本記事のテーマ「知的財産権」は、研究・開発をしている企業に限らず、すべての企業にとって大切な権利です。知的財産権の専門家は、弁理士と弁護士です。
一方、当グループの司法書士は、多くの中小零細企業やスタートアップと接点を持っています。関与先企業から、私たちに対して「自社製品の模造品が出回っている」などという相談が持ち掛けられた場合には、しっかりと適切な弁護士や弁理士にお繋ぎします。
| もくじ | |
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〔凡例〕この記事では、次の法令が出てきます。法令名が長いときは、次のとおり略記します。
| 知的財産権に対する侵害 | 直接侵害・・・最たる例が「模倣品の製造・販売」 |
| 間接侵害・・・侵害と「みなす」ことで、知財を保護 | |
| 不正競争防止法上の侵害・・・登録されていない知財も保護 |
模倣品の製造・販売は、正当な権限又は理由なく、他人の知的財産権を利用する「直接侵害」の典型的な例です。
この記事で詳しく解説します。
知的財産権の侵害行為には、正当な権限なく権利の対象を利用する「直接侵害」だけでなく、本来の侵害行為には当たらないものの、侵害の実質的な予備行為や幇助行為を侵害とみなす「みなし侵害(擬制侵害・間接侵害)」が各法令(著作権法、商標法、意匠法、特許法等)で定められています。
下記は、間接侵害の例です。まだまだ他にもありますので、詳細は法令をご覧ください。
| 間接侵害の例 | |||||
| 法律 |
侵害行為 の類型 |
行為の対象 (物・サービス等) |
目的・主観的要素 | 注意点 | |
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著 作 権 |
著作権法113Ⅰ① | 輸入 | 国内において作成したとしたならば著作者人格権、著作権等の侵害となるべき行為によつて作成された物 | 国内において頒布する目的 | 輸入時において判断される。 |
| 著作権法113Ⅰ② |
頒布、頒布目的の所持、頒布する旨申出 (業として)輸出 (業として輸出目的の)所持 |
著作者人格権、著作権等を侵害する行為によつて作成された物(輸入に係る物を含む) | 情を知つて | ||
| 著作権法113Ⅺ |
(著作者の名誉又は声望を害する方法により)その著作物を利用する行為 |
著作者の名誉又は声望を害する方法により(その著作物を利用する行為) | 不要【1】 | 著作者人格権を侵害する行為とみなす。 | |
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特 許 権 |
特許法101① |
生産、譲渡等、輸入 譲渡等の申出 |
特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産にのみ用いる物 | 業として | 専用品型間接侵害 |
| 特許法101② |
生産、譲渡等、輸入 譲渡等の申出 |
特許が物の発明についてされている場合において、 その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く)であつて、その発明による課題の解決に不可欠なもの |
その発明が特許発明であること、およびその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、 業として |
多機能品型間接侵害 |
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| 特許法101③ |
(業として)譲渡等 (輸出のため)に所持 |
特許が物の発明についてされている場合において、その物 | 業として | 模倣品拡散助長型間接侵害 | |
| 特許法101④ |
生産、譲渡等、輸入 譲渡等の申出 |
特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用にのみ用いる物 | 業として | 専用品型間接侵害 | |
| 特許法101⑤ |
生産、譲渡等、輸入 譲渡等の申出 |
特許が方法の発明についてされている場合において、 その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く)であつて、その発明による課題の解決に不可欠なもの |
その発明が特許発明であること、およびその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、 業として |
多機能品型間接侵害 | |
| 特許法101⑥ |
譲渡等 輸出のために所持 |
特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物 | 業として | 模倣品拡散助長型間接侵害 | |
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実 用 新 案 権 |
実用新案法28① |
生産、譲渡等、輸入 譲渡等の申出 |
