対策でオススメなのは「事前準備」


具体的な動議への対応については、「想定問答集」を作成して、株主からの不意の動議に対応するようにします。いくら百戦錬磨の社長さんであっても、年1度の株主総会の席では多少緊張もしますし、対応を失敗して「株主総会は無効だ」などと主張されては、大変面倒です。

 

株主総会を適法に開催しないと、後日「決議取消の訴え」を起こされるリスクがあります。

株主総会決議が取消しとならないためのポイントは次の2点です。

  1. 決議方法が法令・定款に違反しないこと(例:説明義務をつくすこと)
  2. 決議方法が著しく不公正でないこと(例:議事運営が公正なものであること)

想定問答集の作成と予行演習

動議を適切に裁かないと、2番目の決議方法が不公正となってしまい、決議取消しの対象となってしまいます。そこで、あなたの会社でも「想定問答集」を作成いただき、予行演習をして、総会当日に備えることをオススメしています。

総会当日は冷静に・・・

株主からの発言が次のいずれに当たるのかを判定して然るべき対応(却下や採決など)を行います。

  • 単なる意見、単なる質問、新たな議題の提出、実質的な動議、手続的な動議

どう対応すべきかは、公開会社か非公開会社か、取締役会を設置しているか否かによっても異なります。議長として正確に判断できないようであれば、総会事務局として司法書士を利用することもご検討ください。なお、動議に直接対応するのは議長の役目であり、これは、司法書士が同席している場合でも同じです。

当グループのサービス


想定問答集の作成・交付

これまで立会いさせていただいた株主総会で実際に出てきた質問を全て反映した「想定問答集」に貴社ならでは(貴社総会の議題ならでは)の想定問答を追加してお渡ししています。

総会事務局として臨席

総会事務局として、株主総会に臨席することもございます。その場合には、議長の後ろに陣取り、株主からの質問に対して、社長が回答すべき回答をお示しします。

司法書士の報酬・費用


司法書士による顧問契約を締結いただいている場合、割引きがございます。

業務の種類

司法書士の報酬【1】

実費

招集通知原案作成

招集通知発送代行

発送報告書

33,000円(税込)/議案

+株主数×1,100円(税込)

株主数×特定記録郵便費用
株主総会シナリオ作成 55,000円(税込)~  
株主総会想定問答集作成 55,000円(税込)~  
株主総会予行演習 55,000円(税込)~  
株主総会受付事務 11,000円(税込)~  
株主総会立会い(総会事務局担当) 110,000円(税込)~  
株主総会議事録作成 11,000円(税込)~ 【2】
取締役会議事録作成 11,000円(税込)~  
登記申請 コチラをご覧ください。  
日当【3】 11,000円(税込)~  

【1】司法書士報酬は、議案の種類・数、株主の数により加算いたします。

【2】株主から提訴を受ける可能性が高い場合や、録音反訳を要するような長時間にわたる株主総会の場合には、反訳会社に反訳文を外注しますので、実費をご負担ください。

【3】上記業務を事務所外で行なう場合で、移動時間が片道1時間を超える場合

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