遺産にゴルフ会員権があるけれど・・・
というご相談があります。
もくじ | |
|
ゴルフ会員権には下記3種類があります。
預託金制のゴルフ会員権の処分方法には、次の4通があります。
方法 | 利益 | コスト |
❶相続手続後、相続人名義で保有 | なし | 名義書換料【5】、年会費 |
❷相続手続後、第三者へ売却【1】 | 会員権価格【3】 | 名義書換料【1】【5】 |
❸退会して、預託金返還請求【2】 | 預託金額【4】 | |
❹何もしない(放置) | なし | 年会費 |
【1】相続手続なしに(故人名義のまま)、第三者への売却を認めるゴルフ場もあるようです。この場合、相続人名義への名義変更料がかかりません。
会員権の第三者への譲渡は、預託金返還請求権の譲渡でもありますので、第三者へ会員権を譲渡した相続人はゴルフ場に対して、預託金返還請求権を行使できません。
【2】ゴルフ場会則によると、「死亡が退会」事由になっているものが多数ございます。この場合には、退会したので預託金を返還するように請求することができます。
預託金の据え置き期間が経過していることを確認する必要があります。
【3】ほとんどのゴルフ場の会員権価格は、インターネットで検索できます。
【4】預託金の額は、相続人からゴルフ場に問い合わせていただければ教えてくれます。
【5】ゴルフ場によりますが、10~100万円程度が大半のようです。
「会員権価格」「預託金額」と「名義書換料」を比較することで処分方法を選択します。 |
見つからない場合は、ゴルフ場に「会則が見つからない」と送付を依頼ください。
預託金額を電話で教えてくれるゴルフ場もあります。
年会費の案内状に、会員番号が載っていることが多いです。
最寄りの当グループ事務所にご相談ください。
司法書士が会則や会員権価格などを調査・確認し、処分方法をご提案します。
まずは、内容証明で返還請求を行ないます。
司法書士が代理人として、ゴルフ場と交渉ができるのは、返還を求める預託金の額が140万円以下のときに限定されます。ただし、これ以上の高額の返還請求でも、預託金返還請求に強い弁護士をご紹介できますので、ご安心ください。
財務状況が良くないゴルフ場は、あれこれ理由をつけて返還を拒むことがあり、和解が成立しない場合には、提訴して解決を目指します。あなた様の代わりに司法書士が代理人として、法廷を担当できるのは、返還を求める預託金の額が140万円以下のときに限定されます。ただし、これ以上の高額の返還請求でも、預託金返還請求に強い弁護士をご紹介できますので、ご安心ください。
ゴルフ会員権の預託金返還請求が盛んになると、ゴルフ場の中には理事会決議で据置期間延長を延長するところが現れました。それに対する最高裁の判断です。
最高裁昭和61年9月11日判決(裁判所ウェブサイト、判タ623号74頁、判時1214号68頁) | |
本件ゴルフクラブの被上告人ら入会時の会則七条は、「入会金は会社が無利息・無配当にて預り正式開場後五か年間据置き、その後退会等の場合は請求により返還する。但し天災、地変、その他不可抗力の事態が発生した場合は、理事会の決議により据置期間を延長することができる。」と定められ、会則三〇条は「本会則の改正は理事会の決議によるものとする。」と定められていたところ、ゴルフ場の開場後五年が経過する直前の昭和五四年一〇月頃、本件ゴルフクラブの理事会の決議により会則七条は、会則三〇条に基づいて、「入会金は会社が無利息・無配当にて預り一〇か年間据置き、その後退会等の場合は請求により返還する。但し、天災、地変、その他クラブの運営上またはゴルフ場の経営上止むを得ないと認められる事情がある場合は、理事会の決議により据置期間を延長することができる。」と改正された。 二 原審の確定した右の事実関係によると、本件ゴルフクラブは、いわゆる預託金会員の組織であつて、上告会社の意向にそつて運営され、ゴルフ場を経営する上告会社と独立して権利義務の主体となるべき社団としての実体を有しないことが明らかであるから、本件ゴルフクラブの会則は、これを承認して入会した会員と上告会社との間の契約上の権利義務の内容を構成するものということができ、会員は、右の会則に従つてゴルフ場を優先的に利用しうる権利及び年会費納入等の義務を有し、入会の際に預託した預託金を会則に定める据置期間の経過後に退会のうえ返還請求することができるものというべきであり、右会則に定める据置期間を延長することは、会員の契約上の権利を変更することにほかならないから、会員の個別的な承諾を得ることが必要であり、個別的な承諾を得ていない会員に対しては据置期間の延長の効力を主張することはできないものと解すべきである。