登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物 | 業として | 譲渡等には電気通信回線を通じた提供(プログラム等の場合)を含む。 |
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意 匠 権 |
意匠法38① |
製造、譲渡、貸渡し、輸入 譲渡、貸渡しの申出 |
登録意匠等に係る物品の製造にのみ用いる物品、またはプログラム等 | 業として | プログラム等の作成や電気通信回線を通じた提供を含む。 |
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商 標 権 |
商標法37① | 使用 | 指定商品・指定役務についての登録商標に類似する商標の使用、または類似商品・類似役務についての登録商標等の使用 | 【2】 | 直接侵害に近いが、第37条は「侵害とみなす行為」として規定。 |
| 商標法37② | 所持 | 指定商品、指定商品・指定役務に類似する商品であつて、その商品又は包装に登録商標・類似商標を付したもの | 譲渡、引渡し、または輸出のため | 侵害の予備的行為の規制 | |
| 商標法37⑧ | 製造、譲渡、引渡し、輸入 | 登録商標・類似商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物 | 業として | 商標表示物製造用具の製造・譲渡等。 | |
【1】著作者の名誉または声望を害する方法による著作物の利用(著作権法113Ⅺ)の成立において、侵害者の目的や主観(「情を知って」等の要件)は明文上必要とされていません。
裁判例(天皇似顔絵事件、東京地判平25・7・16裁判所ウェブサイト)においても、当該利用行為が著作者の名誉または声望を害するか否かは、一般人の普通の注意と読み方を基準として「被告の意図にかかわりなく」判断されるべきであると示されています。
したがって、侵害者に特定の目的や主観的な意図がなくても、客観的に著作者の社会的評価を低下させる方法で利用した場合には、本条の侵害とみなされます。
【2】行為の成立には、原則として侵害者側の特定の目的や主観は必要とされません。
民事上の差止請求については、侵害者の故意や過失の有無を問わずに成立し、また、実際に出所の混同が生じているか否かにかかわらず商標権侵害が成立します。
ただし、民事上の損害賠償を請求する場合には、侵害者に故意または過失があることが要件となります。また、37条2号等に規定される侵害の予備的な行為(所持等)については、「譲渡・引渡しの目的」といった侵害者の主観的要件が求められますが、1号の行為自体にはそのような目的要件は規定されていません。
なお、刑事上の責任を問う場合には、対象が登録商標であることの認識や、商標が「似ている」という程度の認識(故意)が必要となります。
特許や商標の登録の有無にかかわらず、不正競争防止法によって、以下の行為が禁止されています。
| 説明 | 民事【1】 | 刑事【2】 | |
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周知表示混同惹起行為 (不正2Ⅰ①) |
他人の周知な表示と混同を生じさせる行為 | ○ | ○ |
| 著名表示冒用行為(2Ⅰ②) | 他人の著名な表示を無断で使用する行為 | ○ | ○ |
| 形態模倣商品の提供行為(2Ⅰ③) | 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡、貸渡し、展示、輸出、輸入、インターネットで提供 | ○ | ○ |
| 営業秘密に関する不正行為(2Ⅰ④~⑩) | 他人の営業秘密の窃取・不正利用 | ○ | ○ |
| 限定提供データの不正取得等行為(2Ⅰ⑪~⑯) | 限定提供データ(ビッグデータ・2Ⅶ)の不正取得 | ○ | × |
| 技術的制限手段回避装置提供行為(2Ⅰ⑰⑱) | コピー制限などの「技術的制限手段」を回避する装置やプログラムの提供 | ○ | ○ |
| ドメイン名の不正取得等(2Ⅰ⑲) |
ドメイン名とは URLの場合:https://の後 メールアドレスの場合:@の後 |
○ | × |
| 商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示(2Ⅰ⑳) | 商品・役務又はその広告等に、その原産地、品質・質、内容等について誤認させるような表示をする行為、又はその表示をした商品を譲渡等する行為 | ○ | ○ |
| 信用毀損行為(2Ⅰ㉑) | 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為 | ○ | × |
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代理人等の商標冒用 (2Ⅰ㉒) |
パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の代理人が、正当な理由なく、その商標を使用等する行為 |
