「私に万一のことがあったときには、○○さんに□□をあげる」という遺言が出てきた。
ありがたい。けれども・・・
財産を貰うことを辞退したい。そんなときも、当グループにご相談ください!
もくじ | |
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「あなたにあげる」遺言を、遺贈といいます。遺贈には、次の種類があります。
あなたの身分 | ||
相続人 | 相続人以外 | |
「全部あげる」との遺言 | 包括遺贈 | 包括遺贈※1 |
「全体の3分の1あげる」との遺言 | 包括遺贈 | 包括遺贈※1 |
「特定の物をあげる」との遺言 | 特定遺贈 | 特定遺贈 |
「特定の物を相続させる」との遺言 | 遺贈ではなく「相続」 | 特定遺贈 |
※1 相続人以外の方が「包括遺贈」を受けた場合には、注意が必要です。
相続人と同様の立場になり、借金・負債も、もらってしまうことになるからです。
遺贈の放棄は、遺贈が「包括遺贈」なのか「特定遺贈」なのかによって、方法が違います。
遺言書の文言から包括遺贈なのか特定遺贈なのか、よく分からないときには、まず当グループにご相談いただくのが安全です。
方法 | 時間制限 | |
包括遺贈の場合 | 家庭裁判所へ申立【1】 | 3か月以内 |
特定遺贈の場合 | 形式的な定めなし【2】 | 制限無し・いつでも【2】 |
【1】東京地裁平成28年10月5日判決(事件番号 平27(ワ)32212号、事件名遺言確認請求事件) |
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包括遺贈する趣旨と認められ、また、Y4及びY5は遺贈を受けない旨の確認書を作成しているものの、包括遺贈の放棄には家裁に対する申述が必要であり、同申述をした旨の主張立証はないから包括遺贈の放棄は効力を生じない(以上、WestlawJAPANの要旨を抜粋した。) |
【2】相続人から「承認するか放棄するか、〇月〇日までに、決めて」と言われたとき、無視しておくと、特定遺贈を承認(貰うことにした)意思表示とみなされます(民法987)
包括遺贈を受けた方は、次の4つのうち1つを選択できます
(1)単純承認 | 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認。単純承認した相続人同士で遺産分割協議をします。 |
(2)遺贈放棄 | 相続人が被相続人の生前持っていた権利(土地・建物・株券・貸付金など)や義務(借金など)を一切受け継がない相続放棄。良く「放棄した」という方がいらっしゃいますが、これは「遺産分割協議で相続する分がゼロであることを承諾した。」という意味であることが多く、法律上の相続放棄とは異なります。 |
(3)限定承認 | 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認。単純承認では、相続したもののプラスマイナスがマイナスであった場合、相続人自身の財産から返済しなければなりません。 |
(4)期間伸長 | 3か月以内に(1)単純承認(2)遺贈放棄(3)限定承認どれにするか決めかねるとき、期間を延ばしてもらいます。 |
包括受遺者が、(2)相続放棄、(3)限定承認又は(4)期間伸長をするには、
3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。3か月に間に合わなければ、(1)単純承認をしたものとなってしまいます。
財産や負債をお持ちの方が亡くなると相続が開始します。
皆様が、どういう手続をとることが出来るのか、ご説明します。
死亡を知った日から3か月以内に裁判所に提出する必要がございますので、お早目にお願いいたします。
被相続人やご自身の戸籍謄本などを提出いただきます。ご依頼があれば、司法書士が取得することも可能です。
内容をよくご確認いただき、署名押印をお願いいたします。
管轄家庭裁判所に提出します。
皆様のご住所に裁判所から直接照会状が届きます。これは、真実相続放棄をする意思があるのかを確認するためのものです。
照会状への記載方法をお知らせいたします。これは、皆様が誤解されて、誤った事実を記入してしまうと、相続放棄が認められないことになりかねないからです。
きっちり受理されていれば「相続放棄受理通知書」という名前の書面です。
きっちり申立が受理されたのか、確認させていただきます。
最初にお話しを伺ってから、概ね2~3か月程度です。裁判所の混雑具合にもよります。
期間 | |
ご相談~申立 | 1~2週間 |
申立~受理 | 1か月ほど |
包括遺贈の放棄は、あなたが「被相続人が亡くなったこと」だけではなく「自分が包括受贈者になった事実」を知ったときから3か月以内に行わなければなりません。 ですから、相続財産や借金が全くないと信じ、かつそのように信じたことに理由があるときなどは、何年経っていようが、包括遺贈放棄が受理されることもあります。
まず、借用書を確認させてもらいましょう。借用書は本物なのか、筆跡は故人のものなのか良く確認してから、包括遺贈放棄をすべきです。 包括遺贈の放棄をするとプラスの財産も相続することができなくなりますので、その点を十分に検討のうえ、期間内に放棄をしましょう。時間がかかりそうな場合には、裁判所に申し立てて、熟慮期間を延長してもらうことも可能です。
相続人としての地位を放棄したことには、なりません。 また、自分の相続分を放棄したことにも、なりません。
(新版・家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務/片岡武・管野眞一編著/日本加除出版を参照)