次の文書の原典をご提供いただける方は、ご提供いただければ幸いです。

  • 平成15年8月21日、日本行政書士会連合会が各単位会会長に発出したとされる「行政書士の適法な業務の推進について」日行連発第595号
  • 平成18年12月22日、日弁連が日行連に対して発出した「貴連合会発行のパンフレットの表記等に関する申入書」日弁連総第71号
  • 平成24年、日弁連が日行連に対して発出した文書

●平成15年8月21日付、日行連発第595号

原典未確認(2ch)

各単位会会長 殿

                    日行連発第595号

                          平成15年8月21日

                          日本行政書士会連合会

                          会長  ○ 内 ○ 三

行政書士の適法な業務の推進について

最近、一部単位会の会員が、交通事故における保険会社との示談交渉並びに多重債務整理における債権者との交渉を行い、弁護士法違反で逮捕されるという事件が発生しました。このような行為は、行政書士の社会的な評価を著しく傷つけるものであり、・・・・

-中略-

なお、示談交渉は、弁護士法72条(非弁護士の法律事務の禁止)に抵触することを申し添えます。

●平成18年12月22日日弁連が日行連に対して発出した「貴連合会発行のパンフレットの表記等に関する申入書」日弁連総第71号

(新福保隆 総合法律経済研究所【新福.jp】のブログより)https://plaza.rakuten.co.jp/yshinfuku/diary/200702190000/

下記申入書の真贋が不明瞭のため、まだ公開しない。

       日弁連総第71号

                           平成18年12月22日

日本行政書士会連合会

 会長 宮内 一三 殿

                         日本弁護士連合会

                          会長 平山正剛

貴連合会発行のパンフレットの

表記等に関する申入書

 今般、貴連合会の別紙パンフレットを拝見致しました。当連合会にとって弁護士法第72条の趣旨に照らし看過し得ない問題点を御指摘申し上げ、貴連合会において申入れの趣旨に沿ってしかるべき

対応を措られるよう要望いたします。なお、当連合会の問題点の指摘に対する、貴連合会の対応について、平成19年2月末日迄に書面にて回答されるよう要請いたします。

第1 申入れの趣旨

1 貴連合会の英文表示 「Japan Federation of Gyoseisyoshi Lawyer’s Associations」について、今後「Lawyer」を含む英文表示の使用を差し控えられたい。

2 貴連合会の、行政書士を表す「頼れる街の法律家」について、今後「法律家」を含む表現の使用を差し控えられたい。

3 別紙パンフレットにおいて、行政書士が取り扱う業務について、「相手方と交渉を行う代理権」「裁判所に提出する文書の作成の代理権」が存在すると読者に誤解を与える構成、表現を用いない

ようにされたい。

4 貴連合会所属の行政書士に対し、行政書士の業務範囲について適切な指導をしていただきたい。

 

第2 申入れの理由

1 行政書士法で認められている「代理権」の範囲について

行政書士法においては、1「官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること」(同法第1条の3第1号)、2「契約その他に関する書類を代理人として作成すること」(同第2号)が、規定されています。

今次の改正で、2は新たに規定されたものですが、これは、「従来からの行政書士の業務を明確化するために、行政書士が作成することが出来る書類に係わる官公署への提出手続の代理、代理人として契約その他の書類の作成業務が出来ることを確認しただけ」であり(平成13年6月7日衆議院会議録)弁護士法第72条の関係で、行政書士の業務範囲を拡大するというものではありません。従って行政書士は代理人として相手方に請求したり、交渉することはできません。(弁護士法第72条、司法書士法第73条第1項、第3条第1項第7号、等)

ここに行政書士法において使用されている「代理」の概念は、弁護士が依頼者を代理し相手方と交渉する際に有する代理権とは全く異なり、一種の「書面の作成の代行」と考えられます。

行政書士は、「官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること」が、認められています。この「官公署」には、司法機関である裁判所・検察庁は含まれておりません。裁判所に関する手続の代理は、本来弁護士のみに認められた権限であり、今次、例外的に認定司法書士にも認められるなどしたものです。(弁護士法第72条、司法書士法第73条第1項、第3条第1項第4号、等)

2 「法律家」「Lawyer」と称される法曹の有する代理権

「法律家」「Lawyer」に該当するのは我が国では一般的に弁護士、裁判官、検察官、すなわち法曹であります。現在では、ほかに外国法事務弁護士、そして法改正後の認定司法書士も、簡裁における訴訟代理権を有しており、「法律家」であると考えられます。民間の法律家である、弁護士、司法書士の有する代理権は、当事者の依頼を受け、相手方と交渉し、契約を締結し、和解し、その効果が全面的に本人に帰属するものであります。これら「法律事務」についての代理権は、弁護士法第72条により原則として弁護士にのみ認められるとともに、司法書士法等その他の法律によって司法書士等に認められているところであります。この代理権は先述の「書面の作成の代行」と本質的に異なるものであることは、前者についてのみ、厳しい「双方代理の禁止」等の倫理規定が不可避的に一体となっており、後者には全く規定がないことなどからも明らかであります。

3 別紙パンフレットについて

(1)別紙パンフレットには、日本行政書士会連合会の英文表記として、Japan Federation of Gyoseishoshi Lawyer’s Associationsと記載されています。また行政書士を表す「頼れる街の法律家」との記載があります。

