所在と家屋番号が一致しない建物の発生原因と対処方法


通常、一つの建物では、その所在と建物番号は、一致していることが多いです。

ところが、古い建物の場合には、一致していないこともあります。

  • 一致していない建物の所有者が貴方である場合:登記簿上では「貴方の所有する建物が、他人の土地に建っている」ように見えているかもしれません。
  • 一致していない建物の所有者が第三者である場合:登記簿上では「第三者の所有する建物が、あなたの土地に建っている」ように見えているかもしれません。

不動産を売却するときや、相続登記をする際に発覚することが多いです。

この記事では、このような状態が発生する原因をご説明したのち、その解消方法もご説明します。

なお、表題登記(土地建物の物理的な形状等の登記)は、私たち司法書士ではなく、土地家屋調査士の専門分野です。

もくじ
  1. 所在と家屋番号が不一致とは、どういう状態か?(登記情報)
  2. 建物に「所在」をつけるルール
    1. 最初に「所在」をつけるルール
    2. 分筆や合筆しても「建物の所在」は自動では変わらない?
  3. 建物に「家屋番号」をつけるルール
    1. 最初に「家屋番号」をつけるルール
    2. 分筆や合筆しても「建物の家屋番号」は自動では変わらない?
  4. 所在と家屋番号が一致しない建物の発生原因
  5. 現在でも発生するのか?
  6. 不一致の発生原因を特定する方法
  7. 是正する必要性と対処方法
    1. 一致していない建物の所有者が貴方である場合
    2. 一致していない建物の所有者が第三者である場合
    3. 建物所有者は、変更登記を申請する義務はないのか?
    4. 職権による変更登記を依頼できないものか?
    5. 土地所有者は、建物所有者に対して、所有権に基づく妨害排除請求としての建物の所在地番変更等の登記を請求できないものか?
  8. 是正する必要性と対処方法(まとめ)

〔凡例〕この記事では、次の法令が出てきます。法令名が長いときは、次のとおり略記します。

  • 不登法:不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
  • 不登令:不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)
  • 不登規則:不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
  • 不登準則:不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)最終改正:令和6年12月2日

所在と家屋番号が不一致とはどういう状態か?(登記情報)


下図は、建物の登記事項証明書の「表題部」を再現したものです。

上から3行目に「所在」欄、上から4行目に「家屋番号」欄があります。

「所在」も「家屋番号」も、不動産登記上で土地や建物を識別するために付けられる番号です。

 

【所在】は、建物が建っている土地の番号です。下図では、所在欄には「10番地1」「11番地1」が入っていますので、この建物が「10番1」「11番1」の2筆の土地上に建っている(又はかつて建っていた)ことが分かります。

【家屋番号】は建物の番号です。下図では、家屋番号欄に「9番」が入っています。

 

そして、所在(10番地1、11番地1)と家屋番号(9番)で不一致が生じています。

所在地番と家屋番号が不一致の登記情報
所在地番と家屋番号が不一致の登記情報

どうして、この建物は、所在と家屋番号が不一致することになったのでしょうか?

その理由を理解するためには、まず「所在」を付けるときのルール、「家屋番号」を付けるときのルールを確認する必要があります。

建物に「所在」をつけるルール


ある建物を特定したい場合、不動産登記では建物の「所在」と「家屋番号」で特定します。

「所在」を見ると、建物が、どの土地の上に建っているかが分かります。

「所在」をつける不動産登記法上のルールを確認します。

 

最初に「所在」をつけるルール

新築建物の「表題部」を作成するときにつけられる「所在」は、次のルールに則っています。

不動産登記法第44条(建物の表示に関する登記の登記事項)
 
  1. 建物の表示に関する登記の登記事項は、第27条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
    一 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
    二 家屋番号
    三~九 (略)
  2. (略)
不動産登記事務取扱手続準則第88条(建物の所在の記録方法)
 
