お世話になっている弁護士さんが、独立を契機として弁護士法人を設立され、当事務所が設立手続きを担当させていただきました。他の士業法人同様、徹底的に弁護士法人を分析しました。
皆様のお役にも立てば幸いです。
ご自身でなさっても勉強になりますが、相当考えないといけない項目もありますので、ご多用であれば、是非当グループにご用命ください。
| もくじ | |
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〔凡例〕この記事では次の通り略記します。
日弁連から「弁護士法人の社員となる資格証明書(弁護士であることの証明書)」を取得してください。
申込みからお手元に届くまで時間がかかることもありますので、お早めに申込みをお願いします。
個人の印鑑証明書の住所氏名と、資格証明書のそれは一致している必要があります。会に住所等の変更を届け出ていないときには、変更が終わってから取得ください。
また、弁護士会発行の印鑑証明書は不要です。市区町村長発行の印鑑証明書を2通ご用意ください。
名称に利用できる文字は、会社と同様です(平成14年7月31日民商第1839号民事局長通達、平成14年7月31日民商第1841号民事局商事課長依命通知)。
コラム「流行る(はやる)商号・屋号の付け方」もご参照ください。
通常の調査に加えて、弁護士会における調査も行なう必要があります。
複数の社員に代表権がある場合でも作成する法人印は一つで結構です。ただし、複数の社員が一つの法人印を共用することはできません。代表権のある社員がそれぞれ法人印を使うという場合には、それぞれ別の法人印を法務局に届け出る必要があります。
簡単なテンプレートをご提供しますので、自社で作成することも可能です。
弁護士会がひな形を出しています(手引26頁以下)が、そのひな形が先生の希望を叶えるものか検討が必要です。
「弁護士法人の定款」の項目で詳しく説明します。
公証人による定款認証が必要です(弁30-8Ⅱ→会30Ⅰ)。
定款を紙で作成しても、弁護士法人の定款は、印紙税法で規定する会社の定款には該当しないことから、課税の対象とはなりません。国税庁『課税される定款の範囲』最終アクセス260118
社員全員の印鑑証明書1通が必要です。
定款謄本は最低2通(法人備置用、登記用)依頼します。※
※会への提出する「弁護士法人成立届出書」に添付する定款は写しで良いとされています(弁30-10、手引56頁)。
「定款への社員である旨の記載」と「出資の履行」により社員となります。出資額は登記事項ではなく、出資履行を証明する書面も登記の添付書類ではありませんが、設立登記前に出資の履行を完了ください。
各自代表が原則ですが、定款で「個人を指定」又は「互選する」旨を定めたときは、代表社員を選定できます。互選すると定めたときは互選を行います。
CF.合名会社も互選(会599)
定款では〇〇市までの定めで良いので、具体的所在場所をここで決定します。
定款で具体的所在場所まで定めることは、近所への引越しであっても定款変更手続きを要するためオススメしません。
議決権は、一人一票であり「出資比率に応じて」等とはできません。
CF.合名会社では業務執行社員の過半数の一致
設立に必要な手続が終了した日から二週間以内に登記申請が必要です(登記令2Ⅰ)
登記することで弁護士法人が成立します(弁30-9)。
成立の時に、主たる事務所の地域の弁護士会の会員になり(弁36-2Ⅰ、入会金・会費の発生)、成立から2週間以内に、所属弁護士会と日弁連に成立の届を提出します(弁30-10)。
弁護士会がひな形を出しています(手引26頁以下)が、そのひな形が先生方の希望を叶えるものか検討が必要です。
定款記載事項と、登記事項の関係は次のとおりです。
「定款記載事項」欄の◎○△は、それぞれ次の意味です。
◎=絶対的記載事項=記載もれでは法人が成立しない事項
○=相対的記載事項=記載しないと効力が生じない事項
△=任意的記載事項=強行規定・公序良俗に反しない限り任意に定められる事項
登記事項は、組合等登記令2条Ⅱ別表によります。
| 定款記載事項 | 登記事項 | ||
| 目的【1】 | |||
| 訴訟事件、非訟事件及び行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うこと弁護士業務(弁3Ⅰ) | ◎ | ◎ | |
| 弁理士の事務を行うこと(弁3Ⅱ) | ○ | 〇 | |
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税理士の事務を行うこと(弁3Ⅱ) |
〇 | 〇 | |
| 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務(弁30-5→業務会計規則1①) | 〇 | 〇 | |
| 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務(弁30-5→業務会計規則1②) | 〇 | 〇 | |
| 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、他人の業務及び財務の状況、変態設立事項、資産の価格その他の法律事務に関連する事項について、調査してその結果を報告し、又は証明する業務(弁30-5→業務会計規則1③) | ○ | ○ | |
| 弁護士又は弁護士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務(弁30-5→業務会計規則1④) | ○ | ○ | |
| 法律事務に附帯し、又は密接に関連する業務(弁30-5→業務会計規則1⑤) | ○ | ○ | |
| 名称【2】 | ◎ | ◎ | |
| 法律事務所の所在地【3】 | ◎ | ◎ | |