○ | × |
【1】下記のような民事的措置が規定されています。
【2】下記のような刑事的措置が規定されています。
ここからは、模造品対策について、ご説明して参ります。
まずは、模造品放置のデメリットは、次の通りです。
これらの被害を生じさせたないためには、次の対策が必要です。
予防対策としては、次のようなものが考えられます。
| 保護対象 | 権利発生 |
登録に 新規性 |
存続期間 | ||
| 著作権 |
書籍、写真、動画、音楽、映画、 絵画など |
創ったとき【1】 |
創ったとき ~著作者死後70年 |
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産 業 財 産 権 |
特許権 | 発明 | 登録 | 必要【2】 | 出願~20年 |
| 実用新案権 | 特許よりも水準の低い発明 | 登録 |
必要【2】 |
出願~10年 | |
| 意匠権 | デザイン | 登録 | 必要【2】 | 登録~20年 | |
| 商標権 | 商品やサービスの名称 | 登録 | 不要 |
登録~20年。 何度でも更新可能 |
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【1】著作権は、著作物が創作されたときに発生します(登録不要で発生します。)が、登録することも可能です。
【2】出願する権利を有する方ご自身も、発表や販売よりも先に、出願しておく必要があります。
出願前に発表や販売してしまった場合は、改良やバージョンアップした際に、出願を検討します。
模倣品を発見したときには、「適切かつ迅速」に下記のような措置をとります。
模造品そのものを入手して、自社の正規品と比較します。
製造元、発売元、プラットフォーマーなど関係する当事者をピックアップします。
などを検討します。
調査検討を完了し、理論武装したうえで、警告書を発出します。
警告書では、次のような項目を記載するのが通常です。
警告やその後の交渉でも、相手方が譲歩しない場合には、次のような方法(場合によっては複数)を行います。
| 訴訟 | 仮処分 | 刑事告訴 | 税関へ輸入差止申立 | |
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○侵害の判断が困難なときに利用する。 ×仮処分より印紙が高い。 ×証明を要する。 ×審理に長期を要する。 ○損害賠償の請求もできる。 |
○侵害が明白なときに利用する。 ○訴訟より印紙が安い。 ○疎明で足りる。 ○審理が早い。 ○仮処分決定は直ちに執行可能。 ○不服申立されても執行停止がない。 ×模倣品の売上次第では担保金が高額。 ×損害賠償の請求ができない。 |
知的財産権侵害には、厳しい刑事罰もある。 (懲役刑や法人両罰規定など)
ただし、検挙件数の多い侵害類型(商標権侵害、著作権侵害、不正競争防止法違反)で、使うのが効果的。 反対に、特許権侵害、実用新案権侵害、意匠権侵害は、検挙件数が少ない。 |
<模倣品が輸入品> 知的財産権を侵害している模倣品の輸入は、関税法が禁じています(関税法69-11Ⅰ)。 そこで、税関に対して、輸入差止め申立を行います。 |
| 原則 | 裁判所の判断を受ける前に、模倣品である旨や自社権利の侵害である旨をプレスリリースすることは、信用毀損で訴えられる可能性(不正競争2Ⅰ⑳)があるため、止めるべきです。 |
| 模倣品の安全性に問題がある場合 |
安全性に問題があること、商品の見分け方等のみを伝えます。 模倣品である旨や、自社権利の侵害である旨を伝えると、信用毀損で訴えられる可能性(不正競争2Ⅰ⑳)があるため、止めるべきです。 |
経営陣が直ちに確認すべき【知財防衛チェックリスト】は次の通りです。
当グループが、主に顧問先・取引先の皆様に関して提供する「知的財産保護の取り組み」は次のとおりです。
| 問題的など | 当グループでの対応 |
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中小企業にとって、知的財産をキッチリと登録したり、管理したりするのは、とても重要! 知的財産は、お金になる可能性があるからです!
でも、知的財産管理のために、弁理士を常駐させる企業は少ない。。。 |
【登録機会を逃さない】
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M&A、企業法務などでも、知的財産に対するケアは重要。 |
【契約書精査】
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| 知的財産の侵害に対しては、民事上の損害賠償のほか、罰則もございます。 |
【知的財産侵害】
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| どの弁理士に依頼すれば良いか、わからない。 |
【弁理士を紹介】
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