  1. 建物の登記記録の表題部に不動産所在事項を記録する場合において、当該建物が他の都道府県にまたがって存在するときは、不動産所在事項に当該他の都道府県 名を冠記するものとする。
  2. 建物の登記記録の表題部に2筆以上の土地にまたがる建物の不動産所在事項を記録する場合には、床面積の多い部分又は主たる建物の所在する土地の地番を先に記録し、 他の土地の地番は後に記録するものとする。

  3. 前項の場合において、建物の所在する土地の地番を記録するには、「6番地、4番地、8番地」のように記録するものとし、「6、4、8番地」のように略記してはならない。ただし、建物の所在する土地の地番のうちに連続する地番(ただし、支号の あるものを除く。)がある場合には、その連続する地番を、例えば、「5番地ないし7番地」のように略記して差し支えない。

  4. 建物が永久的な施設としてのさん橋の上に存する場合又は固定した浮船を利用したものである場合については、その建物から最も近い土地の地番を用い、「何番地先」 のように記録するものとする。 

分筆や合筆しても「建物の所在」は自動では変わらない?

<事例1:土地を分筆した場合>
  1筆の土地に境界を入れて2筆以上に(物理的に)分けることを「分筆」といいます。例えば、

「地番50番」の土地上に「所在○○町50番地 家屋番号50番」のA建物が建っていた場合に、「地番50番」の土地を2筆に分筆すると「地番50番1」と「地番50番2」の2筆ができあがります(不登準則67Ⅰ④)。

その結果、A建物の所在地は、正確には「所在50番地1」か「所在50番地2」になります。

この(土地)分筆登記を申請すると、A建物の「所在」はどうなるのでしょうか?

 

<事例2:土地を合筆した場合>

 

2筆以上の土地を合体させて1筆の土地にすることを「合筆」といいます。例えば、

「地番60番1」の土地上に「所在○○町60番地1 家屋番号60番1」のB建物が

「地番63番」の土地上に「所在○○町63番地 家屋番号63番」のC建物が

それぞれ建っていた場合において、「地番60番1」と「地番63番」の土地を合筆すると「地番60番1」の土地ができあがります(不登準則67Ⅰ⑥)。

その結果、B建物の所在地は「60番地1」と正確なままですが、C建物の所在地は、正確には「60番地1」になります。

この(土地)合筆登記を申請すると、C建物の「所在」はどうなるのでしょうか?

 

仮に、次のような規定があれば「土地」の分筆・合筆登記を申請したときに「建物」の所在も変わることになります。

  • 「土地を分筆・合筆する場合、その土地上にある建物の『所在(地番)』の変更登記申請も必要である」旨の規定
  • 「土地を分筆・合筆した場合、登記官が職権で『建物の所在(地番)』を変更する」旨の規定

ところが、不動産登記のルールを定めた4つの法令等(すなわち、不登法、不登令、不登規則、不登準則)には、上記のような規定はありません。

すなわち、土地を分筆又は合筆しても、その上に建っている「建物の所在(地番)」は変更されません。

建物に「家屋番号」をつけるルール


最初に「家屋番号」をつけるルール

新築建物の「表題部」を作成するときにつけられる「家屋番号」は、次のルールに則っています。

不動産登記法第45条(家屋番号)
  登記所は、法務省令で定めるところにより、一個の建物ごとに家屋番号を付さなければならない。
不動産登記規則第112条(家屋番号)
 
  1. 家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるものとする。ただし、二個以上の建物が一筆の土地の上に存するとき一個の建物が二筆以上の土地の上に存するときその他特別の事情があるときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により、これを定めるものとする。
  2. (略)
不動産登記事務取扱手続準則第79条(家屋番号の定め方)
  家屋番号は、規則第112条に定めるところによるほか、次に掲げるところにより定めるものとする。

① 1筆の土地の上に1個の建物が存する場合には、敷地の地番と同一の番号をもって定める(敷地の地番が支号の付されたものである場合には、その支号の付された地番と同一の番号をもって定める。)。

