2024(令和6)年4月1日から不動産の所有者に相続が発生した場合、相続登記をすることが義務となりました。
しかしながら、色々な事情で相続登記をできないこともあります。そんな場合には、相続人申告登記を行っておくことで、相続登記義務を果たしたことになります。
なお、相続人申告登記は、正式な相続登記ではなく、相続資格があることを暫定的に登記しておくものです。
この記事では、相続人申告登記について解説しています。
もくじ | |
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下図は、架空の登記簿の「所有権に関する事項」を再現したものです(グレーとその下の部分)。
3つの相続人申告登記を記載し、その右側に説明を加えています。
権利部(甲区)(所有権に関する事項) | ||||
順位番号 | 登記の目的 |
受付年月日・ 受付番号 |
権利者その他の事項 | |
1
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所有権移転
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平成20年5月28日 第00000号
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原因 平成20年5月28日売買 所有者 市区町番号 甲 某 |
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付記1号
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相続人申告
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令和6年4月1日 第0000号
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原因 令和5年3月5日相続開始 甲某の申告相続人 市区町番号 乙 某 市区町番号 丙 某 令和6年4月1日付記 |
❶甲某の死亡に伴い、乙某と丙某が行なった相続人申告 |
付記2号
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相続人申告
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令和6年8月1日 第00000号
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原因 令和5年3月5日相続開始 甲某の申告相続人 市区町番号 丁 太 郎 令和6年8月1日付記 |
❷甲某の死亡に伴い、丁太郎が行なった相続人申告 |
付記2の付記1号
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相続人申告
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令和16年8月1日 第00000号
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原因 令和16年1月1日相続開始 丁某の申告相続人 市区町番号 丁 花 子 令和16年8月1日付記 |
❸申告人丁太郎の相続人である丁花子が行なった相続人申告 |
両制度を比較すると、下表のとおりです。
相続人申告登記 | 相続登記 | |
所有権の移転 | 発生していない。暫定的に登記する。 | 発生した結果を登記する。 |
他の相続人の同意 | 不要。単独で申請可能 | 全相続人の同意が必要 |
必要な戸籍 |
お亡くなりになった所有者の出生から死亡までの全ての戸籍・除籍・原戸籍の謄本 =とても多くなることもあります。 |
あなたがお亡くなりになった所有者の相続人であることを証明できる戸籍 =比較的少なくてすみます。 |
登録免許税 | 無料 | 固定資産税評価額の0.4% |
売却・担保設定 | 不可能(別途相続登記が必要) | 可能 |
相続登記義務 | 履行したことになる。 | 履行したことになる。 |
申出書の作成自体は、それほど難しくありません。
業務の種類 |
司法書士の報酬・手数料 |
実費 | |
相続人申告登記 |
22,000円(税込)【1】 |
登録免許税は非課税です。 登記情報取得費、郵送費がかかります。 |
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日当(上記業務のための移動などに要した時間が1時間を超えるごとに) |
11,000円(税込) |
【1】次の基準で、報酬をいただきます。