共有不動産の処分(贈与・売却・放棄)


ご自身にとって無価値な不動産...

例えば

✔️ 財産価値がない

✔️ 財産価値はあるだろうけれど、興味がない

✔️ 財産価値もないし、管理コストがかかる

 

中でも、共有の不動産については、処分に困りますよね。

 

ここでは、他の共有者にあなたの持分を引き取って貰う方法をご紹介します。 

 

1.共有とは何か?!

2.共有物全体の処分は、共有者で協議して決める

3.でも、ご自身の共有持分は自由に処分できる。

4.「共有持分」の処分方法

5.「共有者への贈与」と「共有持分放棄」の違い

6.遺産共有と(普通の)共有は違う。


共有とは何か?!


「土地を共有しているんですけれど、どの部分が自分の土地かわからない」とのご相談があります。

 

共有とは、「一つの物を複数人が所有している状態」です。

ですから、共有物の全てを共有者全員が使用することができます。

 

一筆の土地のこの部分は、自分が使って良いというのではなく、一筆の土地全体を使って良いのです。

共有物全体の処分は、共有者で協議して決める


「皆で持っている物の処分は、皆で決める。」というのは、当たり前のことです。

共有者全員にとって得になるような(共有物が壊れそうなときにチョット修理する。共有者の権利が侵害されている場合にこれを排除する)ことは、共有者が単独で出来るのも当たり前のことです。

 

ただ、この中間にある「ちょっと得になるようなこと」は、共有持分の過半数で決めましょうと法律がルールを定めているのです。

法律用語 意味 具体例 決定方法

保存行為

(民252但書)

他の共有者に不利益でない現状維持行為

修理

侵害への妨害排除

各共有者単独

管理行為

(民252本文)

使用

共有物の性質を変更せず収益を上げる(利用)

共有物の交換価値を上げる(改良)

賃貸借契約の締結・解除

持分の過半数

【1】

変更行為

(民251)

物理的に変化を加える。

法律的に処分する。

増改築

売却

売買の解除

抵当権設定

全員の同意

でも、ご自身の共有持分は自由に処分できる。


共有物「全体」を処分するときには、処分内容によって、「一人で出来たり」「全員の同意が必要」だったりします。

しかし、「ご自身の共有持分だけ」を第三者に対して処分するときには、一人ですることが出来るのです。

分譲マンションの底地(特に「敷地権化」されていないもの)を思い浮かべてください。マンション住民全体で底地は共有していますが、底地の自分の持分を売却するのに、他の住民の承諾は要りません。

「共有持分」の処分方法


共有持分も「所有権」ですので、所有権と同じ処分、すなわち、第三者に「売る」「あげる」ことが可能です。

 

共有持分の場合には、それに加えて「他の共有者」に「売る」「あげる」「押しつける(共有持分の放棄)」ことも可能です。

 

※ 単独の所有権の場合(特に不動産の場合)には、所有権の放棄は認められていません。

「共有者への贈与」と「共有持分放棄」の違い


他の共有者に対して、問答無用に押しつける場合を「共有持分放棄」と言います。

一方、他の共有者がもらってくれる場合には、「共有者への贈与」と言います。

その比較は次の通りです。

  共有者への贈与【1】 共有持分放棄

法律上

の性質

贈与契約(他の共有者の同意必要) 単独行為(他の共有者の同意不要。問答無用に押しつける)

元々共有者がABC3名で

Aが贈与/放棄する場合

Aは、次の3つから選択して贈与できる。

①Bだけに贈与

②Cだけに贈与

③BC両方に贈与

Aが放棄すると、BCの共有持分ともに増える(Aに選択権はない。)

不動産登記

B、C又はBCを登記権利者

、Aを義務者とする共同申請

BCを登記権利者、Aを義務者とする

共同申請

課税関係

贈与税の対象となる。

贈与税の対象となる(相続税基本通達9-12)

譲渡所得税

贈与された物を売却した場合、贈与者Aの取得費を承継して経費として主張できる。

【お得】

持分放棄された物を売却した場合、放棄者の取得費を承継できない。

【損】

【1】共有者に持分を渡して、対価をもらう場合には、「共有者への売買」になります。

もう一点、ご注意いただきたいのが・・・

遺産共有と(普通の)共有は違う。

(=相続分放棄と共有持分放棄は違う。)


不動産の登記名義人が亡くなって、遺産分割協議が完了するまでの間は、相続人全員が遺産である不動産を法定相続分で共有する「遺産共有」という状態になっています。

遺産分割協議が完了すると、複数の相続人で遺産である一つ不動産を共有する「(普通の)共有」状態になります。

 

未だ遺産分割協議が完了していない「遺産共有」の時点では、「共有持分の放棄」を行なうことは出来ません。

  相続分の放棄 共有持分の放棄
内容

「遺産共有」の状態において、相続人が遺産分割協議に参加する資格を他の相続人に対して放棄すること。

「相続放棄」とは異なり、遺産債務を負担する場合があります。

相続分を特定の相続人に譲る場合は「相続分譲渡」手続があります。

「(普通の)共有」状態において、共有者が共有物に関する権利義務を他の共有者に対して放棄すること。

 

 

 

 

手続

【遺産分割協議の場合】

⑴他の相続人に対して、相続分は要らない旨を伝えます。

⑵他の相続人が用意する(a)あなたの相続分をなしとした遺産分割協議書又は(b)あなたが相続分

を放棄した旨の書類に署名押印(印鑑証明書付)します。

【遺産分割調停の場合】

家裁に対して、①相続分放棄書、②即時抗告権放棄書【1】、③印鑑証明書を提出します。

➊内容証明郵便で他の共有者全員に対して「共有持分の放棄」の意思表示を行ないます【2】。

❷他の共有者が登記名義の引取に協力しないときには、「登記引取請求訴訟」を提起します。

 

 

 

 

 

【1】「即時抗告権放棄書」というのは、あなたが「相続分放棄書」を提出したことに伴って、裁判所が出す「(あなたを調停当事者から除外する旨の)排除決定」に対して、あなたは異議を申しませんという意思表示です。

【2】共有持分放棄は単独行為ですので、本来であれば、意思表示を相手方(他の共有者)に対して行なう必要はありません(最判昭和42年6月22日)。それでも、内容証明郵便で送るのは、「共有持分の放棄は、早い者勝ち」だからです。共有物について、共有持分の放棄が行なわれ、最後の一人になると最早単独所有ですので、共有持分の放棄を行なうことは出来ません。

また、登記の引取を請求する必要もあるからです。

司法書士の報酬・費用


業務の種類 司法書士の報酬・費用 実費
共有持分放棄の内容証明郵便作成・発送 お客様名(司法書士の職・名を記載せず) 10,000円(税別)~/共有者一人 1,200円~/共有者一人
司法書士の職・名を記載 15,000円(税別)~/共有者一人 1,200円~/共有者一人

※ ①共有持分放棄に基づく所有権移転登記報酬・実費、②相手方が登記の引取を拒否した場合の登記引取請求訴訟の報酬・実費は、別途必要になります。

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