② 1筆の土地の上に2個以上の建物が存する場合には、敷地の地番と同一の番号に、1、2、3の支号を付して例えば、地番が「5番」であるとき「5番の1」、「5番の2」等と地番が「6番1」であるとき「6番1の1」、「6番1の2」等の例により定める。

③ 2筆以上の土地にまたがって1個の建物が存する場合には、主たる建物(附属建物の存する場合)又は床面積の多い部分(附属建物の存しない場合)の存する敷地の地番と同一の番号をもって、主たる建物が2筆以上の土地にまたがる場合には、床面積の多い部分の存する敷地の地番と同一の番号をもって定める。なお、建物が管轄登記所を異にする土地にまたがって存する場合には、管轄指定を受けた登記所の管轄する土地の地番により定める。

④ 2筆以上の土地にまたがって2個以上の建物が存する場合には、第2号及び前号の方法によって定める。例えば、5番及び6番の土地にまたがる2個の建物が存し、いずれも床面積の多い部分の存する土地が5番であるときは、「5番の1」及び「5番の2」のように定める。

⑤ 建物が永久的な施設としてのさん橋の上に存する場合又は固定した浮船を利用したものである場合には、その建物に最も近い土地の地番と同一の番号をもって定める。

⑥ 一棟の建物の一部を1個の建物として登記する場合において、その一棟の建物が2筆以上の土地にまたがって存するときは、一棟の建物の床面積の多い部分の存する敷地の地番と同一の番号に支号を付して定める。

⑦ 家屋番号が敷地の地番と同一である建物の敷地上に存する他の建物を登記する場合には、敷地の地番に2、3の支号を付した番号をもって定める。この場合には、最初に登記された建物の家屋番号を必ずしも変更することを要しない。

⑧ 建物の分割又は区分の登記をする場合には、前各号に準じて定める。

⑨ 建物の合併の登記をする場合には、合併前の建物の家屋番号のうち上位のものをもって合併後の家屋番号とする。ただし、上位の家屋番号によることが相当でないと認められる場合には、他の番号を用いても差し支えない。

⑩ 敷地地番の変更又は更正による建物の不動産所在事項の変更の登記又は更正の登記をした場合には、前各号に準じて、家屋番号を変更する。

分筆や合筆しても「建物の家屋番号」は変わらない?

<事例1:土地を分筆した場合>
 

1筆の土地に境界を入れて2筆以上に(物理的に)分けることを「分筆」といいます。例えば

「地番50番」の土地上に「所在○○町50番地 家屋番号50番」のA建物が建っていた場合に、「地番50番」の土地を2筆に分筆すると「地番50番1」と「地番50番2」の2筆ができあがります(不登準則67Ⅰ④)。その結果、A建物の所在地は、正確には「所在50番地1」か「所在50番地2」になります。

この(土地)分筆登記を申請しても、A建物の「所在」は自動的に変わらないことを先ほど見てきました。

A建物の家屋番号は、正確には「50番1」か「50番2」でしょう(不登準則79Ⅰ①)。

それでは建物の「家屋番号」は変わるのでしょうか?

 

<事例2:土地を合筆した場合>

 

2筆以上の土地を合体させて1筆の土地にすることを「合筆」といいます。

「地番60番1」の土地上に「所在○○町60番地1 家屋番号60番1」のB建物が

「地番63番」の土地上に「所在○○町63番地 家屋番号63番」のC建物が

それぞれ建っていた場合において、「地番60番1」と「地番63番」の土地を合筆すると「地番60番1」の土地ができあがります(不登準則67Ⅰ⑥)。その結果、B建物の所在地は「60番地1」と正確なままですが、C建物の所在地は、正確には「60番地1」になります。

この(土地)合筆登記を申請しても、C建物の「所在」は自動的に変わらないことを先ほど見てきました。

C建物の家屋番号は、正確には「60番1」又は「60番の2」になる筈ですが、C建物の家屋番号は自動的に変わるのでしょうか?

