遺言執行では、悩むことも多いです。特に「動産」が対象となるときには、まとめて書かれている書籍も少なく苦慮します。
この記事では、遺言執行のうち「動産」がその対象となるときの➊遺言執行の注意点と➋遺言執行の流れについて、解説しています。
もくじ | |
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〔凡例〕この記事では、次の法令が出てきます。法令名が長いときは、次のとおり略記します。
細かく分類すると、次のような流れになります。
事前準備 |
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当日 |
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後日 |
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以下、一つずつ細かく見ていきましょう。
遺言書をしっかりと確認し、下記内容をチェックします。
【1】「動産」とは、不動産以外の有体物のことをいいます(民85、民86)。貴金属、宝飾品、骨董品、書画、刀剣、家財道具、什器備品、ペット(動物)、自動車、船舶なども全て動産です。
【2】不動産の他の財産について「身のまはりの品」「現金」「動産」の語が使用され、金融資産を有しているにもかかわらず「債券」「有価証券」「預金」などの語が使用されていない遺言書の解釈が争われた事例で、「動産」は、不動産以外の有体物のみならず、金融機関に預け入れた有価証券等や預貯金も示すと解釈された裁判例(東京地判平成24年1月20日(平20(ワ)32286号))もありますので、遺言は後日、疑義が生じないよう、じっくりと確認する必要があります。
遺言執行者の就任通知(民1007)とともに、包括的に処分禁止や引渡しを求めることが通常です。
遺言執行者の就任時点で判明している銀行には、預金払戻し禁止とともに、貸金庫の開扉禁止も通知します。銀行へは、通常は内容証明郵便で通知します。
動産に関する情報が記載された書類がある場合には、まず書類を確認します。
記載されている可能性がある書類には、次のようなものがあります。
協力的な相続人から以下のような情報を事前に聴取します。
単なる白紙を持参しても、聴取漏れなどが発生します。そこで、現地では記入だけすれば良いように白紙の「(建物)見取図」や「相続財産目録」をあらかじめ作成して、準備しておきます。
遺言執行者から相続人全員に対して、現地立会の日程調整を依頼する文書を送ります。
遺言執行者の都合の良い日を複数挙げて、都合の良い日時に○印をつけてもらうようにすると良いでしょう。
<相続人の立会か、公証人による作成か>
遺言執行者は、相続人の請求があるときは、相続人の立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければなりません(民1011)。
二つの方法、すなわち①相続人の立会のもと遺言執行者が相続財産目録を作成する方法、または②公証人が相続財産目録を作成する方法の選択権が、相続人又は遺言執行者いずれにあるかについては、「相続人が立会を求めた場合には,必ず相続人立会のもとに財産目録を調製しなければならず,また,相続人が公証人による調製を請求した場合には,公証人をして調製させなければならない(本条2項)。公証人が財産目録を調製する場合には,相続人を立ち会わせ(明32・7・10民刑局長回答〔法曹記事93号40〕)(ただし,その署名・押印を要しない),目録の1通を公証人役場に保存し,他の1通を遺言執行者に交付する取扱いになっている。目録には、立ち会った相続人、遺言執行者の署名押印は必要ありません(明32・3・2民刑局長回答〔法曹記事89号67〕)。(『新版 注釈民法(28) 相続(3) 補訂版』329頁)」。
次のようなものを準備します。
遺言者の遺品である「鞄の中身」も確認する必要があります。
協力的ではない相続人に対しても、質問し聴取する必要があります。
トラブルになりそうなときは、公証人に「事実実験公正証書」の作成を依頼することも検討します。
被相続人の最後の住所地が、相続人の住所地でもある場合には、被相続人の所有する動産が相続人の住居内に存在している可能性が高いです。しかしながら、遺言執行者といえども、当該相続人の承諾なく住居内に入ることはできません。
遺言執行者は、そのために相当かつ適切と認める行為をすることができます(最判昭和44年6月26日民集23巻7号1175頁)ので、遺言の執行において紛争が生じた場合には、裁判上、裁判外を問わず、必要な行為をすることができます。なお、これらの行為を行うために、裁判所の許可は不要と解されています(『遺言執行の手引』134頁など)。
<動産の特定について>
