ある不動産が欲しくなり、登記情報を取得したところ見慣れない「信託登記」が入っていた。
「この不動産は普通に購入することができるのかな?」
信託された不動産も、普通の不動産と同じように購入でき、買主は信託とは関係ない、真っさらな所有権を取得できます。そのため、所有権移転登記と信託登記の抹消登記を行います。
この記事では「信託された不動産」を売却または購入する場合の注意点について解説しています。
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〔凡例〕この記事では、次の法令が出てきます。法令名が長いときは、次のとおり略記します。
次のページで、詳しくご説明しています。
売主は受託者であり、委託者や受益者ではありません【1】。
受託者が売買契約書に署名し、代金を受領します。
売買契約書や重要事項説明書の肩書には「売主 委託者兼受益者○○○○の受託者」と記載します。
【1】委託者兼受益者にまだ判断能力があるときには、信託を終了させて(信託登記を抹消して)から売却する方法もあり、この場合には、通常の不動産売買です。
売買契約前に、登記情報末尾の「信託目録」だけではなく、必ず「信託契約書」をご確認ください。登記できない事項や、登記が漏れている事項があるかもしれないからです。
信託契約書では、次の項目を確認ください。
信託財産に属する不動産を売却する方法には、二つの方法があります。
信託契約の内容次第で、どちらの方法を採用するか検討します。
【1】信託の終了事由として「受託者と受益者が合意したとき」などの定めがある必要があります。
【2】後掲・関連条文「信託法182条」を参照ください。
【3】2.の場合には、残余財産帰属権利者に判断能力が十分にある必要があります。
上記「売却方法の確定」でご紹介した「1.受託者が、信託財産の処分権限を行使して、買主に売り渡す方法」の場合、登記は、次の通りです。
受託者が、信託財産の処分権限を行使して、買主に売り渡す方法です。
信託財産に属する不動産が信託財産に属さなくなった場合における「信託の抹消登記」の申請は、「所有権移転登記」の申請と同時にしなければなりません(不登法104Ⅰ)。同時にしなければならないというのは一枚の申請書に両方の申請を記載してするという意味です(不登令5Ⅲ)。
| 登記の目的 | 所有権移転及び信託登記抹消 |
| 登記の原因 | 令和○年月日売買【1】(、信託財産処分)【2】 |
| 権利者 | 買主の住所氏名 |
| 義務者(信託登記抹消申請人)【3】 | 受託者の住所氏名 |
| 添付書類 |
登記原因証明情報【4】 登記識別情報(または登記済証) 印鑑証明書 住所証明情報 (受益者の承諾書【5】) 代理権限証明情報 |
| 課税価格 | 金○円 |
| 登録免許税 |
合計 金○円 所有権移転登記部分 ○円【6】 信託登記抹消部分 ○円【7】 |
| 不動産の表示 |
<略> |
【1】所有権移転登記は、受託者(登記義務者)と買主(登記権利者)が共同で申請します。原因は「売買」で、日付は所有権移転の日(=売買契約成立+売買代金支払の完了日)です 。
【2】信託登記抹消の原因を別途記載する必要がない説と、記載すべき説がある?
【3】信託登記抹消は、受託者の単独申請です。
【4】登記原因証明情報は、所有権移転登記と信託登記抹消の2つを用意します。
【5】信託契約書の条項に、信託不動産の処分には、受益者等の承諾を要する旨の規定がある場合には、その者の承諾書(印鑑証明書付き)を提出します(『登記研究』508号質疑応答を参照)。
【6】通常の所有権移転と同じ税率です。
【7】信託登記抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円 (同一の申請書により20個を超える不動産について登記の抹消を受ける場合には、申請件数1件につき2万円)です。(登録免許税法別表第一・一不動産の登記(不動産の信託の登記を含む。)(十五)登記の抹消(土地又は建物の表題部の登記の抹消を除く。))
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信託法第26条(受託者の権限の範囲) |
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| 受託者は、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する。ただし、信託行為によりその権限に制限を加えることを妨げない。 | |
| 信託法第27条(受託者の権限違反行為の取消し) | |
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| 信託法第132条(信託監督人の権限) | |
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| 信託法第163条(信託の終了事由) | |
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信託は、次条の規定によるほか、次に掲げる場合に終了する。 一 信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき。 二 受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が一年間継続したとき。 三 受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が一年間継続したとき。 四 受託者が第五十二条(第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により信託を終了させたとき。 五 信託の併合がされたとき。 六 第百六十五条又は第百六十六条の規定により信託の終了を命ずる裁判があったとき。 七 信託財産についての破産手続開始の決定があったとき。 八 委託者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた場合において、破産法第五十三条第一項、民事再生法第四十九条第一項又は会社更生法第六十一条第一項(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第四十一条第一項及び第二百六条第一項において準用する場合を含む。)の規定による信託契約の解除がされたとき。 九 信託行為において定めた事由が生じたとき。 |
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信託法第175条(清算の開始原因) |
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信託は、当該信託が終了した場合(第163条第五号に掲げる事由によって終了した場合及び信託財産についての破産手続開始の決定により終了した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)には、この節の定めるところにより、清算をしなければならない。 |
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| 信託法第182条(残余財産の帰属) | |
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