| 所属弁護士会【3-2】 | ◎ | × | |
| 社員の氏名、住所及び所属弁護士会【4】 | ◎ | ◎【4-2】 | |
| 社員の出資に関する事項【5】 | ◎ | × | |
| 業務の執行に関する事項【6】 | ◎ | × | |
| 代表社員の氏名(弁30-13)【7】 | 〇 | 〇 | |
| 弁護士法人に関する次の項目 | |||
| 定款変更の定め(弁30-11Ⅰ) | 〇 | × | |
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計算書類の閲覧等の制限に関する定め (弁30-30Ⅰ→会社法618Ⅱ) |
〇 | × | |
| 利益の配当を請求する方法その他の利益配当に関する事項に関する定め(弁30-30Ⅰ→会社法621Ⅱ) | 〇 | × | |
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損益分配の割合に関する定め(弁30-30Ⅰ→会社法622)【8】 |
〇 | × | |
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社員総会の定め(手引5頁) |
○ | × | |
| 弁護士法人の社員について | |||
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持分の(全部又は一部の)譲渡に関する定め (弁30-30Ⅰ→会社法585ⅠⅣ) |
〇 | × | |
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職務終了後の経過報告 (弁30-30Ⅰ→会社法593ⅢⅤ) |
〇 | × | |
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受取物の引渡し等 (弁30-30Ⅰ→会社法593ⅣⅤ、民647) |
〇 | × | |
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報酬請求権 (弁30-30Ⅰ→会社法593ⅣⅤ、民647) |
〇 | × | |
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費用の前払い (弁30-30Ⅰ→会社法593ⅣⅤ、民649) |
〇 | × | |
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費用等償還請求等 (弁30-30Ⅰ→会社法593ⅣⅤ、民650) |
〇 | × | |
| 競業禁止に関する定め(弁30-19Ⅱ) | ○ | × | |
| 利益相反行為に関する定め(弁30-30Ⅰ→会社法595Ⅰ) | 〇 | × | |
| 社員の脱退の事由(弁30-22①) | 〇 | × | |
| 弁護士法人の解散・清算 | |||
| 解散の事由(弁30-23①) | 〇 | 〇 | |
| 清算人の指定(弁30-30Ⅱ→会社法647Ⅰ②) | 〇 | × | |
| 清算人の解任方法(弁30-30Ⅱ→会社法648Ⅱ) | 〇 | × | |
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清算人が複数の場合の業務執行に関する定め (弁30-30Ⅱ→会社法650Ⅱ) |
〇 | × | |
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代表清算人に関する定め (弁30-30Ⅱ→会社法655Ⅲ) |
〇 | × | |
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残余財産の分配の割合に関する定め (弁30-30Ⅱ→会666)【10】 |
〇 | × | |
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財産の処分方法に関する定め (弁30-30Ⅱ→会社法668Ⅰ) |
〇 | × | |
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帳簿資料を保存する者に関する定め (弁30-30Ⅱ→会社法672Ⅱ) |
〇 | × | |
| 準備金に関する事項 | △ | × | |
| 公告方法 | △ | × | |
| 合併の公告の方法についての定め(弁30-28Ⅵ→会社939)【11】 | △ | △ | |
| 電子公告を合併の公告の方法とする旨の定め【11】 | △ | △ | |
| 事業年度【12】 | △ | × | |
【1】「弁護士法3条の業務」は、不適切(手引4頁)。弁護士法等所定の弁護士業務であっても定款に定めることが必要(弁30-5、手引3頁)。
【2】弁護士法人の名称には「弁護士法人」という文字を使用しなければならない(弁30-3)。弁護士法人がその名称に「法律事務所」という文言を使うかは任意(手引2頁←整合性?→弁30-21で準用する弁20Ⅰ)。
商号の文字数に制限はありません。cf.税理士法人
【3】定款で定めるのは最小行政区画までで良い。登記は番地まで記載する必要がある。
【3-2】弁護士法人は、同一の地域にある複数の弁護士会に所属することはできない。例えば、主たる法律事務所が東京都千代田区、従たる事務所が東京都新宿区の場合、主たる法律事務所を東京弁護士会とし、従たる法律事務所を第二東京弁護士会とする選択は認められない(弁36-2⑤、手引4頁)
【4】ここでの所属弁護士会とは、自然人である社員弁護士が所属している弁護士会を指す(手引4頁)