遺産の中に、同種の動産が複数ある場合には、個々の動産をしっかり特定する必要があります。個別の動産について、遺産分割協議を行い、承継するためには、動産が特定されている必要があるからです(民400.401参照)。
「不特定物の場合は、特定して初めて特定物として引渡の対象となるから、遺言執行者は特定をする作業を要する。 そのうえでの受益相続人に対する引渡となる。 この特定作業では、例えば、金の延棒で品質や重量が異なるような場合は、その品物を鑑定評価して、その価値を把握し、後日、紛争にならないように工夫するところが出てくるものと思われる。 不特定物を特定した場合は、そのことを相続人全員に対して通知をしておくべきである。 不特定物の場合は、上記のように不特定物の中から受益相続人のために特定をし、その引渡をすることが遺言執行者としての行うべき任務となる(後掲『遺言執行の手引〔第2版〕』72頁)。」
「特定の方法としては、①1個1個の動産をその形状等により個別に特定する方法と、②複数の動産類を包括して保管場所により特定する方法があります。個性が乏しい多数の動産を特定する場合は、②の方法によることを検討すべきです。(例えば「母屋桐箪笥内の着物類」等)ただし。保管場所内で対象物が変動しないように留意する必要があります。(山本真太朗/ブログ『遺産分割で動産の管理をするにあたってどのような点に注意すべきでしょうか。』2021.12.03)」
「『遺贈の目的物として宝石2点と記載されているが、宝石は全部で5点あった』というケースで5点の宝石は種類・大きさがバラバラである・・・場合、5点のうちどれを目的物すればよいのだろうか。この場合は、遺言者がこのような遺言書を作成した動機、遺言者と宝石との関係(入手経過など)、遺言者と受遺者の関係等を関係者に聴取し、また、宝石そのものに関する情報(誕生石など)も加味して、遺言者の真意を推定し、目的物を特定することになる。どうやっても特定できない場合は、不特定物の処理に準じて中等の品質を有する物(民401Ⅰ)を給付することが許されるべきであろう。『改訂 実務解説 遺言執行』139頁」
「その後、受遺者に対して、動画を引き取るよう通知することになります。なお、この際に、今後のトラブルを避ける等の意味で、特定の経緯等を併せて通知することも有用でしょう『新版 遺言執行の法律と実務』172頁」
遺言書には記載があるものの、所在不明な動産がある場合「現実の執行においては、目的とされた動産の所在が不明な場合も少なくありませんが、善良な管理者の注意義務をもって調査した結果なお所在が不明であればその責任を免れると解されます。(後掲『遺言執行実務マニュアル』141頁)」
個々の動産の種類、数量、形状、性質等に応じた適切な保管場所を選択し、必要に応じて搬出保管します。搬出、保管等の費用は、相続財産の負担とされています(民1021)ので、相続人がその固有財産から支払う必要はありませんが、後日揉めないために、相続人に通知をしておくのが無難です。
「大変なのは引渡までの間の動産の管理である。 管理を要するものは、遺言執行者に善管注意義務があるので、管理の期間中はその保管方法等の管理について細心の注意を払う必要がある。 絵画や骨董品等については、場合によっては専門の業者に保管を委託し、金の延棒等については銀行の貸金庫での保管などを考える必要があると思われる(後掲『遺言執行の手引〔第2版〕』72頁)。」
以上、いずれも後掲、『改訂 実務解説 遺言執行』94頁以下138頁以下、ブログ『遺産分割で動産の管理をするにあたってどのような点に注意すべきでしょうか。』、『遺産相続事件処理マニュアル』201頁、『遺産相続事件処理マニュアル』142頁、
不特定物(種類物(民401))が特定遺贈の目的とされた場合、遺言執行者は、相続財産の中から特定し、又は他から調達して受遺者に引き渡します。金銭が遺贈の目的とされた場合、古銭のように貨幣の個性に着目しているような例外的な場合を除き、相続財産の中から受遺者に引き渡します。もし相続財産中の現金が遺言に記載された額に不足する場合、他の財産を処分して調達する必要があるかどうかは、遺言の解釈によります。受遺者への引渡しまでの間金銭を管理する場合には、遺言執行者固有の財産との混同を避けるため、遺言執行のため新たに保管金管理口座を作成し、そこに保管することが適切です。
共同相続人の一人が被相続人の動産を自宅に保管している状況で、遺言でその動産を別の相続人に遺贈している場合、売却処分が指示されている場合は、適切な執行のために搬出が必要です。
また、現地保管では後日トラブルが生じそうな場合や、高額な動産の場合にも、搬出し、然るべき保管措置を講じます。
