株券発行が必要な場合と、株券記載事項


もくじ
  1. 株券発行が必要な場合
  2. 株券の記載事項
  3. 株券不発行会社へ移行しましょう

株券発行が必要な場合


会社が株券を発行する必要があるのは、株券発行会社において、次の場合です。

  • 株主から請求された場合
  • 株主が株式譲渡をするとき
  • 株主が質権登録するとき
  • 株主が信託財産として登録するとき

株券発行会社とは、実際に株券を発行しているか否かではなく、登記簿に「株券を発行する」と登記されている会社のことです。

株券の記載事項


次のとおり、必要的記載事項と、私が推奨する記載事項があります。

  • 項目の後ろに会社法の条文が入っている項目:必ず記載すべきと法律が定めている事項です。
  • 条文番号が入っていない項目は:私が記載を推奨する事項です。

なお「額面株式1株の金額」は・・・・

株券の番号(会社法216柱書)

株券を特定するために必要な記載事項です。

株券の番号は自由に決めることができますが管理上記号と番号の組み合わせで構成する。

 

代表取締役の署名または記名押印(会社法216柱書)

指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役

署名(自署)または記名(ゴム印等)印鑑は通常は会社実印が多いが、別の専用印でも有効です。

 

会社の商号(会社法216①)

登記された文字そのままに商号を正確に記載します。

 

株式の数(会社法216②)

定款には、発行する株券の種類が例えば、次のように記載されています。

定款第○条(株券の種類)
 

当社の株券はすべて記名式とし、1株券、10株券、50株券、100株券、500株券の5種類とする。

会社は定款で発行すると定められた株数が記載された株券しか発行できません。

例えば、ある株主に600株分の株券を交付しようとすれば、100株券1枚、500株券1枚を交付します。

また、実際の株券の券面には、偽造や変造を防止するため多角数字を利用します。

1株券→壱株券

10株券→壱拾株券

50株券→五拾株券

100株券→壱百株券

500株券→五百株券 

 

株式の譲渡制限(会社法216③)

株式の譲渡制限の内容を登記された文言のまま記載します。

 

(種類株式発行会社の場合)株式の種類及びその内容(会社法216④)

株式の種類も、その内容も登記された内容をそのまま記載します。

 

株券の発行年月日

法定記載事項とはされていませんが、「株券の発行年月日」も必ず記載すべき事項です。

会社が発行した書類が、後日、発行年月日が不明というのはあり得ません。

また「印紙税課税の基準となる---全国株懇連合会理事会(平成18年4月14日)」ということです。

西暦、元号のどちらでも可能ですが、元号のほうが一般的です。

 

株主の氏名

法的記載事項とはされていませんが、「株主の氏名」も必ず記載すべき事項です。

善意取得との絡みで説明追記する。

 

株券に表示する株主氏名は、当用漢字の簡易字体の一般化にともない、

これを使用する。変体仮名については、ひらがなを用いる。

法人株主の名称には代表者の氏名を記載しないで法人名だけとする。

株主名簿に登録されているか、事務処理上意義がある。---全国株懇連合会理事会(平成18年4月14日)

 

記名式株式と無記名式株式

 

会社の成立年月日

登記簿に記載された会社の設立登記の日を記載します。

会社の商号とともに発行会社の同一性を認識するため。

 

会社を特定する上で有用な記載事項---全国株懇連合会理事会(平成18年4月14日) 

× 株式1株の金額

株券に金額の記載があるものを「額面株式」、ないものを「無額面株式」といいます。

「額面株式」には、発行時の価格が記載されていました。

かつて、株式会社は、いずれかを発行できました。

商法改正により平成13年以降、株式会社は「無額面株式」のみを発行できることとなりました。

なお、古く発行された株券に金額が入っていたとしても、無意味な記載というだけで、無効な株券ではありません。