組織再編(組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付)の効力発生日と根拠条文【一覧】


異なる種類の組織再編が、複数件、同時進行していると、突然「効力発生日が気になる」ことは、ありませんか?私はあります。

そこで、司法書士しか見ないであろう『組織再編の効力発生日と根拠条文の一覧』を公開します。


〔凡例〕この記事では、次の法令が出てきます。法令名が長いときは、次のとおり略記します。

  • 会746Ⅰ⑨:会社法(平成十七年法律第八十六号)746条1項9号
  • 整備法:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第八十七号)

組織再編の効力発生日とその根拠条文【一覧】


上段に効力発生日を、下段に括弧書きで根拠条文を、表記しました。

      効力発生日/根拠条文
組織変更

株式会社から持分会社への「組織変更」

組織変更計画で定める効力発生日

(会745Ⅰ、会744Ⅰ⑨)

持分会社から株式会社への「組織変更」

組織変更計画で定める効力発生日

(会747Ⅰ、会746Ⅰ⑨)

持分会社から別種持分会社への定款変更による「種類変更」

定款変更の日

(会638)【1】

有限会社から株式会社への「商号変更」

登記の日

(整備法45Ⅱ)

合併 吸収合併 株式会社が存続する吸収合併

吸収合併契約で定める効力発生日

(会750Ⅰ、会749Ⅰ⑥)

持分会社が存続する吸収合併

吸収合併契約で定める効力発生日

(会752Ⅰ、会751Ⅰ⑦) 
新設合併 株式会社を設立する新設合併

成立の日=設立登記の日

(会754Ⅰ) 
持分会社を設立する新設合併

成立の日=設立登記の日

(会756Ⅰ)

 

会社分割 吸収分割 株式会社に権利義務承継させる吸収分割

吸収分割契約で定める効力発生日

(会759Ⅰ、会758⑦)

持分会社に権利義務承継させる吸収分割

吸収分割契約で定める効力発生日

(会761Ⅰ、会760⑥) 
新設分割 株式会社を設立する新設分割 成立の日=設立登記の日

(会764Ⅰ)

持分会社を設立する新設分割

成立の日=設立登記の日

(会766Ⅰ) 
株式交換 株式会社に発行済株式を取得させる株式交換 株式交換契約で定める効力発生日

(会769Ⅰ、会768Ⅰ⑥)

合同会社に発行済株式を取得させる株式交換

株式交換契約で定める効力発生日

(会771Ⅰ、会770Ⅰ⑤) 
株式移転  

成立の日=設立登記の日

(会774Ⅰ)

株式交付  

株式交付計画で定める効力発生日

(会774の11Ⅰ、会774の3Ⅰ⑪)

【1】「会社法の下では、持分会社の種類の変更は、社員の入退社または社員の責任を変更する定款変更により生ずるものとして整理されており、社員の責任状況に会社の種類を合わせるという制度にすぎないものであると解説される(相澤哲編著『立案担当者による新・会社法の解説(別冊商事法務295号)』商事法務/2006/166頁)」

合資会社には、下記「会社の種類のみなし変更」制度がありますので、注意が必要です。

 

会社法第639条(合資会社の社員の退社による定款のみなし変更
 
  1. 合資会社の有限責任社員が退社したことにより当該合資会社の社員が無限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社は、合名会社となる定款の変更をしたものとみなす。
  2. 合資会社の無限責任社員が退社したことにより当該合資会社の社員が有限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社は、合同会社となる定款の変更をしたものとみなす。