「相続財産目録は、相続財産の状態を具体的に明らかにすればよく、遺言執行者には特に個々の財産の価額を調査するまでの義務はありません(この点、相続人らからの請求がある場合には、委任に基づく報告義務として(民1012Ⅲ・645)個々の相続財産の評価額を調査・報告する必要が出てきますが、これは、ここでいう相続財産目録調製の義務の問題ではありません。)。(後掲『遺言書作成・遺言執行実務マニュアル』915頁)」
「財産目録の内容は法定されていないが,遺言執行者の管理に付される相続財産の状態を具体的に明らかにすればよく,特に個々の財産の価額を調査する義務はない(もっとも,相続人の要求がある場合には,報告義務にもとづいて〔1012II・645〕,個々の相続財産の価額を調査する必要があるが,それは本条の財産目録調製義務にもとづくことではない)。また,家財道具などは一括して合計価額の概数をもって表示してもよく(大判昭6・12・14法学1上518は,限定承認のさいの財産目録について「相続動産ヲ表示スルニ評価格金79円也トノミ記載シ其ノ種類品目ノ記載ナキ〔モ〕......其ノ評価額ヨリシテ之ガ範囲ヲ想度シ得」るとしているが,この理はここでも生かされてよい),少額の有価証券なども一括記載して差し支えない。かくして遺言執行者による財産目録は,限定承認に必要とされる財産目録とその内容を異にする(限定承認のための財産目録は,相続債権者の利益を守る趣旨のものであるから,原則として,相続財産を個別的に,しかもその価額を表示して作製しなければならない)。財産目録に記載されることによって裁判上相続財産と推定されることはもちろんないし,遺脱に対する格別の制裁もない。『新版注釈民法(28)』328頁)」
財産的価値のあるものと財産価値のないものを選別するために、財産の種類に応じて、貴金属買取業者、着物買取業者、家具・家電リサイクル業者、書画骨とう業者、画商、古美術商等に、評価額の査定を依頼します。対象となる動産にもよりますが、複数の業者に評価してもらうことが望ましいと考えられます。査定の結果、値段がつかず財産的価値がないことが判明した動産で、かつ遺言または遺贈の対象となっていないものについては、遺産分割、遺言執行の対象とせず、廃棄処分または形見分け行なうことを検討することになります。
(山本 真太朗/ブログ『遺産分割で動産の管理をするにあたってどのような点に注意すべきでしょうか。』2021.12.03)
遺留分が認められていない相続人に対しても、遅滞なく被相続人に関する相続財産の目録を作成してこれを交付する必要があります(民1011)。
「できる限り速やかに作成します。形式は自由であり、相続財産の内容を特定し、現在の状態が把握できるような内容であれば足ります。具体的な評価額まで記載する必要はありません。(後掲『遺言書作成・遺言執行実務マニュアル』915頁)」
遺言書に「個々の動産を特定し、一つ一つについて、誰に承継させるか」まで記載されている場合は、ほとんどありません【1】。
遺言書に「動産は相続人○○と相続人□□に相続させる。取得させる割合は2分の1ずつとし、具体的な分割方法については、相続人○○と相続人□□が話し合いのうえ決めること」と記載されている場合には、遺言執行者は、相続人間で遺産分割協議を行うよう促します。
【1】遺言書に「個々の動産が具体的に特定され、個々の動産一つ一つについて、誰に承継させるか」まで記載されている場合、遺言執行者は、特定された動産を、承継するとされた相続人に引渡しをすれば完了です。
遺言執行者がある場合、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができず(民法1013Ⅰ)、違反してした行為は、無効となりますが、善意【1】の第三者には対抗することができません(民法1013Ⅱ)。
この結果、相続人から財産を譲り受けた第三者が「善意」である場合、受遺者と善意の第三者との関係は、二重譲渡のような対抗関係となります。そして、先に動産の引渡し(対抗要件)を受けた方が、その権利取得を主張できることになります(民法899条の2)。
【1】「善意」とは、遺言執行者がおり、その財産の管理処分権が遺言執行者にあることを知らないことを意味し、無過失を要しないとされています。
民法が改正され、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗できないこととなりました(民899の2Ⅰ)ので、遺言執行者は、動産を承継した相続人に、対抗要件を備えさせます(民1014Ⅱ)。
<対抗要件を具備する方法>
動産の種類によって異なり、登記、登録がある場合には登記、登録を行います。
現実の引渡し (民182Ⅰ) |
物理的に目的物の占有を移転する方法。譲渡人が譲受人に現物を手渡す場合など。 |
簡易の引渡し (民182Ⅱ) |
譲受人が既に占有している場合、譲渡人の意思表示のみで占有移転とする方法。 |
占有改定 (民183) |
譲渡人が目的物を引き続き占有するが、譲受人のために占有する旨の意思表示をする方法。 |