 

 

仮に、次のような規定があれば「土地」の分筆・合筆登記を申請したときに「建物」の家屋番号も変わることになります。

  • 「土地を分筆・合筆する場合、その土地上にある建物の『家屋番号』の変更登記申請も必要である」旨の規定
  • 「土地を分筆・合筆した場合、登記官が職権で『家屋番号』を変更する」旨の規定

ところが、不動産登記のルールを定めた4つの法令等(すなわち、不登法、不登令、不登規則、不登準則)には、上記のような規定はありません。

すなわち、土地を分筆又は合筆しても、その上に建っている「建物の家屋番号」は変更されません。

所在と家屋番号が一致しない建物の発生原因


所在と家屋番号が、一致しない建物が発生する主な理由は次の通りです。

  1. 土地の分筆・合筆:土地の分筆・合筆があっても、建物の所在や家屋番号が自動的には変更されないことは、先ほど確認しました。
  2. 区画整理や換地処分:区画整理や換地処分によって土地の地番が新しくなった場合も、建物の所在や家屋番号が自動的に変更されることはありません。 
分筆によって所在と家屋番号が不一致になる例
分筆によって所在と家屋番号が不一致になる例

現在でも発生するのか?


残念ながら、現在でも発生します。

上記のとおり、土地の分筆や合筆をしても、建物の所在や家屋番号が自動的に変更される訳ではないからです。

不一致の発生原因を特定する方法


建物の「所在」と「家屋番号」との不一致が発生した原因は、次のような方法で特定することができます。

 

1.図面等で確認する方法

下記情報を取得し、比較することで原因が明らかになります。

  1. 建物図面(建物所在図)【1】
  2. 公図(位置関係と分筆合筆により土地がどうなったかをチェックする。)
  3. 土地・建物の閉鎖登記事項証明書(表題部の分筆、合筆経緯をチェックする。)
  4. 土地地積測量図(公図よりも細かくチェックする。)

【1】全ての建物に建物図面がある訳ではありません。

「建物図面」は、昭和35年4月1日施行の不動産登記法改正(現行不動産登記法14Ⅲ)により、同日以降に申請する建物表題に関する登記では添付が義務づけられました。実際には、経過措置の関係で概ね昭和40年以降の建物の場合には、建物図面があるようです。

 

2.現地の土地家屋調査士に調査を依頼する方法

「1.図面等で確認する方法」では判然としない場合の方法です。

土地建物の位置関係など、形(かたち)に関する専門家は、土地家屋調査士(国家資格)です。

土地家屋調査士に現地の確認をしてもらうことによって、確定できます。

是正する必要性と対処方法


建物が現存している場合には「所在地番変更」等の登記を申請することで是正されます。

ただし、建物所有者しか申請できません。

建物が現存していない場合には「建物滅失登記」を申請することで是正されます。

場合分けして考えてみましょう。

 

一致していない建物の所有者が貴方である場合

登記簿上では「貴方の所有する建物が、他人の土地に建っている」ように見える状態です。

 

建物が現存しているか否かによって対処方法が異なります。

  1. 建物が現存していない場合:建物所有者である貴方が「建物滅失登記」を申請します(土地家屋調査士に依頼することも可能です。)。建物登記が消えてしまえば、所在と家屋番号の不一致も消えてしまいます。
  2. 建物が現存している場合:建物所有者である貴方が「所在地番変更」等の登記申請を行えば、解決できます(土地家屋調査士に依頼することも可能です。)。

 

一致していない建物の所有者が第三者である場合

登記簿上では「第三者の所有する建物が、あなたの土地に建っている」ように見える状態です。

建物が現存しているか否かによって対処方法が異なります。

  1. 建物が現存していない場合:建物所有者が「建物滅失登記」を申請しない場合、土地所有者である貴方から登記官に対して「建物滅失登記を申出」することにより、職権で行って貰えることがあります(土地家屋調査士に依頼することも可能です。)。建物登記が消えてしまえば、所在と家屋番号の不一致も消えてしまいます。
  2. 建物が現存している場合:建物所有者が「所在地番変更」等の登記を申請しない場合において、貴方が土地を売却したいときには、問題が生じることがあります。土地の買主が、建物登記の存在を嫌がって購入してくれない可能性があるからです。

建物所有者は、変更登記を申請する義務はないのか?