【4-2】社員(代表社員を除きます。)の氏名・住所。代表社員を定めない場合(=全社員に代表権がある場合)には、全社員の氏名・住所・資格。また、旧姓を登記(併記)することができる(登記規則5→商登規則81-2Ⅰ)。
所属弁護士会は登記事項ではない。
【5】出資の種類は、金銭に限らず、労務、信用でも良いが、その価格又は評価基準を記載する必要がある。各社員が無限責任を負う弁理士法人において出資を定款記載事項としたのは、社員の持分の払戻し、利益の配当、法人解散の場合の残余財産の分配または法人の債権者に対する各社員の負担割合(全社員が直接無限責任を負うので、内部における求償関係)を定める必要があるためです。
【6】弁護士法人の社員は、全て業務を執行する権利を有し、義務を負いますが、定款で定めることにより業務執行権限のない社員をおくこともできます(弁30-12)CF.弁理士法46
また、社員は各自代表権を有するのが原則ですが、定款で業務執行社員中から代表権を有する社員を定めることもできます(弁30-13)。
【7】代表権を有する社員(代表社員を定めた場合は当該者、代表社員を定めない場合は全社員)の氏名・住所・資格。全員が代表権を有する場合には、全員を「社員」という資格で登記します(組合等登記令2Ⅱ⑥・別表かっこ書き)
また、代表社員は、当然に社員でもありますが「社員」としては登記する必要がないのが、他の法人と異なり特殊なところです。
| 登記記載 | |
| 社員が一人であるとき |
住所、社員A |
| 全員が代表権を有する社員の場合 |
住所、社員A 住所、社員B |
| 社員Bのみが代表権を有する場合 |
住所、社員A
住所、代表社員B |
【8】定款に当該定めがない場合は出資割合による(弁30-30Ⅰ→会622)
【10】定款に当該定めがない場合は出資割合による(弁30-30Ⅱ→会666)
【11】合併の際に、官報公告と併用することで、個別催告を省略することができます。よって官報以外の方法を定める必要があります(登記令17別表)。
【12】他の法人同様に、事業年度を半年ごと(年2期)とすることも可能と思われる。
法令に「定款に別段の定めがある場合は」とあるときは、定款で法令とは別段の定めが可能です。
定款によって議決要件を変更することの可否は次のとおりです。
| 項目 | 何も定めないとき | 緩和・加重の可否 |
| 社員の業務執行権限の制限 | 全員業務執行権を有する(弁30-12) | 可能(弁30-12) |
| 代表社員 |
社員の各自代表 (弁30-13Ⅰ) |
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| 新しい社員の加入 | 総社員の同意 |
緩和可能 (社員は定款記載事項→弁30-11) |
| 定款変更 | 総社員の同意(弁30-11) | 緩和可能 |
| 社員の競業禁止 | 他の社員全員承認(弁30-19Ⅱ) | 緩和・加重は不可 |
| 社員と法人の利益相反取引 | 取引について当該社員以外の社員の過半数の承認(弁30-30Ⅰ→会595) |
緩和・加重が可能 (弁30-30Ⅰ→会595) |
| 社員の除名 | 対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって |
緩和・加重は不可 (弁30-30Ⅰ→会859) |
| 脱退社員の持分払戻請求権 | 退社した社員は、その出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができる。 |
除名社員でも、排除は不可 (弁30-30Ⅰ→会611Ⅰ) |
| 社員の業務執行権・代表権の消滅請求 |
対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって |
緩和・加重は不可 (弁30-30Ⅰ→会860) |
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社員の脱退 |
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定款に別の理由を追加して定めることが可能
「後見開始又は保佐開始の審判を受けたこと」を不適法とする公証人がいます。 |
| 弁護士法人の解散 |
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定款に別の理由を追加して定めることが可能 |
| 他の弁護士法人との合併 |
総社員の同意 |
条文上緩和不可(弁30-27)のように読めるが、公証人によると「日本公証人連合会の資料によれば、日弁連は、会社法793条第1項と同様、定款において別段の定めをすることが許される(内部関係に関する事項にすぎないことが理由)として、要件を緩和した記載例を示しているとのことです。確かに、除名者の場合と異なり、誰かの権利を侵害するということはなさそうですので、実務上、この見解は尊重されているようです。」とのこと。 |
2001年11月30日日本弁護士連合会発行『弁護士法人設立の手引き』を拝見する機会がありました。
手引きには、参考定款として「⑴一人法人のタイプ」と「⑵従たる法律事務所を設置するタイプ」が掲載されています。しかしながら、些か内容が古いようですので、そのままでは定款認証を受けられないと思われます。その他私が気付いた点を列挙します(どこかに現行法に準拠した最新版があるのかもしれませんが、拝見していません。)。
| 業務内容 | 司法書士の報酬 | 費用 |
|
弁護士法人の設立登記
|
16.5万円(税込) |
67,500円 内訳 登録商標検索11,000円※ 登録免許税0円 公証人認証52,000円 交通費 郵送費 |
※弁理士への外注費です。
企業・事業者向けサービス
トラブル解決サービス(簡裁訴訟代理、裁判書類作成)