指図による占有移転 (民184) |
第三者が目的物を占有している場合に、譲渡人の第三者への指図と、譲受人の承諾で成立する方法。 |
遺言で動産の売却処分が指示されている場合には、適正な価格で売却します。
遺言執行者は、遺言執行完了後、遅滞なく、相続人全員に対して、遺言執行の経過及び結果を報告します(民1012→民645)。
委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない(民1018Ⅱ→民648Ⅱ)。
「遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とされています(民1021本文)。遺言の執行に関する費用には、遺言執行者の報酬も含まれますので、報酬は、相続財産から支払われることになります。遺言執行者が相続財産を管理している場合は、普通は、遺言執行者は、報酬等の遺言執行費用を控除してその残額を相続人に引き渡すことになります。(後掲『遺言書作成・遺言執行実務マニュアル』953頁)」
貸金庫があることが判明した場合には、次のような手続きを進めます。
(貸金庫の開扉は、特殊です。)
遺言執行者は、その就任直後に、金融機関に対して、内容証明郵便で①遺言執行者就任通知とともに②相続人による預金解約や貸金庫開扉を禁止する通知を送ります。
貸金庫が存在していることが明らかであるときには、開扉を急いで行います。別の遺言執行者を指名している遺言書が、貸金庫内に保管されている可能性もあるからです。
相続人から立会を要求されることがありますが、貸金庫室には、物理的に相続人全員が入れないときもあります。
また、銀行によっては、遺言執行者以外の立会を認めない場合もあるようです。
銀行に事前相談する必要があります。
次のような場合には、公証人に「事実実験公正証書」の作成を依頼するのが無難です。
民法第648条(受任者の報酬)
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項の規定を準用する。
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。
民法第899条の2(共同相続における権利の承継の対抗要件)
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。
民法第909条(遺産の分割の効力)
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
民法第1007条(遺言執行者の任務の開始)
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
民法第1011条(相続財産の目録の作成)
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
民法第1012条(遺言執行者の権利義務)
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第644条〔善管注意義務〕、第645条〔報告義務、第646条〔受取物の引渡義務〕〕から第647条〔金銭消費の責任〕まで及び第650条〔受任者による費用等の償還請求等〕の規定は、遺言執行者について準用する。
民法第1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止)
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。
民法第1014条(特定財産に関する遺言の執行)
前三条〔1011=相続財産の目録の作成、1012=遺言執行者の権利義務、1013=遺言の執行の妨害行為の禁止〕の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
民法第1015条(遺言執行者の行為の効果)
遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
民法第1016条(遺言執行者の復任権)
遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
民法第1018条(遺言執行者の報酬)
家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
2 第648条第2項及び第3項並びに第648条の2の規定は、遺言執行者が報酬を受けるべき場合について準用する。
民法第1020条(委任の規定の準用)
第654条〔委任の終了後の処分〕及び第655条〔委任の終了の対抗要件〕の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。