不動産取引をしようとする不動産に「差押え」や「仮差押え」が入っていることがあります。
不動産取引においては、売主は買主に対して「負担のない不動産を移転する義務」がありますので、司法書士としては、差押えや仮差押えについても確実に除去できるよう手配する必要があります。
※ この記事は「すでに差押え又は仮差押えの登記が入っている状態における取引」について記載しています。
これに対して「仮差押が入りそう、差押えされそうな取引」の場合には、その旨を当事者全員にあらかじめ説明したうえ、資金移動から登記申請までのタイムラグができるだけ無くなる方法で行います。
すなわち、出頭申請を行う場合には、法務局到着後閲覧、申請が終わるまで当事者全員を取引場所に固定します。オンライン申請を行う場合には、閲覧、申請が終わるまで当事者全員を取引場所に固定します。申請とほぼ同時に実行しても、支障ありません。
なお、抹消登記もある場合には、どうしても実行を先に行う必要がありますが、閲覧、申請が終わるまで当事者全員を取引場所に固定します。
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直接法務局に対して、抹消登記を申請することはできません。
裁判所に対して、差押え等の取下書を提出し、裁判所から法務局に対して抹消登記が嘱託されます。
直接法務局に対して、抹消登記を申請します。
通常、行政が抹消登記嘱託書(申請書)を作成してきますので、それを司法書士が預かって、登記申請します。
民間による差押え・仮差押えが抹消登記されるまでの流れは、次のとおりです。
なお、行政(国・都道府県・市町村)による差押え等が抹消登記されるまでの流れは、通常の不動産登記と同じです。
裁判所は、取下げから数日以内に抹消登記を嘱託してくれます。
したがって、不動産取引の登記申請の処理中に嘱託書が法務局へ到着するのが通常(登記簿はずっと事件中)ですので、所有権移転登記だけが完了し差押えが残っている登記簿を取得してしまうことは少ないと思います。
それでも、司法書士としては、差押え登記も抹消されていることを確認のうえ、納品するように注意しましょう。
通常の抹消登記同様に、取引の数日前にはチェックを完了しておきましょう。
次の書類が必要になります。
裁判所が登記嘱託書を作成する素材になるものです。
取下書に合綴されたものと同じものを用意します。
そのほかの注意点は「1.申立書」をご確認ください。
裁判所が登記嘱託書を作成する素材になるものです。
取下書に合綴されたものと同じものを用意します。
そのほかの注意点は「1.申立書」をご確認ください。
1か月以内のもの。
裁判所が登記嘱託書を作成する際に、参照します。
各裁判所(支部)に電話で問い合わせると教えてくれます。
下記は、直近に問合せした神戸地裁姫路支部の例です。
登記簿謄本に下記のような記載があろうかと思います。
原因 令和年月日神戸地方裁判所○○支部仮差押命令
ここに書くほどのことでもありませんが・・・
裁判所も優しく教えてくれますので、聞いていただければ幸いです。