建物の表題に記載された事項に変更があったときには、建物の所有者は、1か月以内に変更登記申請義務を負うと定められています(不登法51)し、変更登記義務を怠ったときには10万円以下の過料に処すと定められています(不登法164)。

ただし、必ずしも土地所有者と建物所有者は一致しません。土地所有者が分筆や合筆をしたために建物に「所在と家屋番号の不一致」が発生した場合に、建物所有者に対して「是正する(所在地番等の変更)登記を申請せよ」というのも酷かもしれません。

不動産登記法第51条(建物の表題部の変更の登記)
 
  1. 第44条第1項各号(第2号及び第6号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。
  2. 前項の登記事項について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。
  3. ~6.(略)
不動産登記法第164条(過料)
  第36条、第37条第1項若しくは第2項、第42条、第47条第1項(第49条第2項において準用する場合を含む。)、第49条第1項、第3項若しくは第4項、第51条第1項から第4項まで、第57条、第58条第6項若しくは第7項、第76条の2第1項若しくは第2項又は第76条の3第4項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

職権による変更登記を依頼できないものか?

「職権ではできない」とする法務局もある模様です。

不動産登記規則第96条 (職権による表示に関する登記の手続)
 
  1. 登記官は、職権で表示に関する登記をしようとするときは、職権表示登記等事件簿に登記の目的、立件の年月日及び立件番号並びに不動産所在事項を記録しなければならない。
  2. 登記官は、地図若しくは地図に準ずる図面を訂正しようとするとき(第16条の申出により訂正するときを含む。)又は土地所在図、地積測量図、建物図面若しくは各階平面図を訂正しようとするとき(第88条の申出により訂正するときを含む。)は、職権表示登記等事件簿に事件の種別、立件の年月日及び立件番号並びに不動産所在事項を記録しなければならない。

土地所有者は、建物所有者に対して、所有権に基づく妨害排除請求としての建物の所在地番変更等の登記を請求できないものか?

仮にできたとしても、判決による変更登記の単独申請が認められるかは別問題ですので、提訴前に、法務局との事前協議は必要不可欠です。

原則 不可

 

例外

  

実体を正確に表現していない表示登記の存在によって、自己の権利を侵害されている者は、表示登記請求権を行使できる。

登記官が職権ですることができないのか、判決を取得すれば不動産登記法63条(判決登記)を類推適用して登記してくれるのか、登記官と事前に調整することが必須です。

建物が現存している場合:土地所有者が土地を売却したい場合において、建物所有者が「所在地番変更」等の登記を申請してくれないときには、問題が生じることがあります。

土地を買いたい方が、建物登記の存在を嫌がって購入してくれない可能性があるからです。

是正する必要性と対処方法(まとめ)


  建物が現存しない場合 貴方自身で建物滅失登記を申請する【1】。
  建物が現存する場合 貴方自身で所在地番変更等の登記を申請する【1】。

  建物が現存しない場合

建物所有者である第三者に建物滅失登記を申請してもらう。【1】

 又は

貴方から法務局に対して「建物滅失」申出をする。【1】

  建物が現存する場合

以下の順に確認していきます。

  1. 建物所有者である第三者に所在地番変更等の登記を申請してもらう【1】。
  2. 職権による変更登記をしてもらえないか管轄法務局に相談する。職権登記が不可の場合には、判決を取得すれば判決登記に準じて登記してもらえるか確認する。【1】
  3. 判決を取得して変更登記を申請する。

【1】いずれの場合にも、土地家屋調査士にご依頼されることが可能です。