もつとも、本件ゴルフクラブの会則七条には、「天災、地変、その他不可抗力の事態が発生した場合は、理事会の決議により据置期間を延長することができる。」との但書があるが、「天災、地変、その他不可抗力の事態」に該当すべき事実については、原審のなんら認定しないところであり、また、会則三〇条には、理事会の決議によつて会則の改正ができる旨が定められているが、本件ゴルフクラブの組織としての前示の性格、会則を改正する機関及びその手続、会則七条但書の据置期間延長について定める厳格な要件などに照らして考えると、預託金の据置期間を延長するような会員の契約上の基本的な権利に対する重大な変更を伴う会則の改正は、既に入会した会員に対する関係においては、会則三〇条の予定するところではないものと解すべきである。 |
東京高裁平成3年2月13日判決(WestlawJapan) | |
控訴人は被控訴人に三〇万円の入会金を預託して本件契約を締結して東松山カントリークラブの個人正会員の地位を取得したものであるが、控訴人の有する右個人正会員の地位は、いわゆる預託金会員組織のゴルフ会員権と呼ばれるものに該当し、会員としてのゴルフ場施設の優先的利用権、年会費納入等の義務、据置期間経過後に退会とともに行使しうる預託金返還請求権などの債権債務関係を内容とする契約上の地位であるから、たとえ控訴人が長期間会員としての権利を行使せず、あるいは被控訴人が控訴人を長期間会員として認めてこなかったとしても、控訴人の個人正会員の地位それ自体が消滅時効にかかることはあり得ないというべきである(付言すれば、右個人正会員の地位の内容をなす個々の債権債務の消滅時効の成否はこれと別個に検討すべき問題であり、例えばゴルフ場施設優先的利用権は、会員の地位にあることによって常時有するものであるから消滅時効を論ずる余地はなく、各年度の年会費支払義務はそれぞれの支払時期から消滅時効が進行し、また、預託金返還請求権は、据置期間が経過しても、会員は退会を強制されるわけではないから据置期間経過により当然に消滅時効が進行するものではなく、会員が退会を申し出て初めて消滅時効が進行するものである。)。したがって、被控訴人の消滅時効の主張も、採用することができない。 |
最高裁平成7年9月5日判決(民集49巻8号2733頁、判タ898号181頁) | |
上記東京高裁判決の上告審です。 | |
会員がゴルフ場施設の利用をしない状態が継続したとしても、そのことのみによっては会員のゴルフ場施設利用権について消滅時効は進行せず、契約関係に基づく包括的権利としてのゴルフ会員権が消滅することはないが、上告会社が会員に対して除名等を理由にその資格を否定してゴルフ場施設の利用を拒絶し、あるいはゴルフ場施設を閉鎖して会員による利用を不可能な状態としたようなときは、その時点から会員のゴルフ場施設利用権について消滅時効が進行し、右権利が時効により消滅すると、ゴルフ会員権は、その基本的な部分を構成する権利が失われることにより、もはや包括的権利としては存続し得ないものと解するのが相当である。 |
業務の種類 | 司法書士の報酬 | 実費 | |
ゴルフ会員権の名義書換 | 55,000円(税込)【1】 | ゴルフ場によります。 | |
預託金の返還請求(交渉) | 着手金 |
請求額の8.8%(税込) 最低110,000円(税込) |
|
成功報酬 | 示談額の17.6%(税込) | ||
預託金の返還請求(訴訟) | (追加)着手金 | 55,000円(税込)~ | 訴額によります【2】。 |
成功報酬 | 経済的利益の22%(税込) |
【1】戸籍収集、遺産分割協議の成立がまだの場合には、別途費用が必要になります。
詳細は、こちら「相続の事前調査(費用)」、「相続の調整(費用)」でご確認ください。
【2】例えば、140万円を貸してこの返済を求める場合の実費は、①収入印紙12,000円と、②切手代8,000円程度です。