(2)例2の「債権債務に関する手続」について

別紙パンフレットには、「行政書士は債権債務問題の解決に向け、債権者または債務者の代理人として、必要な書類の作成を行います。そして、債権者と債務者との間で協議が整った場合には「和解

書」等も作成します」(例2)との記載があります。ここには「代理人として必要な書類の作成」とのみ表現しており、「裁判所に提出する書類の作成権限」や、「相手方との交渉権限」についての

記載はありません。従って直接弁護士法に抵触する表現は避けていることは窺えます。しかし、冒頭に「Lawyer」や「法律家」との記載があることから、パンフレットをみた市民が「法律家」「Lawyer」が一般的に有する「代理権」を行政書士も有すると誤解する可能性が極めて高いと判断されます。

また債権債務問題の主要部分を占める消費者の債務整理の事案では、作成すべき書類のうち裁判所に提出する特定調停、債務弁済調停及び自己破産の書類等が重要な割合を占めていると考えられます。

しかし、行政書士には、債務者の代理人として債権者と交渉する代埋権もなければ、裁判所等に提出する書類を作成する権限も認められておりません。「必要な書類の作成」と表現しながら、裁判所提出書類が作成できないのでは、このパンフレットを読んだ市民に大きな誤解を与えるものとなります。

さらに「債権者と債務者との間で協議が整った場合には「和解書」等も作成します。」との記載ですが、これをみた市民が交渉について代理権があると誤解する可能性が高いと判断されます。

(3)例3の「交通事故の解決」について

パンフレット例3記載の表現を厳格に解釈してその範囲を遵守し、市民から依頼を受けて、その陳述するところを整序して正確に表現する限度で、自賠責保険金請求書を作成したり、被害者と加害者との間で示談の合意が成立したことを前提に上記限度で示談書を作成することは弁護士法第72条に違反するものではありません。しかし、そのパンフレットの記載をみた市民は、上記の業務範囲を超え、損害賠償額の算定や過失割合の判断など法的判断に立ち入ったり、被害者の代理人として加害者及び保険会社と交渉する権限があると誤解する可能性が極めて高いと考えられます。特に「法律家」との記載が冒頭にあることから、その危険は一層増幅される可能性が高いと考えられます。「法律家」でありながら「交渉権限」がないことなど考えにくいと思われます。従ってこの表現も市民に誤解を与えるものとして不適であります。

(4)例4の「契約書等を作りたい」について

これも、(3)と同様であります。「発生したトラブルについて協議が整ったとき」として、交渉権限について触れていませんが、発生したトラブルについて、「法律家」が関与して、代理で交渉してくれるのではないかと、市民が誤解することは避けられないと考えられます。従ってこの表現も不十分です。

(5)例5の「内容証明郵便を出したい」について

「行政書士は依頼者の意見に基づき、最適な文書を代理人として作成し、相手側に内容証明郵便として差し出すこともいたします。」とあります。(3)(4)同様、依頼者の陳述するところを整序して書面を作成するだけであれば問題はないと判断されますが、交渉権限を有する代理人として表示して内容証明郵便を送付することは、弁護士法第72条違反となり許されません。その点パンフレットを読む市民に誤解を与えない配慮が必要ですが、「法律家」との表現とあいまって、誤解は避けられないと考えられます。従ってこの表現も不十分です。

4 貴連合会のこのパンフレットは一般市民に行政書士が代理人として相手方と交渉するなどの紛争処理業務や、それを前提とした相談業務について権限があると誤解を与えております。このパンフレットとの因果関係はさておき、各弁護士会から行政書士が弁護士法第72条に違反しているのではないかとの報告が当連合会に寄せられています。ついては、貴会会員が適正な職務権限の範囲を遵守し弁護士法第72条に違反しないよう会員に対する適切な指導を要望致します。

5 行政書士の英文表示について

以上から行政書士の本来の職務には裁判所等司法機関とは関係のない職務であることは明らかです。かつ紛争解決の代理権はありません。そしてLawyerは英語圏においては弁護士、又は法曹の意味に用いられており、紛争解決の代理権のない行政書士が使用することは大きな誤解を招くものです。行政書士の通常の英訳として用いられているものはadministrative scrivenerであり、現在の英語表記は改められるべきものと考えます。

6 「法律家」の表示について

また別紙パンフレットの表紙には行政書士を「頼れる街の法律家」と表示してあります。しかし、行政書士は、法律事務を取り扱うことができません。極めて限定的な「書面の作成の代理」に制限されています。従ってその権限の内容からして「法律家」の表現は極めて不適切です。従って今後、行政書士を表示するものとして「法律家」の用語を使用しないよう改めるべきと考え、その改善を強く要望します。

7 以上の通り、貴連合会発行の別紙パンフレットには利用者に対して行政書士の権限について誤解を生じさせる内容を多く含むと考えられます。よって、「Lawyer」「法律家」の表現の使用をやめるとともに、パンフレットから、その業務範囲について誤解を招く表現を改めるよう求めるとともに、貴連合会会員に対し業務範囲を遵守するよう適切な指導をされるよう、申入れの趣旨記載の申入れをする次第です。